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「学問」

山田詠美「学問」新潮社

地方都市で育つ少女の成長と、仲間達との交流を描いた作品。
高度成長期の日本という懐かしいような時代を背景に、生と性の輝きが展開します。
山田詠美の作品でも、広く読まれそうな~一般に馴染みやすい方だと思います。
意外な人生の顛末を、ところどころに差し挟んである距離感がまた上手いです。

小学生の香坂仁美は、父親の転勤で、地方都市に転校します。
みんなに一目置かれている男の子・テンちゃんこと後藤心太と、裏山で偶然に出会い、どんどん親しくなります。
同じ社宅の女の子で、身体が弱くてすぐ眠り込んでしまう千穂。
病院長の息子で大食いのムリョ(無量)と、4人グループで良く行動するようになりました。
裏山に基地を掘ったり、蓮華草で花綱を作ったり、ちょっとしたことで嫉妬したり…
親分子分のような関係から、次第に異性を意識するようにもなりますが…

都会から来た女の子と、地元に暮らす人々の違い。
母が出て行った後、祖父母に育てられている心太は、塾に行くお金を出して貰えません。
奥手気味の少女がぼんやりと意識し出す自分の身体のことが、恋愛や夫婦のこととだんだん結びついていくリアルさ。
このへんは独壇場ともいえますね。中高校生も読んだら?いいんじゃないかな~。
ムリョといずれ結婚したいと言い出した女の子・素子も、完全な仲間ではないけれど、時々参加するようになります。
仁美が通っていた英語教室の先生の助力で、勉強を続けていく心太でした。

長いスパンで描かれる人の縁…
特別な幼なじみだけれど、それゆえか?なかなか恋人同士にはならない二人の関係。
作者のセンスが光ります。
登場人物の訃報がところどころに挟まれて、その後の人生がかいま見えるのですが、それもまた味わい深く、じわじわと満足感がありました。

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