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「猫を抱いて象と泳ぐ」

小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」

繊細な言葉でつづられたイメージ豊かな作品です。
デパートの屋上に、象インディラがいた時代。
貧しい家庭に生まれた男の子は、生まれたときには口が開かない状態だったために手術が必要でした。
大きくなりすぎて屋上から降りられなくなってしまった象のインディラ。その運命に思いを馳せる~多感な少年に育ちます。
廃車になったバスを改造して暮らす巨漢のマスターに出会ったことから、チェスの才能が目覚めるのです。
チェスの名人アリューヒンの再来、リトル・アリューヒンと呼ばれることに。

マスターのチェス盤の下に入り込み、マスターの飼い猫を抱いて、練習を積みます。
チェス盤を見ないことで感性が研ぎ澄まされるけれど、普通の試合には出られない彼。
ホテルの地下にあるチェス倶楽部で、アリューヒンを模した精巧な人形の中に入って、チェスをすることに。
家具職人の祖父と見習いの弟が、一生懸命仕上げをしてくれるのでした。

手品師の娘が、父を喪ってホテルに取り残されたため、彼の付き添い役となります。
少年は彼女をある理由からミイラと呼び、彼女も理由は知らずに優しくそれを受け入れます。言葉少ない付き合いで、密かな絆が生まれてゆくのでした。
ホテルのオーナーの老令嬢も、好敵手に。
そしてリトル・アリューヒンが、ある決心をしたとき…

からくり人形のように精緻な言葉遣い。
荒々しい世の中に立ち向かう難しさも感じさせる、もの悲しいトーンですが。
個性的な登場人物は、規格からはみ出してしまうようでも、どこか、凛としています。
きらりと光る描写や心の交流を紡ぎ出す美しい文章に、夢見るようにうっとりしました。

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