フォト

おすすめ本

« 「紳士たちの遊戯」 | トップページ | オペラというパフェ »

「カシオペアの丘で」

重松清「カシオペアの丘で」講談社

2002年から4年にかけて新聞連載、2007年に単行本化された作品。
重い内容がすんなり入ってくる、この読みやすさはすごいですね。

北海道の小さな町、北都。
幼なじみのトシ、シュン、ユウ、ミッチョの4人がボイジャーを見ようと丘に登り、ボイジャーは見えなかったけれど~丘の上で見た星座がカシオペア。
「カシオペアの丘」と名付けて、大人になったら遊園地を作ろうねと言い合う。
30年がたち、そこには本当に遊園地が出来ていました!

車椅子の園長になったのは市役所勤めのトシこと敏彦。紅一点だったミッチョ(美智子)がその妻になっています。
けれども企画が出来た頃にはバブルが崩壊しかけており、小さな遊園地は5年でたちまち閉鎖の危機に。
そして事情があって町を出たきり、長らく連絡も取らなかったシュン(俊介)は、40歳を前にガンに冒され…
ユウ(雄司)の勧めもあり、やり残したことをするために、妻子を連れて故郷の町を訪ねることにします。
一人息子に病気のことを話すのは故郷で、と考えたのでした。

シュンの祖父は倉田千太郎という地元の大立て者で、かっての炭鉱事故に責任がありました。祖父は、鎮魂のために巨大な観音像を建てて、いささか悪趣味なそれは町中を見渡していました。
トシの父はその事故で死んだのですが、それを知らずに育ったシュンはある時いきなり知らされて、逃げるように町を出たのです。
学生時代に東京でミッチョと再会し、一度は恋人同士になるのですが…
故郷へ帰った美智子は、俊介とのことを敏彦には話さないままでした。

たまたま雄司が仕事で関わることになったある少女殺害事件の被害者の家族・川原も、幸せだった1年前に遊園地を訪れたことがあり、同行することになります。
重すぎるほどの内容ですが、流れるような文章で、引っ張り込んでくれます。
考えてみると、新聞で無惨な事件を知って嘆いたり、しだいに身近な人の重病が増えてくるのは誰にでも起きることですね。

命とは何かと考えさせる~愛情と希望と、生きている実感のあふれる物語。
シュンの病気の進行という辛い状態の中で、様々な人生が交錯します。
それぞれの家族が実はちゃんと愛し合っているのを確認できるので、心温まる展開。
濃い内容だけれども、よくここまで書いたものです。

« 「紳士たちの遊戯」 | トップページ | オペラというパフェ »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「カシオペアの丘で」:

« 「紳士たちの遊戯」 | トップページ | オペラというパフェ »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック