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「アン・ブリンの生涯」

キャロリー・エリクソン「アン・ブリンの生涯」芸立出版

ヘンリー8世の若き日から始まり、後に2番目の王妃となるアン・ブリンの人生を描いていきます。
作者は中世史の助教授から伝記作家になった人で、これは1984年の作品。

アン・ブリンが少女の頃、若きヘンリー王の妹がフランス王ルイに嫁ぐのに随行するシーンから始まります。
フランス大使の娘ではありましたが、わずか12歳ぐらいでフランス宮廷の侍女となったのは異例のこと。
そのルイ王は間もなく亡くなって、フランソワ1世に代替わりしたのですが、姉妹は侍女として残り、教養を身につけます。

帰国したアンは、色黒で当時の典型的な美人ではないものの、黒い目が美しく、男を惹きつける魅力に溢れていたようです。
流ちょうなフランス語とダンス、センスのいい服装、堂々とした物言いや立ち振る舞いといった点で抜きんでていたという証言はいくつも残っているそうです。
恋に落ちた頃、ヘンリー8世はまだ30代で、長身で筋肉質で~ものすごくエネルギッシュ。
しかし6歳上の王妃との間には病弱なメアリー王女しか跡継ぎが出来ず、内外の政治にも失望し始めていました。
王の深い恋は、アンが予想した以上の熱情であったとか。

女の子では王位を継げないと日本人は考えがちだけど、必ずしもそうでもないみたい…共にフランスやスペインと戦う王子が何人も欲しかったみたいですね。当時の王は先頭に立って戦う軍人だったから。
日本でいえば戦国時代…アンと結婚するのは信長が生まれた頃です。

アンは嫉妬深く激しい性格だったようですが、恋愛時代にはそれも魅力で、ヘンリーが「永遠にあなたの僕」とかいって甘やかしたせいもあるかも。
結婚後まもなく王の心は離れてしまうのですが、おそらく…男児を生めなければ優しくしてもダメだったのでしょう。
国母のイメージがあった王妃キャサリンを追い出した若い愛人のアンに民衆の人気はなかったのですが、不倫の咎での処刑とはと、一転して同情されるようになったそう。
愛人がいたのはヘンリーの方で、ヘンリーは処刑の翌日に婚約してるんですからねえ。

記録が残っている物と推測が区別してあるのがいいですね。
絶対王政へと時代が大きく転換する時代。
宗教改革の引き金となったアン・ブリンは、歴史の作者と呼ばれているとか。
混迷する各国の情勢、フランス宮廷の爛熟ぶり、中世的な荒々しさなど、異世界にタイムスリップする心地。

幾つか知りたいことがあったのですが~アンとメアリの姉妹のどちらが姉かわからないというのは本当なのか?
メアリが王の子供を生んだというのは本当か?
それならその子はどうなったのか?

生まれた年を明記した書類などはないんですね。それだけ新興の貴族だったということらしい。
アンの生まれは1501年から10年まで諸説あるそうで、この本では1507年。
ヘンリーがアンに送った熱烈なラブレターが残っていて、恋に落ちたのは1526年というのはかなり確実だそうです。
ヘンリーの好みからしても、その頃20歳前というのは妥当でしょう。
羽振りのいい貴族の娘が20過ぎまで独身とは考えにくいし、結婚までに7年かかっているということもあるので。

アンの姉・メアリは1521年にウィリアム・ケアリーと結婚していて、その前後の数年に渡ってヘンリーの愛人であったという可能性が高いらしいです。
子供の存在が無視されたのは、結婚していたから表向きには夫の子だったからか…
(当時、他の女性が産んだ男の子は認知されていて、1525年には7歳で爵位を与えられているのです)
メアリが姉というのが自然でしょうねえ…
「ブーリン家の姉妹」では年の近い姉妹で、メアリが16で結婚してすぐに王に目をつけられるという設定ですが。
ま、あり得なくはない計算ですね。

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コメント

映画は見てないのですが、アン・ブーリンに姉妹がいて二人とも…って初耳でした!
ヘンリー8世って、女性の敵!という感じじゃないですか? お妃は不幸になった人が多いようですし。アンは不貞を理由に処刑されていますが、それって真実だったのかな?

marieさん、
ヘンリーは女の敵、ですねえ。確かに
一人目は離別されて寂しい館で亡くなり、3人目の妃は王子を生んで亡くなり、4人目は外国から来たお姫様で会ったら気に入らずにすぐ離婚。5人目は処刑。
6人目は王を看取りました。

姉妹のこと、知りませんでした~?
昔「1000日のアン」という映画があって、ビジョルドがアン役で好きだったんですが~姉のメアリが捨てられた後という話でした。
アンがそれですぐなびかなかったのが、ヘンリーのハートに火をつけたみたいな。

アンのほうはイギリスで一度結婚話が流れますが、他は浮いた噂がないので、身持ちは堅かったんじゃないかな。
当時も(敵でなければ)無実と思う人がけっこういたようです。
拷問で一人自白しただけの薄弱な証拠だし。
ただヘンリーとの間が冷えたので、男児欲しさに関係を結んだ可能性はゼロじゃないという説も。

後に処刑されたもう一人の王妃は、不義というか好きな人と引き裂かれて王と結婚した感じで、その人の妻として死ぬと言い放ったそうですよ。
20になるやならずで~やるじゃないですか

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