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「ナイフ投げ師」

スティーブン・ミルハウザー「ナイフ投げ師」白水社

ミルハウザーは初体験!
幻想文学というか、白水社の海外文学。ファンタジーというとちょっとイメージ違うかもだけど…海外小説というだけのジャンル分けもちょっと寂しいなと。
1998年の短編集、2008年翻訳発行。

表題作「ナイフ投げ師」は、高名なナイフ投げ師ヘンシュが町にやってくると知り、とかくの噂をぼんやり思い出しつつも、わくわくしながら見に行く人々。
そこで起きたことは…?

「ある訪問」
9年の間連絡が途絶えていた旧友のアルバートから、妻を貰ったので来るようにという短い手紙が。
想像以上の田舎町で、テーブルについているのは何と…?
異なる生き物との間の空気に生まれている神秘な調和。不思議な余韻を残します。

「夜の少女団」
夜の少女団という物があると噂になり、親たちを心配させます。
少女達は問題のある行動をとっているのか?矛盾する証言相次ぐ、不思議な物語。
「新児童人形劇場」は、自動人形を愛する伝統のある町で。スムーズに動く15センチほどのからくり人形が皆に愛されていました。
恋をしてしまうほどリアルで魅力的な人形を作ったハインリヒ・グラウムという名人がいたのです。
ところが、いきなり10年もの沈黙。
その後に作ったのは、一体…?

「パラダイス・パーク」
1912年から1924年まで、ニューヨークに存在したという設定の、途方もない遊園地の話。
前身に当たる遊園地は実在するそうですが、その後は破天荒な話へと展開。
サラビーという男が、古典的な遊園地を完成して人気を博し、なぜなのか(内的必然によって?)次々に斬新だが~暗い方向へと発展させていくのです。

イメージの奔流がなかなか、ユニークなものがあります。
文章はぜんぜん難解というのではないんだけれど、見たこともない物をきびきびと描写していて、迫力があります。
そして全体にただよう~この濃さはすごい…
人形趣味があるみたいなところもあって、癖になりそう?!

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コメント

あれ?sanaさん、ミルハウザー読んでなかったですか、それは意外。
これが最初ということは最新翻訳から入られたのですね。
この人は長編も出しているけど、短編の方がずっと数が多いみたい。少なくとも日本での訳出はそうです。私が初めて読んだのは「三つの王国の物語」でした。3つの作品で1冊なので、これは長さでいうと短編じゃなくて中編でしょうね。
読み終わったあと、面白かった、と思いながら、しばらくはどこに引っかかったのか、どこが新しくてどこに感心すれば良かったのかが分からなかったんです。
で、たぶん、これは作品の濃密さ自体をまずは面白がった方がいいのだと思うようになりました。実際、この人の作品世界の描き方の緻密さは、ちょっと突き抜けた濃さがあるんですよね。
これは長編もそうです。長編だと、この人の作り出す「ヘン」が全編続いて、進行というか進化というかしていって、どんどんヘンになっていきます。見たこともないものを作り出す、という点ではキャロルとも共通しますが、発展の仕方が全然違います。
これは長編の「マーティンドレスラーの夢」をお読みなるとよく分かるのではないかと。「パラダイス・パーク」で描かれた世界がず~~~っと続くんです。そして、キャロルみたいなオチがあるわけではないので、ストーリーのおもしろさを追うということも、しにくい。
そんなわけで、間違っても人に強くお勧めできる作家ではないんですが、わたしは偏愛しております。
他には「イン・ザ・ペニー・アーケード」とか、「バーナム博物館」とか(この2冊は新書版で手に取りやすいです)面白い短編集がありますけど、どちらもわたし的にはおすすめです。
どれもこれもあっちの方へ行っちゃった人の凝るというよりほとんどパラノイア的な世界が待っています。そして、ヘンなんだけど、最後に不思議な感動も待っている、って感じかなぁ?

連投で失礼。
ちなみに、「マーティン・ドレスラーの夢」で、ミルハウザーはピュリッツァ賞を取っているのですが、わたし、この受賞、ギャグかと思いました。
作品を読んでから受賞理由を見ると、たぶん、誰でもそう思うはずです。

しあんさん、
あはは、意外って言われると思いました~happy01
いえ私はけっこう穴だらけなんですけど…
前々から知っている名前で、自分でも1冊ぐらいは読んだような気がしていて。
読み始めてもちょっと疑っていたぐらい。でも、どお~しても内容が思い出せる作品がないのでbleah

一度読むと忘れられない作家なので、これは読んでないですねー!
イメージの奔流なのに、翻訳も良いのでしょう、テンポが良くて、わからないっていうことがない。
突き抜けた濃さ?
確かにねえ‥
なんか、言葉で上手く説明できないんですが、鮮明さと、決して鮮明にはなりきれないような何かと両方存在するみたいな‥

受賞理由?
ちょっと検索したけど、見つけられませんでした。wikiに本人はしらけていたとか、他の所でも~受賞後もやっぱり一部の人にしか読まれていないとか、書かれてますねcoldsweats01
映画化された「幻影師アイゼンハイム」が去年公開されてるので、そちらを聞き知っている人ならけっこういるのかな?

ピュリッツァといえば報道写真というくらいに、元々がジャーナリズムに関する賞なので、基本的にノンフィクション系ですよね。まぁ、文学部門で小説も対象にはなっているんですけど。で、この「マーティン・・・」は、小説の舞台である、20世紀初頭の発展してゆくニューヨークの姿がかなり克明に(ミルハウザーですから、そこは)描かれているので、たぶん、その部分が評価されんじゃないかと思うんですが、なんか、あまりにもなじまないんですよね、ミルハウザーとこの賞が。しかも、受賞後に、「史実に忠実でない」という何とも的外れな批判を受けたりもしているんです。このへん、後書きに書いてあったんですけども。まぁ、ともかく、sanaさんなら間違いなく面白がってもらえると思うので、一度読んでみて下さい。
映画はタイトルが全然違ったので、全く気づきませんでした。DVDでているかしら。
あと、わたし、最初のコメントで書籍名間違えてました。「三つの王国の物語」と書いてしまったのですが、「三つの小さな王国」でした。好きだという割には・・・(^^;)

>「マーティン・・・」は、小説の舞台である、20世紀初頭の発展してゆくニューヨークの姿がかなり克明に描かれているので、たぶん、その部分が評価されんじゃないかと思うんですが、
しあんさん、
あ~なるほど!ありがとうございます。
ピューリッツァ賞は小説も受賞してますけどねえ、確かにそういう理由じゃあ…
「パラダイス・パーク」も導入部は史実なんですよね。でも話のメインはそこじゃないから!
史実を描こうとなんかしてないってことですよねえcoldsweats01
「幻影師アイゼンハイム」DVDも出たみたいですよ?
劇場で大ヒットしなくても、DVDで見る人はいるタイプかも知れませんね。エドワード・ノートン主演だし。
読むのが楽しみな作家が増えて、嬉しい限りです。うふふhappy01

ミルハウザーと聞いて、どこかで聞いたなあと。
しあんさんの書き込みを読んで本棚を探したら、ありました、「三つの小さな王国」
ものすごく印象的な文体で忘れがたいものがありますね。映像的なので、ふだんはこういうテイストのものは読まないのですが、物語の世界に入って行きやすかったです。

marieさん、
なんと一作読んでらしたのはmarieさんでしたかhappy01
引き込まれるような作風で、印象的ですよね~!
そうそう、映像的!くっきり思い浮かぶような描写の仕方ですよね。
思ったより難しくはなかったので、もっと読まれてもいいのにな、と思ったことでした。
けっこう作り込んである伊坂幸太郎とか、これだけ人気あるんだし~ねえ?wink

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