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「蜂の巣にキス」

ジョナサン・キャロル「蜂の巣にキス」

スランプに陥った作家サム・ベイヤーは、生まれて15年を過ごした町、クレインズ・ビューを訪れます。
ニューヨークから1時間の小さな町は、平和で退屈な土地柄。
少年時代に、川でポーリンという娘の遺体を発見した事件があったのを思い出し、そのことを再検証しながら作品にしようと思い立ったのです。

同じ高校の卒業生だった娘ポーリンは、成績は優秀でしたが大胆で、田舎町には個性的に過ぎるくらい、複数の男性との関係もあったという噂。
BFに「蜂の巣」とあだ名されていたのでした。

主人公サムは3度の結婚に失敗しているのですが、一人娘のキャスとはいい関係なのが救い。
キャスにBFが出来たのは悩ましいけれども、これもなかなか好感の持てる青年のようです。
一方、サイン会で会ったファンの美女ヴェロニカに迫られ、何度か快適なデートを重ねるが、しだいに重くなる…
彼女には、とんでもない過去があったのです。

故郷の町では、名うての不良だった遊び仲間のフラニーが、なんと警察署長に。
会ってみるとリーダーシップは昔と変わらないのですが、青白くきちんとした格好の署長に、みごと変身していました。
話によると、ベトナムでの経験から更正したという。 そういう年代なんですね。
亡くなったポーリンの妹であるマグダと、今はいい関係にあるらしい。
この警察署長フラニーは、クレインズ・ビュー3部作に共通して出てくる人物。
役割は違いますが、相当気に入ったキャラなんでしょうね。

30年前の事件の捜査と、スランプの作家、若い娘、今も事件の陰を引きずる人々、そして異様に尽くしてくれる謎めいた美女が絡みあう…
このファンの美女には、何とモデルがあるとか?!
幻想文学の鬼才であるこの作者にしては、純粋なミステリというのが不思議でしたが、ラストシーンへ持って行く語り口の妙は、キャロルならでは!

1998年の作品、2006年翻訳発行。
3部作の1作目になりますが、読む順番は2作目、3作目、1作目となりました。
独立した話なので、内容はとくに順番通りでなくとも問題はないんですけど~
クレインズ・ビューというのは、アメリカ人なら誰でも思い浮かべやすい、古き佳き町なのかも?

キャロルの作品として9年ぶりの翻訳だったらしい。
後書きは豊崎由美さんですよ~。発行は嬉しいが、間が空きすぎなのは売れないからだったとは…残念。
でも、この作品はとっつきやすくていいんじゃないかな~?!

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