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「ユダヤ警官同盟」

マイケル・シェイボン「ユダヤ警官同盟」新潮文庫

舞台はアラスカ。
1940年に移民法で作られたユダヤ移民の暮らす地域、シトカ特別区があったという設定。(そういう計画は実際にあったのだそうです)
イスラエル建国に失敗して流れ込んで住民も含め、独特なユダヤ人社会を形成していったという。
アメリカに返還されるのを2ヶ月後に控えて、移住先を希望したり、とどまることを選んだりと、人々は揺れ動きます。

主人公のマイヤー・ランツマンは、殺人課刑事としては有能ですが、他の点ではもはや抜け殻。
2年前に離婚し、妹を事故で失って、今となっては、移住先を考える気にもなれないでいました。

ランツマンの住む安アパートで麻薬中毒の男が殺されていました。
じつはチェスの天才だったばかりか、正統派ユダヤ教徒のリーダー(実はロシア・マフィアでもある)一家の一人息子メンデル・シュピルマンとわかります。
少年の頃にいくつかの奇跡を起こして見せており、ユダヤの救世主と期待された存在だったのです。
結婚の日に失踪し、親には勘当された状態でしたが。
(ユダヤの救世主と目された人物は1990年代に実在したそうで、なんと同じ名前メンデル。もちろんマフィアではないんですが)

ランツマンは事件捜査の過程で、事故死した妹に関連があったことを知ります。
居留地の中にあるアヤシイ療養所に乗り込み、縛り付けられたベッドごと逃走のアクションシーンに。うつ状態から回復していきます。
別れた妻ビーナとは結婚前に5年同棲したという長い仲で、離婚はしたものの、何かと縁は切れないまま。上司として戻ってくるのです。

ランツマンの伯父ヘルツは、かっては敏腕の警察官でした。もっとも汚職とも縁が切れず、新聞報道されて失職しました。
その息子でつまり従弟のベルコは熊のような大男で、ランツマンの良き相棒。母親は熊を名乗る家系の先住民でした。
何か知っているのではと、伯父の暮らす居留地を訪ねると…

映画にもなりそうな波乱の展開で、エンタテインメント性も高いです。
ユダヤ人の独特な風習や、この地区での立場から来る~濃厚な空気。
作者はユダヤ系だがアメリカ人として生まれ育ち、何の差別も受けたことはないという。
こういう濃い世界は自分の物ではないらしいが、親戚として興味はあったのでしょうか。

作者は1963年、ワシントン生まれ。ピューリッツァー賞受賞作家。
この作品で、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞のトリプル・クラウンを果たしたという。
つまり歴史改変SF‥展開はミステリ的ですけどね。

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