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「ビカミング・ジェイン・オースティン」

ジョン・スペンス「ビカミング・ジェイン・オースティン」キネマ旬報社

大勢の兄弟の中で育った娘・ジェインが、作家ジェイン・オースティンになるまで。
読書家で理知的な人の多い、筆の立つ一家だったとは。
数世代分の家族の歴史をまとめた人が親戚にいて、それを読み込んでいることや、身近で起きた結婚事情、自分の恋愛体験など、すべてが盛り込まれているのですね。

子だくさんの中流階級は、親類の遺産を当てにして生きるしかない面があり、オースティンの両親はなかなか上手に立ち回って、子供達それぞれに有力な親戚を後ろ盾に持ってこようとします。
ジェインの母の兄には子がなかったので、後々までこれを期待するようになるのでした。
ところが、この伯父の妻はけちで有名、おかしくなっちゃうぐらいで「マンスフィールド・パーク」の伯母のモデルなんですね。

兄ヘンリーの結婚のいきさつ、ジェインが反対をほのめかすような内容の小説を初期に書いているという、新事実も掘り下げられています。
後にヘンリーの妻になったイライザは年上の都会の女性で、最初はフランス貴族と結婚していたが死別(なんとフランス革命で処刑!)美しく社交的でしたが、牧師を目指していたヘンリーには似合わないと思っていたらしい。
「マンスフィールド・パーク」で、ヒロインが愛する従兄が都会の女性に恋する様子や、「ノーサンガー・アベイ」で、ヒロインの兄がはなやかな女性に浮気されて別れるのを思わせます。

中流階級で独身の女性には、体面を保てるような職業がなく、遺産を貰うか、余裕のある兄弟の助力を当てにするしかなかったとは。
ただ一人、最後までこれといった遺産の割り当てがなかったジェインは、ついに小説で収入を得るようになる…そうなる運命だったのでしょうねえ。

オースティンの小説は19世紀に発表されたのですが、堅苦しいヴィクトリア時代になる前なので、むしろ18世紀的な価値観があるとか。
「高慢と偏見」には自信があったらしいことや、主役二人の性格はオースティン自身の恋人とは男女がむしろ逆転しているという指摘も面白い。
つまり実人生では結ばれなかった恋人は、知的で口が悪く茶目っ気があり、オースティン自身は人見知りのために寡黙で高慢に見えたとか。
中身はそうでもなかったんでしょうけどね。

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コメント

ジェイン・オースティンは、とっても好きな作家さん。現在のわたしたちから見ると、とてもせまい人間関係の中で生きた人なのに、人間の普遍的な感情や心の奥にひそむものに気付くことができたんでしょうね。
モデルが身近にいるのは、どの作家さんもかなあと思いますが、義姉さんや伯母さんのポジションてありがち…… 紫式部も義姉さんにイジワルな役をふってましたね。
彼女は未婚なのになんで魅力的な男性を書けたのかなあとと思っていたら、恋人いたんですか!?

marieさん、
ジェイン・オースティン、いいですよねえ。
行動半径がまんまヒロインの環境になっているみたいですね。
じ~っくり観察したミス・マープルの先駆けみたいな人かしら?
義姉さんや伯母さん…濃い人物が身近にいたようですね。ポジションもうってつけ?

恋人、いたんですって!
アイルランドからたまたま来ていた人で、長男で、たくさんの弟妹を抱えていたから、イングランドでこれといって資産のない相手と結婚するわけにはいかなかったようですよ。
それで、小説では幸福な結末にしたのかなと思うと、ちょっとほろり

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