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「巡礼者たち」

エリザベス・ギルバート「巡礼者たち」新潮文庫

力強い短編集。
作者は子供の頃から小説家になりたかったそうですが、大学の創作科などに行く道を選ばず、働きながら各地を旅して回り、その実体験を生かしています。
カウガールまでやったとは、たくましい。
実に多彩な登場人物、描写はどちらかといえば渋めですが~生命力豊かなのがどこか共通しています。

表題作は、バックの働く牧場にふらりとやってきたマーサ。たくましい腕をしたカウガールでした。
女っ気のない職場で、ひそかな注目を浴びつつ、日常は男も女もなくハードに働く毎日。
エルク狩りのハンター達の案内をしていたある日、バックは彼女にお気に入りの馬に乗って遠乗りしよう、そのまま逃げようと言うのですが‥
どうにもならなそうな生活感、それでも生き抜くたくましさ。臨場感があります。

「東へ向かうアリス」は、ひまわり畑の真ん中で立ち往生した車に乗っていた兄妹を助ける話。
修理工場もない村での出来事。大勢の兄弟の中で一人だけ頭がいいらしい妹は看護学校に入ろうとしているという。
「花の名前と女の子の名前」は、タイトルがいいですよね。
ぼけかけた大伯母がぶつぶつとそういう名前だけをつぶやいていたという話なんだけど。
祖父が若い頃、出会った女性バベットの肖像画を描く話にまつわって出てくる言葉のイメージが何ともいいんです。

「華麗なる奇術師」は、奇術師と困った男の友情。
才能ある奇術師エース・ダグラスを雇った男ホフマン。経営者として成り上がった男だけに、見る目があったのでしょう。
ところがある日、ホフマンが激情に駆られて殺人を犯してしまう。
エースはホフマンの妹と結婚していて、ホフマンの幼い娘エスターの面倒も見、後に助手としました。
エスターはあまり才能があるとは言えなかったのですが…
父が出所した後、三人はエースの家に一緒に住み、ホフマンは娘のために兎を連れてきます。
大きすぎて結局、奇術には使えない兎。のそのそと邸宅で暮らすのでした。
思いがけない展開で、ほんわりと感動が。
いきいきとして、切なく、一ひねりした面白さ。

読みごたえがありました。
新潮クレスト・ブックスからまず出て、その後に文庫になっているというと、まずハズレはないですね!

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