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「隠蔽捜査」

今野敏「隠蔽捜査」新潮文庫

この次の作品「隠蔽捜査2 果断」の評価が高いので、まずこちらから読んでみました。2008年に文庫化。
仕事一途の警察官の視点で描かれます。
人の良い一警官ではなくエリートで、しかも本音吐きまくりというのがユニークなところ。

竜崎伸也は東大法学部出のキャリア組。
警察庁長官官房の総務課長とエリートコースをまっしぐら。
それも当然と思っているプライドが高いおっさんで、けっこう嫌なやつ。
最初は、こんなの読まされても感情移入できないのでどうしてくれるんだって感じですが、国家を守るために全力を尽くすのが当たり前と大まじめに考えているところが買えます。
変人と言われて心外に思う自覚のなさ。家庭を守る冷静な妻に、唐変木とまで言われるのがちょっと笑える。
硬骨漢というのか~40代なのに、ここまで古い男も今時珍しい?

対照的なタイプの同僚も~それぞれ長所短所があるのが良いですね。
警視庁の伊丹は同期であるばかりか~たまたま小学校で一緒だった幼なじみ。
そうすると親友のように思われ、伊丹の方も親しげなのだが、実は小学校時代には伊丹の仲間にいじめられたという思いが竜崎にはあり、屈折した感情を抱いているという設定。
伊丹は東大出ではなく私大出なので、出世もこれが限界と見下ろしているような竜崎には、被害者意識が抜けきれなかったんですね。
明るい性格の伊丹の方が断然取っつきは良い感じだが、本来どっちが上というのではなくタイプの違いといった描き方になっています。

警察庁と警視庁の違いというのも一般にはピンと来ないんだけど~すごい違いらしいです。
警察庁の方が断然エリートだけど、一般の警察官からすれば警視庁も雲の上なんだとか。
組織というのはこういうもんなのでしょうか。

受験浪人中の長男が思いがけない問題を起こし、自分の出世もすべて水の泡になるかもしれないという危機に、家庭を妻に任せきりにしていたことをちょっと反省するのでした。
そもそも私立には受かった息子を東大でなければダメだと言って浪人させるなんて、それが良くなかったんでは…進路によっては現実にありなんだろうけどねえ…?

折しも警察内部の不祥事も明らかになりそうになり、隠蔽工作が動き始めます。
握りつぶすべきなのか…?
正直に迷う人間らしさと筋を通す偏屈ぶりで、読後感はナイス!

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コメント

警察庁と警視庁と、どういう違いなのかって分かりづらいですよね、ほんと。組織図上では、警視庁は警察庁の下部組織のはずなんですけど、実際には独立組織みたいな感じだし。
会社でいうと、ん~~~、東京に本社がある会社の、本社が警察庁で、東京支社が警視庁、かな。県警は地方の支社ね。
どっちも東京にあって、分かりづらい、ってところが似てる。東京支社だっていくつかある支社の一つなのに、東京にあって、営業の一線だから威張ってるの(笑)
あー、それよりデパートの方がわかりやすいか。本社と本店が東京にあるデパート。
本社が本店も支店も統括しているんだけど、本店は本社の言うこと聞かないところもある。うちの方が古くてエライって思ってるの。売り上げ上げてんのはうちなんだし、とか、うち(本店)のやり方がここ(ブランド)のやり方、みたいなこととか。
支店はまた支店の独自路線があって、たまに本店とか本社の人が来ると邪魔くさい。でも、支店採用から本店とか本社勤務になる人なんて、まず滅多にいないので、それはやっぱり「上の人たち」ということで、羨望の的でもあると。
あ、そうそう、警察庁には留置場とかパトカーとか、ありません。デパート本社に店舗がないのと同じですね。

何で警視庁だけ名前が違うのかっていうと、他の県警にない部署や働きを持っていて(えーと、要人警護とか)、同じ扱いはできないからでしょうね。でも、やっぱり、「エライんだぞ」って言いたいのが一番の理由みたいな気もします。それに、神奈川県警、みたいに、東京都警とかいうと、なんか「東京時計」って会社みたいだし(笑)
あと似ているのでは、警察と検察、ってのがあるけど、これはキムタクのおかげで最近は間違われなくなったでしょうね。

sana
警視庁って、なんか偉そうですよね。
警視総監が偉そうなせいかな。
東京都警っていう内容だとは~がくっと落ちる感じ?
東京支店じゃなくて、東京本店!なるほど、これですね

警察庁ってあまり聞かないし、内部組織?みたいな。
警視って位が高いじゃないですか。その響きのせいもあるかな~。

検察官と言えばキムタク!
ドラマの影響は大きいですよね。
現場とキャリアが違う、というのは湾岸署のドラマで青島と何だっけ…柳葉の違い(もう忘れた!?)
内田康夫の浅見光彦シリーズでは、主人公はルポライターで取材先で疑われたりするけど、兄が警察庁刑事局長なので、これが黄門様の印籠がわり。
これで警察庁がなんか偉いらしいと知った人多いのでは。
でも役職名忘れていたので、検索したけど~

なんか、タイミング良く、今私が読んでいる司馬遼太郎「翔ぶが如く」に初代警視総監(大警視)がでてきちょります(維新なまり)。
ということで、警視庁という名称は警察庁より先にでてきているようです。古い言葉なので何となく威厳があるのでは。イメージとしては首都警察。フランスをお手本にしたとか。あと内務省管轄なのでやはり国家行政機関になるようです。
まだ1巻なので、詳しくは語れません。というのも知り合いからハリーポッターを借りたのと、近所のブックオフで2巻がないので一時中断中。

sanaさま
警視庁と検察庁といえば、我々高村ファンはやはり合田と加納ではないでしょうか???

あ、「翔ぶが如く」いつ頃の話か書いてませんでしたが、西郷どんと大久保どんのあたりの話です。

ごめんなさい、あと、もうひとつ加筆。もちろん今は警視庁は国家行政機関ではなく、明治政府のときのお話です~。

しげさん

そうそう、警視庁って、たしか警察庁より古いんですよね。そういう意味で、やっぱり本店なんだわ>by和久さん。だから、ある部分、本社より偉いのよ、デパートみたいに(笑)
首都警察機能っていうの、その通りだと思います。だからスコットランドヤードの日本語表記ってロンドン警視庁なんですよね、首都警察だから。警視庁って言い方は東京だけで、あとは大阪府も京都府も、大阪府警、京都府警ですもん、なんていうか、ものすごい差別化。首都なんだぞって(笑)
あと、組織図では警察庁の下部組織であるように書かれていても、全く独立した組織としてし有名なのは皇宮警察ですよね。そういえば、ロンドンに王室警察はあるのだろうか?でも、女王陛下って、ずっとバッキンガムにいる訳じゃないからなぁ。・・・・調べました。陸軍だそうです。陸軍ロンドン管区ってのがあって、師団だけれど、どこの司令部にも所属しない特別なものだそうです。それから、日本人には全くなじみがないけど、軍隊のある国って、いまでも憲兵隊が警察権を持っているんですって。へー。
でもって、陸軍ロンドン管区の同じ部隊の兵達がウィンザー城も警護しているそうです。近衛部隊もここの所属。
それにしても、バッキンガム宮殿の衛兵の人たち、ロンドンとはいえ、夏はあの帽子暑いだろうなぁ。なにせ熊だもん。はっっっっ、話が全くとんでもない方向に!すみませんっっ

>しげさん、
おおお、「翔ぶが如く」に警視庁がでてきちょりますか!
昔読んだと思うんですが…(そこまで覚えてないですわ…き、記憶がぁ)
なるほど首都警察!
東京都警とは響きが違いますね~。
内務省の管轄だったとは!?

>警視庁と検察庁といえば、
ふふふふ、合田と加納ですよねえ。義兄~

>しあんさん、
あ、スコットランドヤードはロンドン警視庁ですねえ!確かに

イギリスだと宮殿を守るのは陸軍ですか!
そうそう、近衛ですよねえ。
でも近衛部隊が現在もあるという感覚が、既にちょっと日本人にはわかりにくいですね。
イタリアも警察組織って二重だし。あれはもっと、わかりにくい~。
スウェーデンも、大事件は上の方から派遣されてくる、ってのはどこも同じだなと思いましたね。

大阪府警、よく聞きますよね。実はいぜん、親の知人がそこで偉くなったはいいけど、謝罪会見みたいなのばかりテレビで見たものでした…

しあんさんへ>横レス失礼

バッキンガム宮殿警備の熊の帽子はやはり暑いらしいです…っていうか何年か前の猛暑の時に卒倒した兵隊さんがいた…っていう話をミリおたなおじさんたちがしていたのを聞いたけど。
英国の冒険小説…ライアルとかヒギンズとか読んでいると、やっぱり陸軍の中でも近衛兵ってエリートらしいですよ…っていう話がさりげな~く出てくる。

大森署…にひかれて読んでみようかしらと思いました。高村薫のレディ・ジョーカーって大森署だった? 日の出ビールの社長の家は大森だけど合田さんは蒲田にいたような。

由比さん、
あの帽子はやっぱり、暑いんですねえ!
東京より涼しいからとは思ったんだけど…夏場の服装は変えたらどないでしょうかね。
おお、近衛はエリート!ですかぁ。

大森での事件は2冊目ですが~そうですね、由比さんだったら知っているところがいろいろ出てきそう!
ん?合田は…
警視庁捜査一課…のち、大森署刑事課強行係。警部補。
と「レディ・ジョーカー」の最初の人物紹介にありました。
きゃあ、読みたくなっちゃうわねえE:happy01]

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