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「乱反射」

貫井徳郎「乱反射」朝日新聞出版

重い内容を、テンポ良く読ませます。
人々がこれぐらい良いだろうとやりがちなことが積み重なって、街路樹が倒れ、幼児が命をおとす事態に…
無関係な人々の日常が少しずつ描かれていて、人々のこだわりや弱み、病や癖など、ありそうな事が書かれているので、わかりやすく、自分勝手な発想にはちょっと笑えます。

街路樹伐採に深い考えなく反対運動をする主婦。
退職後に犬を飼い始めたのは良いが、腰痛で糞を拾えずに放置する老人。
潔癖性が病気にまでなって、樹木の検査が出来なくなった係員。
車庫入れが苦手で、パニックを起こす娘。
楽な当直を望む勤務医。
深夜だと空いている救急病院を利用する若者など。

事故の後には、子供の父親で新聞記者の加山聡が、何が起きたのかを逆にたどっていきます。
誰も自分に責任はないと拒否するのに、絶望する父親。
…でも、確かに初対面で人殺しとまで言われたら、それは違うし…
うっかり応じられないことかも知れません。
樹木の検査をする係は専門家なので、この人は責任を問われることになります。
他には…しいていえば、古い街路樹を調べるのは5年に一度では間が空きすぎってことなんじゃ?

人間の嫌な面を主に描いていて、どうしたらいいのかは書いていないけれど。
問題提起の意味はある?
ある日のこと、自分もこれぐらいのズルはしかねないと気づく父親。
その反省に、意味があるのでしょう。
救われない気持ちでいた彼を救ったのは、一枚の葉書。
最後に、夫婦が沖縄で見たシーンは、哀しく美しいです。

著者は1968年生まれ。
新本格系の若き旗手として期待されているとwikiにありました。
2009年2月発行。
第141回直木賞候補になった作品です。

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