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「肝心の子供」

磯崎憲一郎「肝心の子供」祥伝社

芥川賞受賞したばかりの作家の、デビュー作。
会社勤めをしながらの作家活動なんですね。

ブッダとその妻や息子や孫、三代を描いた物です。
行間の空いた印刷で、どことなしにゆったり~悠久のインドを思い浮かべながら読めます。

ブッダが王子シッダールタとして親の決めた結婚をし、気の合わない妻ヤショダラとそれでも子をなします。
実家から稲を持ってきて水田を作るたくましい妻と、ひたすら木の下で瞑想する夫。
美しい妻は夫との生活は愛していたけれども、彼の内面には全く興味がないことにお互い気づいたり。

ブッダを甘やかして育てた父は、孫が生まれたと喜び勇んでやってきますが、城内の様子はどことなく変で、戸惑います。
それでも祖父は孫に名を付けますが、それは家族の束縛を語った息子の言葉からとったラーフラ(束縛)。どうゆうセンス?
名付けられた息子はこれも風変わりで、異常に記憶力がよく、すべてのものに魂があると感じて、何も捨てたがらないという。
こんなラーフラでは現実的な母とは気が合わず、やがて父ブッダの信徒が3、4千人もいるところに混じっていきます。
けれども若すぎて修行に徹することも出来ず、心惹かれた少女サリアと会い続けます。

淫蕩にふけっている修行者がいると噂になり、息子の行状を知らされたブッダは、外国へ行く一行に息子をくわえます。
ところが子供を産んだサリアは村から追われ、帰国したラーフラはすぐに行方を突き止められない。
生まれたという肝心の子は名前もつけられないまま。

捨てられた娘サリアは、老け込んだ猛女になっていました。
…こんな夫じゃあなぁ…
再会したラーフラは胸をつかれるのでした。
孫の不幸ももとはといえば、ブッダの出家のせい?
孫のティッサ・メッテイヤは、森で野生児のように育ちます。
ただの不幸とも言い切れませんが、ブッダの業績や悟りなどにはほとんど触れられていないので、そんな印象も。

ゆったりしたインドの風景の描写や、登場人物それぞれの心に映る世界の印象が刻むように描き出されていて、読者の知らない世界へ持って行かれる心地よさ。
読んで損はしませんよ。
妻が二代揃って悪役?めいているのはちょっと気になるけど。
あ、受賞作もそうでしたっけ…
しょせん理解し合えない存在なのが基本姿勢とか?

著者は1965年生まれ。2007年本作で第44回文藝賞を受賞。

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