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「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」

村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」新潮文庫

二つの世界が交互に描かれていて、次第にその連関がわかってくるようになっています。
どちらも特殊能力を持った青年が主人公なのですが…

「世界の終わり」の章で描かれる「僕」の方が若く、なぜか一角獣の住む~古びた街に着いたところ。
街に入ったときに、誰もが、自分の影とは引きはがされてしまいます。
影とは、黒いものではなく、自分とそっくりの実在感のある姿で、自分の心という意味もあるらしい。
古い図書館で古い夢を読むのが、彼に与えられた仕事。

「ハードボイルド・ワンダーランド」の章で描かれるのは、近未来の日本?のような異世界。
計算士と記号士の二つの組織が対抗している、という。
主人公の「私」は30代半ばで、孤独がちな生活をしていますが、シャフリングという特殊な能力がありました。
猛勉強して資格試験に通った上でのことなのですが、シャフリングとは脳に施された仕組みによって、自分でははっきり自覚することもなく画期的なスピードで処理を進められるというもの。

シャフリングを開発した博士に呼び出されて、大きなエレベーターで進む所から始まり、博士の孫でピンクのスーツを着た太っているが綺麗な娘と出会います。
何者かに跡をつけられ、部屋をこわされ…
何が起こっているのか?

お、面白い…
こういう話とは題名では全然予想できませんでした。
「私」のほうの出来事はハリウッド映画めいたところもありますが、東京の現実とリンクする悪夢のような~突飛な展開と、死を覚悟しながら淡々と描かれる現実に近い生活がなんとも。

「私」の意識の核に思考回路を組み込んだ博士。
地下鉄よりも深い世界をくぐり抜ける冒険行のはてに知った真実とは…
知らない間に生まれた世界が終わろうとしている?
この発想がすごいです。

いっぽう、「僕」は影と共に街を脱出できるのか?
その意味とは…
僕のいる世界の描写がしっとりと綺麗で、もの哀しく、心に響きます。
この対比が特筆すべき魅力になっています。
昭和60年に刊行された作品。昭和63年文庫化。

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