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「ラウィーニア」

アーシュラ・K・ル=グウィン「ラウィーニア」河出書房新社

ル=グウィンの新作です。これは読まなくちゃ!というわけで~
古代ローマで、英雄アエネーアスの妻となったラウィーニアを主人公にした物語。
2009年度ローカス賞(ファンタジー長篇部門)受賞作。
少女の視点で始まり、女性の一代記となっているため、ル=グウィンにしては、わかりやすい方でしょう。
様々な要素があり、当時の女性の生活ぶりがありありと描かれていて、親しみの感じられるトーン。とても面白かったです。
完成度が高く、最高傑作の声すらあるというのもうなずけます。

ラウィーニアは、イタリアのラティウムの王の一人娘。
従兄トゥルヌスに求婚されていましたが…
母のアマータは幼い息子を失って以来、様子がおかしいのですが、温厚な父はそれを認めようとしません。
母は甥のトゥルヌスがお気に入りで、強力に勧めていますが、傲慢なトゥルヌスをラウィーニアは好きになれませんでした。

直系の娘として、ラウィーニアは巫女的な存在でもありました。
一族の聖地アルブネアの森の中で祈っていたときに、ラウィーニアは時空を越えて、後代の詩人ウェルギリウスに出会い、英雄アエネーアスの妻になると教えられるのです。

軍団を率いてやって来たアエネーアスは、この地にとどまることを望み、ラウィーニアに求婚。
トロイアから流れて来たよそ者に対してトゥルネスらが反発し、戦争になってしまいます。が、終息した後には、ラウィーニアは年上の誠実なアエネーアスと幸福な結婚をします。
ただし、それも長くは続きませんでした。
アエネーアスの先妻の息子は、跡継ぎとしては人柄にやや問題があり、人望に欠けます。
幼い息子を取り上げられそうになって、ラウィーニアは故郷に戻り…

詩人ウェルギリウスの書いた英雄叙事詩「アエネーイス」はいぜんは欧米人なら共通して知っている物語だったのだとか。
トロイ戦争で炎上したトロイアから逃れた王の甥アエネーアスが生き延びて、流浪の果てにローマの地にたどり着いた…
古代ローマ帝国の由来に繋がるような物語で、ウェルギリウスがアウグストゥスに捧げた物。
当時流布していた伝説がいくらか元になっているのでしょうが、つまりは創作された建国神話というわけですね。

ラウィーニアは、自分が創作された詩の登場人物と知り、複雑な気持ちに…
え?ってこっちも~思いますよ。
そこまでもすごく実在感があるので、事実のまんまを見ているようにしか思えないのです。
ラウィーニアが時空を越えて、ル=グィンに生身の感情を伝えてきたのでしょうか。

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