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「木でできた海」

ジョナサン・キャロル「木でできた海」創元推理文庫

「蜂の巣にキス」「薪の結婚」に続いて登場、同じ町クレインズ・ビューが主な舞台。
警察署長のフラニー・マケイブが主人公です。

もとは札付きの不良だったフラニー・マケイブですが、今は再婚した妻マグダに感謝しつつ、連れ子の娘ポーリンとも仲良く、幸せに暮らしていました。
ところが、ある日…
年寄りの犬を拾って一目惚れ、警察の執務室で柄にもなく?面倒を見ていましたが、目の前で死んでしまうことに。
老犬は三本脚で、りっぱな首輪にオールド・ヴァーチューと名前が書かれていたのです。

その夜、ある夫婦が忽然と消えました。
いつもケンカしていて警察が呼ばれるほどの騒ぎになる困りものの夫婦だったのですが。
家の中は、たった今まで人がいたような有様なのに…
そこに落ちていた極彩色の美しい羽根を何気なく拾ったマケイブ。
犬と一緒に森に埋めてやったところ、何故か舞い戻ってきます。

友人ジョージに一連の奇妙な出来事を話したところ、動物名画集という本を持って来て、1750年の絵を見せます。
そこには、オールド・ヴァーチューという三本脚の犬の絵が!

女子学生が変死したのでマケイブが調べに行くと、そこにも、 極彩色の美しい羽根が。
不思議なことの起こる現場には残されているのだった…
何が起きているのか?

家では、長く飼っている猫スミスが暗い部屋に入っていき、慣れた様子で見知らぬ少年の膝にのります。
履いている靴を見るとオレンジのカウボーイブーツ。父がよそで買ってきてくれた、およそ流行とは合わない代物でした。まさしく高校の頃のワルだったフラニーがいきがって履いていた物。

時空を越える?思いがけない展開に。
連れ子への愛情や亡き父への思いなど、日常的かつセンチメンタルな描写と共に、ふしぎな出来事が展開します。
木でできた海とは?
元不良マケイブに与えられた機会とは…

スケールが大きくて、描写も大作家らしいゆとりがありますが、ええと…こんなの、あり?という破天荒な展開。
この作者に馴染んでからでないと、この作品からはちょっとcoldsweats01
著者は1980年デビュー。
この作品は2001年発表、2009年4月翻訳発行。
2002年世界幻想文学大賞、ノベル賞に名を連ねました。

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コメント

発売されたときにすぐに読みました。
これね、ちょっと初期のキャロルっぽいですよね。
んで、わたしは前作よりも好きでした。
キャラが良かったし、訳者の方もキャロルに慣れてきたようで前より読みやすかったし。
しかし、そうね、キャロル初めて読む人は、これはちょっとキビしいね~coldsweats01
いや、わたしはこのキャロルらしい、むちゃくちゃさがとっても好きなんですが。
うわっ、え、それですか?!ってやつ。
むちゃくちゃって言っても、やっぱりキャロルなので、全部繋がって、それなりに大団円というか、おさまるようにおさまっているしね。
初めてキャロル読む人でも、SFを読み慣れている人ならいけるかも。でも、SFだと思って読むとそれはそれで、がっかりするのか?
わたしはキャロルの最初って、実は「犬博物館の外で」なんですけど、これって、自分が誰かにキャロルをお薦めする場合、絶対に選ばない1冊だと思うんですよ。でも、これではまったんですよねー。
まぁ、そういう人もいるってことで。

しあんさん、
キャロルはいいですよ~!
芳醇な味わいとどこへ運ばれるかわからない不思議感happy02
今、本を読む人ならけっこう、行けるんじゃないでしょうか。
…翻訳というだけで人数ガクッと減るんですけどね…coldsweats01

私は少ししか読んでいないので、全体像はつかんでない気がしてます。
最初に読んでからしばらく読まなかったことを考えると、どの作品から読むかで違ってくるのかなあ…なんて事も考えていて。
今は「蜂の巣にキス」も読み終わって、それぞれに違う作風なんだけど、ちょっと繋がっている感じに、へえ~ほお~ふうぅ~んと味わっています。
「犬博物館…」??
それもそのうち、読んでみますね~happy01

「犬博物館の外で」は、「月の骨」「空に浮かぶ子供」あたりからのキャラが、ちょっとずつ繋がっているお話しの一つです。
マケイブが「蜂の巣にキス」にちょこっと出てきたみたいな出方ですけど。
「月の骨」では顕著ですが、キャロルって、情景描写や、人物の心情の描き方が絶妙にウマイですよね。
情景の方は、見たことない景色まで作り出す力、心情の方は、あのなんともいえない切なさといった感情の作り出し方、あれはなかなか他の作家では得られません。
構造的にはきっとスティーブン・キングなんかに通じるものがあるんでしょうが、叩かれるの覚悟で言うと、キャロルでは深いところに感動が起きる(全部じゃないよ)けど、キングでは感動しない。キャロルの場合、感動と言っても、感動という言葉で思いつくようなタイプの感動ではないのですが(あぁ、説明しづらい)、大変心地いいです。
これってたぶんね、キャラ造形の仕方が違うんですよ、キングとキャロル。やっぱり、キングは希代のストーリーテラーですから相当のキャラになってしまう。本人はそう思われるのが嫌なようですけどね。あのアイディアと構成力は他の人にはないんだから、別にそれでいいんじゃないの、って思いますが(実は結構好き)。
わたしはどうも、読者をいい意味で放り出してくれる作家が好きなようで、キャロルはそんな作家の一人です。
キャロルの他の作品もお読みになるのでしたら、書かれた順に読む方が読みやすいかもです。長らく絶版だった短編集も文庫になっているようですから、是非、全翻訳読破なさって下さい。
実は翻訳されていないものにも、すごく面白そうなのがあって、語学力のない自分を悲しんでおります。


しあんさん、
最初から読んだ方が良いですか~confident
確かに変わった作風だけに、そうなのかも知れませんね!
「月の骨」ですごい作家を見つけた気がしましたが、ヒロインが上手く書かれているのに今ひとつ感情移入できそうでできなかったのが男性作家だからかなという気がします。
「薪の結婚」のほうがヒロインが生き生きしてる。物語の枠の大きさにやられましたね~。ミステリ読みには心地よい緊密さでした。
「木でできた海」だとフラニー・マケイブがなかなか良いヤツなのよね~「蜂の巣にキス」の友人が見た視点と考え合わせて面白かったです。
ただのミステリでは物足りない!と読者も思い作者も思ったのかな?

スティーヴン・キングはすごいですよね。
最近読んでないからアップしたことないけど。
大量に作品があるので、さらに全体像はつかめません…
すごいと思うけど好きな作家にはあげられないのは、ちょっと冷たい感じがするからかな。
性格が冷たいのではなくて、鋭さや鮮やかさと、ああいう恐い世界に深く接しているための空気だと思う…たぶん?
私はそんなに大量に恐い話読めないんで~coldsweats01

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