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「貴婦人Aの蘇生」

小川洋子「貴婦人Aの蘇生」朝日文庫

思いがけないなりゆきで、伯母と一緒に住むことになった主人公は、まだ大学生。
ユーリ伯母さんは、伯父が51歳で結婚した相手なのです。
伯父よりもずっと年上の69歳、最初に会ったときからおばあさんといっても良いような女性でした…
亡命したと思われるロシア系の女性、ユーリ伯母さん。
年老いた顔の中で、その青い目だけは美しく澄んでいるのです。

伯父はかっては職を転々とし、事業に成功してからは広い屋敷を湖の畔に建てて、剥製や毛皮、角などを集めている変わった人物。
結婚後は寄り添うように旅行して歩き、むつまじい様子だったのですが、10年がたったある日、伯父はホッキョクグマの剥製に頭を突っ込んで亡くなってしまいました。

主人公の恋人ニコはとても気持ちが優しいのですが、奇妙な儀式通りにしないと建物に入っていくことが出来ない強迫性神経障害という病気を持っています。
主人公は忍耐強く理解しようとして、それが自然に出来るから仲よくなったのですが~時には先走ったり、いらだったりもしてしまいます。
ニコは、ユーリ伯母と気が合うのでした。

そこら中に、Aのイニシャルを刺繍し続ける伯母。
高価な毛皮を刺繍で台無しにしてもかまわない勢いは、異様でした。
その理由とは…?
なんと、本名はアナスタシアだと言い始めます。
剥製を買い入れようとした仲買人・小原がそれを聞き、ロシア皇女かもしれないと「剥製マニア」にそのことを記事にするのですが…

しだいにいきいきとしていく異国生まれの老婦人。
奇妙で、淡々としているけれど切ない~不思議な味わいのある物語。
2005年12月、文庫化。

小川洋子さんは、「博士の愛した数式」でとても有名ですよね。
本当に、とても良かったんです!
他は「妊娠カレンダー」しか読んでいなくて、それはちょっと好みではなかったので、化けたなあという印象でしたっけ。
他にも色々、面白そうな作品を精力的に発表しているんですね。おいおい楽しみに読んでいこうと思っています。

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