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おすすめ本

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2008年7月

「ダルジールの死」

レジナルド・ヒル「ダルジールの死」早川書房

2008年3月発行。
2007年の作品だから快調な翻訳ですね。ぎょっとするタイトルですが。

8月末の休日、家でくつろいでいたパスコー警部は、緊急の呼び出しを受けます。
警戒中のビデオショップに拳銃を持った男がいたという通報。しかし、目撃したのが~あてにならないヘクタ-巡査だったために皆が甘く考えていたところ、目の前で爆破が起こり、ダルジールが重傷を負います。

自分もけがをしたパスコーですが、合同テロ防止組織CATに加わり、慣れない職場で戸惑いながらも、まるでダルジールの代わりのように、柄にもない悪態を口走りつつ奮戦。
一方、パスコーの妻エリイは新進作家としてテレビのインタビューに答え、番組中に事件に巻き込まれます。
9.11以後の世界、出兵して死んだ兵士の家族や、モスクの導師の発言など、価値観を異にする人間のせめぎ合いの激しさが生々しい。
それも含めてエンタテインメントにしてしまうのが、たくましいです。

まじめで優しいパスコーと気の強い美女エリイも、あくの強いダルジールとお似合いの個性的なキャップも、部長刑事でゲイのウィールドとその恋人も、それぞれカップルとしては愛し合う幸せな状態にあるのが救いかな。
ダルジールの臨死体験など織り込むのも、さすがヒル。
まったく~達者なもんです。

一緒にお昼寝

Vfsh5428今日も一緒にお昼寝してます~。
ごきげんよさそう。
暑くないのかしら…?
Vfsh5432次に通りかかったときには、姿勢が変わっていました。
顔にしわが寄っちゃうよ~
毛皮でわかんないけどねcoldsweats01

「愚者のエンドロール」

米澤穂信「愚者のエンドロール」角川文庫

2002年8月、スニーカー文庫で発行。
古典部シリーズの2冊目。
古典部のメンバー4人は、学園祭を前に、上級生の入須冬実にある依頼をされます。
クラスの有志で撮影中だったビデオ映画の脚本が仕上がらず、担当者がプレッシャーから寝込んでしまったので、出来た分を見て解決編を推理してくれというのでした。

ミステリ研究会じゃないんだけどと思いつつも、思わず推理を巡らす面々。
近くにある元の炭坑町で今は廃墟となっている所を撮ったビデオ、この描写はやけにリアル。
作者の地元にモデルがあるようですね。
千反田えるの好奇心発令で動かされるホータロー、省エネだけで生きていくのもつまらないように感じ始めているのでした。
その心境の揺れ動きが、ちょっと好もしい。

ミステリとは何か、という論議もなかなか楽しかったです。
「クイーン、クリスティ、カーぐらい」読んでいる自分を「ごく普通」と思う摩耶花。海外ミステリ読みとしては確かに普通です…けど。
しかし、入須先輩は高校2年にしては威厳のありすぎ~。

愚者は、タロットでフール(つまり道化ですね)、好奇心を意味するんだそうですね。千反田えるをタロットで占った時に出たのがこれ。
エンドロールとは、映画の最後に出る画面のことらしい。
なんだかんだいって女性陣に動かされている~ホータローのことを指したタイトルのようでもありますね。

「スーラ」

トニ・モリスン「スーラ」早川書房

オハイオの川辺、メダリオン市を見下ろす丘の上の黒人の居住地ボトム。
1922年に12歳だったネル・ライトとスーラ・ピースは出会い、すぐに親友になります。

支配的な母エレーヌに堅苦しく躾られたために、まじめ一方のネル。
スーラは、極貧から身を起こした祖母エドナが家長で、大勢の人間が出入りする変わった家に育ち、母ハナも奔放。
対照的な二人でしたが、共に孤独。
スーラの父は早くに亡くなり、ネルの父は船長で不在がち、母は性格は違うけれども娘にはよそよそしかったんですね。
成長して男を惹きつけるようになったスーラは、しだいに魔女のように噂されるようになっていきます。
ネルの結婚後、一時付き合いが途絶えますが…
最後は公民権運動の起こった時期に、再会する二人。

祖母の代からの魔術的ともいえる家族の運命の転変、戦争の影響も含めた熱気溢れる街の描写、こってりと描かれる女達のこまやかな感覚が面白い。
当時、黒人の置かれていた状況は、今の日本人には想像を絶するものがありますが。
どこか寓話めいていて、食べつけない香料が入っているけれど手の込んだ贅沢なごちそうを食べるように、ぐいぐい読めてしまいます。
基本は女の友情だから、芯はわかりやすいし。
これはオススメですよ~!

トニ・モリスンは1933年オハイオ生まれ、コーネル大学で博士号を取得。
1970年に「青い眼がほしい」でデビュー。本書が73年の2作目。
1993年には、アメリカの黒人作家として初めてのノーベル賞を受賞。
この作品は1979年に一度、「鳥を連れてきた女」として訳されています。

鎌倉のクッキー

Vfsh5469違うところを開拓しようと買ってみた焼き菓子です。
鎌倉ニュージャーマンの、右手前がジャーマンクッキー。
どうしても飲み物を必要とする堅さがドイツ風?
上がバウムクーヘン。
しっとりして美味しかったです。
そういえば、バウムクーヘンて名前…ドイツ菓子かしら?
左手前はチョコレートの何だったかな~よくあるタイプで食べやすいです。

「カツラ美容室別室」

山崎ナオコーラ「カツラ美容室別室」河出書房新社

サラリーマンの淳之介は、風来坊の梅田さんと知り合い、梅田さんの住む高円寺が気に入って引っ越して来ます。
人好きのする梅田さんは、親が転々としていたため小学校卒、30過ぎて結婚もしているけれど、定職はなく出来る範囲のバイトをやっているんですね。
淳之介は梅田さんの行きつけの美容室に行き、なぜかいつもカツラとはっきりわかるカツラをかぶっている店長や、美容師の女の子たちと、花見に行ったりの仲間づきあいが始まるのでした。

美容師のエリは生き生きしていて、存在感があります。
大柄で、途中から美容師になって3年目、がんばっているけど、年下の同僚にちょっとかなわないところがあったりして。
淳之介とちょっと惹かれあうが恋愛まで発展はしない~青春というには遅い、大人の別れが来るまでの何てことない一時期の話。
高円寺は確かにこんな雰囲気の町のような気はするし、あり得そうなリアルな出来事がほどよく書かれています。
それがなかなか心地よいけれど~傑作というにはちょっと…何てことなさ過ぎ?
恋愛未満の人間関係はたくさんあるはずで、わざとそこを描いているのでしょうね。疲れたくないときに読むのには良いかも?

人を食ったペンネームと題名の何とはないおかしみがバランスぴったり。
作者は1978年生まれ、2004年「人のセックスを笑うな」で文芸賞を受賞してデビュー。
この作品は芥川賞候補になっていたはずです。

トマトの収穫

Vfsh5538裏庭に生ゴミを埋めるようになって2年、トマトが芽を出しました。
少し育ったのを日当たりの良いところへ、父が植え替えてみたところ…
Vfsh5552けっこう立派でしょ?

ひっくり返すと、こう~
Vfsh5553ちょっとプロの出来じゃあないんですけど。
そのまま食べると、さっぱりした味。
小さめに切って、コンニャクそうめんと混ぜたのもいけましたよ。
美味しくいただきました。

「教会の悪魔」

ポール・ドハティ「教会の悪魔」早川書房

2008年4月発行のポケミス。原著は1986年。
歴史教師で大量の歴史小説を書いているドハティの一番人気シリーズらしい?
ヒュー・コーベット・シリーズの一作目。

王座裁判所書記のコーベットは、ペストで妻子を失って10年、気力を失いかけながらも真面目に勤めていました。才覚を見いだされ、王の勅命を受けることになります。
妹を誘惑されて激怒した男が相手の男を殺し、治外法権である教会に逃げ込んだがその中で自殺、そんな必要はなかったはずなのに?陰謀が感じられるという次第。

出だしは暗いんで、笑っちゃうほど。中世ですから…とはいえ読む人が減っちゃうよ。せっかく人気シリーズなら~もう少し取っつきよくすればいいのに!?
探りに行った酒場の女主人である美しいアリスと恋に落ちたコーベット。
絞首刑から救った若者レイナルフを助手にして、二人三脚が始まります。このへんは楽しく読める要素です。
この後、彼の人生は好調になっていくそうですし~先が楽しみ。

時は、イングランド王エドワード1世の御代。
シモン・ド・モンフォールの乱が鎮まって20年、いまだにロンドンには王に反感を抱く者が住んでいたというから驚きます。当時のイギリスはいわば征服王朝で、王妃も外国から来ているから、その辺が日本とはかけ離れていますね。
英語がうまく話せない王もよくいた時代だったんですね~。

教会の悪魔とは、とある教会が悪魔崇拝の巣窟でもあったという史実に基づく~というんですから!何とも荒けずりで不穏当な時代。悪魔というのはキリスト教以前の宗教ということらしい。
アキテーヌ公でもあるエドワードは、つまりアリエノール・ダキテーヌの子孫って事ですね。
リチャード獅子心王、ヘンリー3世の次。
巻末のイギリス史解説が親切です。

「歌舞伎のかわいい衣裳図鑑」

君野倫子「歌舞伎のかわいい衣裳図鑑」小学館

A5版で写真中心の本です。
新聞広告で見つけ、すぐに本屋で探して買いました。
乙女のための歌舞伎案内といったまとめ方。
歌舞伎に興味を持ち始めた人はもちろん、着物好きや可愛い雑貨好きな人にも。

かるた式のタイトルをもうけて、きれいな写真を並べてあるので、どこから読んでもオーケー。
最初は「あざやか 赤姫 娘の着物」という項目で、鎌倉三代記の時姫の真っ赤な着物の写真。次のページは、商家のお嬢様・お染の着物~という調子。
「花魁」「かみかざり」「筋書き」「裾まわし」「手ぬぐい」「吹雪」「まえかけ」「役者絵」等々。「ハンサム」や「ふんどし」「びっくりコーデ」なんてのもありますよ。

さりげなく歌舞伎俳優の写真がちゃんと入っているので、乙女ならずとも楽しめると思います。
歌舞伎のパンフレットは写真が少ないし、演劇界などの雑誌も写真が小さくて読みづらいから、こういうの楽しくて良いわ。
歌舞伎座に何を着ていくか、といったことも含めた歌舞伎座への案内にもなっています。

市川染五郎・監修だから基礎知識に間違いはないし、着流しでポーズをとっている写真なども、さすがに立ち居振る舞いが決まってます。
この人、昔は苦手だった気がするんですが~いつの間にかキライじゃなくなってました。
打ち込んでいる姿に好感を持つようになったのかな。

クープ・ド・マンゴー

Vfsh5471見た目もかわいらしい~マンゴーのデザート。
アイスクリームと溶け合うとおいしい~
生マンゴーが苦手な人にはちょっときついかもしれない濃い味。
新宿小田急ハルク地下のお店です。

「スリーピング・マーダー」

アガサ・クリスティ「スリーピング・マーダー」早川書房

1976年発表の作品。
ミス・マープル最後の事件として知られるが、クリスティが筆力が衰えないうちにと前もって用意して置いた物なので、事件の起きた年代はもっと前と考えられます。
リムストックの事件(「動く指」のこと)に言及されているので、1943年より後なのは確実。

ニュージーランドで育った若妻グエンダがイングランドに来て、新婚夫婦で落ち着く家を探します。これだと思った家には、見覚えのある壁紙が。
さらに、階段の手すりの間から恐ろしい光景を見たという記憶が…
このへんの書き方もすごく上手い。
調べてみると、初めて来たと思っていた母国に、幼い頃にも一度来ていたらしいことがわかります。

18年前、この家で何があったのか?
グエンダはレイモンド・ウエストの従妹にあたるという設定だったんですね。これは忘れてました。
継母の行方不明、父の不審な死、関係者それぞれの視点で見た思いこみ…
眠れる事件を起こして、全てを見抜くのはマープル。
念を入れて書いたのでしょう~バランスの取れた作品ですね。
新しい文庫では、解説が恩田陸になっていて、これもさすがに納得のいく書き方で楽しかったですよ。

最近のドラマ化では、過去の事件はだいぶ大がかりな物になっていました。
なんというか~人物像の改変がちょっとねえ…原作通りでも十分見応えある内容だったと思うんですけど?
原作にない劇団の様子は結構、視覚的に華やかで面白かったです。設定は違うけど、好感の持てる脇役がすてきでした。

散歩道の花

Vfsh5445小さな白い花って大好き!
名前は知りませんけど~…

Vfsh5446これはノウゼンカズラですね。
夏らしい~

Vfsh5448これも可愛い!
いろんな色がありますね。

「グーグーだって猫である」

大島弓子「グーグーだって猫である」角川グループパブリッシング

大島さんの猫漫画。2冊目から3冊目までは間が開いたけれど、今回は快調に出た4冊目。5月末日発行~すぐ買いましたとも。
手塚治虫文化賞短編賞を受賞。
小泉今日子主演で映画化もされて、秋に公開予定、その写真入りの帯が掛かっています。
長年のファンとしては嬉しい。これで猫のごはん代も心配いらないだろう~なんてね。

表紙の猫の絵も可愛いですね!
猫をだっこする大島さんの似顔絵も幸せそうで、この気持ち、同じ猫馬鹿としてとてもよくわかります。
ただ、猫の名前が作中に出てくるのと違うのね。主に2004年頃の話だからでしょう。とはいえ…さらに増えているのか!?というのが~やや不安ですけどね。

猫を幸せにするために一軒家に移り住み、近所の野良猫や遊びに来る猫ともつきあいが増えていくんですね。
グーグーの出番は今回は少なめでしたけど、この子の性格の良さがとてもすてき。先住猫がこうでなければ、猫つきあいも広がらないでしょう。
タマと一緒にお散歩するシーン、何て楽しそう!
お散歩に行こうと言って並んで歩くなんて、ここまではさすがにやったことがありません。いいなあ。川まで渡るなんて!
ほんとに生き生きと描けていて。

私が出かける時に外に出ていた猫が家々の庭の内側をたたたとついてきて、途中まで一緒、ということはありました。
縄張りの角でお見送りなんですよ。
近くの草地で、まっすぐこちらに向かって走ってきたこともあったっけ…

我が家の近所もいぜんはこんな感じがあり、似たような経験もいろいろ。
子猫を連れた野良猫の痩せ方に胸を痛め、強い母親ぶりに感心しつつ、子猫を遊ばせて懐かせようとしたり。いぜん、やったわ~。
最近は、幸か不幸かほとんど野良猫がいなくなり、飼っている人も減り、飼っているうちでも室内飼いがあたりまえなので、すっかり様変わりしましたけどねえ。

最後は胸が痛くなりました。
一人で寒そうにしていた子猫のミケマルが、初めて体重を預けてきたときの感動…
すっごく、よくわかるので。

「氷菓」

米澤穂信「氷菓」角川書店

米澤穂信のデビュー作。
古典部シリーズ一作目ということになります。
「クドリャフカの順番」を先に読んで、厚さにびっくりしていたんですが、今度は薄さにびっくり。
でも中身は結構あります。処女作には全てがある、と言われるとおりですね。

神山高校に入学した折木奉太郎は、省エネがモットーという~だるい16歳。
当然、帰宅部を決め込む予定が、海外旅行中の姉からの手紙で、姉が在籍した古典部が廃部になるのを食い止めるために入部するように指令されます。
世界を股にかける活発な姉に頭が上がらないらしいんですね。地味な生き方を選んでいるのもそのせいかな?
形だけのつもりで部室を訪れた所、先客が。
すらりとした美少女・千反田えるは、地元の豪農のお嬢様。いっけん大人しそうだが好奇心の塊で、ホータローは何かと動かされる羽目になるのだった…

中学時代からの好敵手・福部里志も面白がって入部。ソフトな外見で、データベースを自認する博識だけど、興味が赴くままに行動するので授業には身が入らない。
もう一人、ホータローとは幼なじみの摩耶花も~里志を好きなので追っかけて入部してきます。こっちは小柄だけど気が強い女の子。
里志は手芸部、摩耶花は漫研との兼部です。
先輩がいないので、何をやるのかわからない古典部に、こうして集うことになった4人。

えるの伯父が行方不明になっており、かって古典部在籍中に何かがあったらしい。幼い頃に伯父に話を聞いた時に泣いた理由がはっきりしないことを気にして入部した彼女のために、断片的な記憶からみんなで推理することになるのでした。
個性的なメンバーの集まり方が新鮮。軽快に読めて、なかなかユニーク~面白かったです。

杏のドラ焼き

杏と抹茶とふつうのと3種類のどら焼きを食べました。
切って分け合ったんですよ~もちろんcoldsweats01
Vfsh5519左のこれが杏餡のもの。
別に違和感はなく美味しくまとまってました~けど、どら焼きが食べたい!という気分とは別物?
抹茶のは、外側が抹茶色で中は小倉餡でした。
ちょっと、緑が鮮やかすぎる気がしましたけどね~味は美味しかったです。
ふつうのは、ふつうに美味しかった!
文明堂です。
右の皿に入っているのは、ふだんからよく食べているお煎餅や豆delicious
身体に良いおやつです~。

「復讐はお好き?」

カール・ハイアセン「復讐はお好き?」文藝春秋

2004年の作品、日本では2007年発行。
ハイアセンの長編小説11作目。
アメリカでは犯罪小説界のマーク・トゥエインと言われているベストセラー作家なんだそうです。
強烈なキャラが登場し、にぎやかで面白おかしく痛快な作風。
初めて読んだ「幸運は誰に?」は1997年の第7作だったようです。

ヒロインのジョーイは、夫のチャズと共に豪華客船の旅に出ていたが、船縁から突き落とされてしまう。
結婚記念日だったのに!?
かって水泳選手だったジョーイは、からくも生き延びます。
命を助けてくれたのは、島で一人暮らしのミック。これが元捜査官の50男。
納得がいかないジョーイは、ミックと共に、ろくでなしの夫に復讐を企みます。
気が強くて生きの良い美人のジョーイ。どうやら男を見る目だけがなかったらしい…?
ジョーイは元々すごい資産家だが夫にはまったく遺産は渡らないので、まず動機がわからないんですね。

痛烈に描かれる夫のろくでなしぶりには~もう笑うしかないです。
ハイアセンはフロリダの自然保護に取り組んでいるので、悪役は害毒を垂れ流してごまかそうとする企業の幹部。
しかし、フロリダの自然もたくましいので~なかなか手強そうです。害する者に対しては容赦しない?一面も…
悪役下っ端のトゥーイと老女の関わりが意外に切なくて~泣けます。

「つくもがみ貸します」

畠中恵「つくもがみ貸します」角川書店

2005年から7年にかけて書かれた作品で、7年9月発行されたもの。
「しゃばけ」とは別、でも同じ世界同じ頃の話らしい。

深川で、古道具屋と損料屋を兼ねる小さな店・出雲屋は、姉と弟が経営していました。
姉弟といっても実は、身寄りを亡くした従姉弟同士なのです。
損料屋とは、何でもレンタルショップといいますか~家事や引っ越しが多い江戸では、食器から布団から貸してくれるので、重宝されていたらしい。

道具も百年たつと「付喪神」が宿ることがあるという設定で、口をきく道具達が事件の解決に活躍する話。これも一種の妖怪ですね。
綺麗で見た目よりも気の強い姉・お紅が気にしているのは、蘇芳という銘のある茶椀。
その理由は…? だんだんと、わかってきます。
お紅をくどいていた男の行方を、内心は気にする弟でした。

落ち着いた雰囲気で、安心してすんなり読めます。
さりげなく粋な采配をする弟の清次、素直な子みたいだけど~素直ななりにキャラがもっと立っていても良かったかな…?

猫は避難中

先週の土曜日のことですが~(後で移すかも)
すごい雷雨があって、私があちこちの窓を閉めて回りながら、落雷のたびに思わず「怖~い」と口走るたびに、ついて歩いていた猫はいる場所からダーッと飛び出して、走って逃げてました。どこにいても安全でないと思うのか、じっとしていられないらしくて。
Vfsh5473途中で姿が見えなくなったので、探したら母が「パパの椅子のところにしっぽが見える」と…
確かに!
Vfsh5475頑丈なテーブルの下なので、
これは賢い選択ですよね~happy01

「ブランディングズ城の夏の稲妻」

ウッドハウス「ブランディングズ城の夏の稲妻」国書刊行会

2007年9月発行。原著は1929年。
ウッドハウス・コレクションで、ジーヴス物はもう8冊も出したんですね。
4冊ぐらい読んだのかなあ…
これはウッドハウス・スペシャルとして出始めた2冊目。

第9代エムズワース伯爵クラレンス卿は、気の良いボーっとしたお人柄。
小さな脳みそは豚やカボチャを育てることでいっぱい。中でも受賞した豚のエンプレス・オブ・ブランディングズが何よりの誇り。
ブランディングズ城には今日も若者達が集い、恋模様が行き違います。

姪のミリセントと甥のロニーを結びつけようと~卿の妹でうるさ型のレディ・コンスタンスは画策しているのでしたが。
ミリセントに恋する秘書のヒューゴ、コーラスガールのスーに恋する甥のロニーの計画が行き違って、二転三転します。
騒動の渦中で、卿の最愛の豚エムプレスが行方不明に!?

一方、卿の弟ギャリーは回想録を執筆中。
過去のとんでもない行状が書かれそうで隣人が気を揉み、レディ・コンスタンスも社交界で立場がなくなるのではと恐れています。
執事も出てきますが、ジーヴスほど超人的でないのがみそなのかも。
復帰を目指す元秘書バクスター、私立探偵ピルビームが入り乱れ?大笑いの一幕。
このシリーズも好きですねえ~楽しく読めました!

巻末に作者が見知っていたらしい~偉大な豚エンプレスと同じ種類の豚の写真があります。
耳がたれている大きな黒豚で、イギリスではもう黒豚は廃れているらしく、黒豚が一番人気があるのは日本だとか。そういえば、黒豚のシューマイとかありますよね。

「シャドウ」

道尾秀介「シャドウ」東京創元社

2006年9月発行の作品。初めて読んだ作家さんです。
小学生の凰介の母が癌で亡くなった所から始まります。
お葬式から始まる作品って意外に多いけど、小学5年の子供の母親ってのは。
しかも母の親友が数日後に飛び降り自殺、その娘・亜紀は通りに飛び出して事故に遭い、凰介が頼りにする父親までも様子がおかしくなる…
…これって、ホラー?かと思った…

もともと父親同士は同じ相模医科大学の出身で親友、母親同士はその後輩で親友、子供も偶然同じ学年。
幸せな家族らしく見えた彼らに、いったい何が起こったのか?
父親の洋一郎と二人で、静かな家庭生活を送ろうとするけなげな凰介くん。
どう転ぶかわからない展開は特に後半、読ませます。
シャドウという言葉の意味もなかなか~深いです。

急展開で解決を迎えはするものの、重い事件で、子供二人の母親が亡くなっている状態は変わらないから…
作り話とはいえ全面解決とは言い難い気分が残りますが、救いはある結末になっています。

「影の棲む城」

ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の棲む城」東京創元社

「チャリオンの影」の続編。五神教シリーズ三部作の二作目。
五つの神を信仰する神殿が並び立ち、チャリオン国民は皆どれかに属するという設定の世界。
というとわかりにくいですが~中世スペインがモデルのようです。
前作は、王女イセーレを助ける宰相カザリルが主人公でしたが、今回はイセーレの母イスタが主人公。

イスタは狂える王妃として長く軟禁状態にありましたが、実際には神の手が触れた聖者だったのです。
チャリオン王家に伝わる呪いの影響も強く受けながら、その意味もすぐには知らされずに孤立を強いられた若き日。
我が娘が王位についた今、自由を求めて巡礼の旅に出るのですが…

何かに導かれるように、進路は変わっていくのでした。
ジョコナ大公国との国境に近いポリフォルス郡で、国太后イスタは攻防戦に巻き込まれます。
郡侯アリーズ・ディ・ルテスは、イスタと深く関わりのあるかっての宰相ルテスの息子。
このアリーズが実は、3ヶ月前すでに命を落としながら、妻の魔法によって、昏睡状態にある異母弟のイルヴィンの生命を貰うことで動き回っていました。
そして、イルヴィンこそ、イスタの夢に出てきた男性。
再び神の手が触れたイスタは、ジョコナから放たれた魔を退治する役割を担うことに…?

宰相府の急使という馬での飛脚のような仕事に就いていたリナという娘がイスタの侍女兼馬丁となり、さっぱりした気性がすがすがしいです。
前作にも登場したフェルダとフォイのグーラ兄弟という騎士2人も活躍。
この若者組と、アリーズとイルヴィンの中年組と、ハンサム兄弟を二組も従えつつ、イスタは華麗な復活を遂げるのです。

「影の棲む城」っていうタイトル…まあ、そうなんだけど。
子供を2人生んだ40才の女性がヒロインというのは珍しいでしょう。
ここを売りとして題に出せたら、その方が良かったんでは。難しいですかねえ…?
大人の女性にぜひお勧め。

「ナイチンゲールの沈黙」

海堂尊「ナイチンゲールの沈黙」宝島社

デビュー作で大ヒットの「チーム・バチスタの栄光」に続く第二弾。
2006年10月発行。
デビュー作よりも描写そのものは力が上がっている印象ですが、内容的には、う~ん、どうだろう…
三作目「ジェネラル・ルージュの凱旋」とほぼ同時期の話で、出だしは同じ。

観点がどんどん変わっていく所はちょっと面白い。
東城医大付属病院で小児科に勤務する看護師・浜田小夜は、眼の癌を摘出することになる子供達を心配していました。
彼女は歌にたぐいまれな才能を持ち、病院の忘年会で個人賞を取ったのはほんの手始め、入院してきた有名な歌手・水落冴子と彼女を育てた男性・城崎に見込まれます。
冴子の因縁の曲・ラプソディを聴いて倒れてしまった小夜ですが…
「ジェネラル・ルージュ」で活躍する同じ看護師仲間の翔子とは、対照的な個性。一見大人しそうな小夜にこれほど振幅があるとは!?

田口医師は、子供達のカウンセリングを行うことになります。
14歳の患者・牧村瑞人の父が殺され、事情聴取の場として不定愁訴外来が使われることになります。
事件に絡んで警察庁から出向してきた加納警視正が登場。見た目は加納の方が勝つらしいけど~例によって途中から現れる白鳥は、この加納と同期だったりします。
医学物としてのスリルや現実味を期待すると、ちょっと途方もない部分があって…それもそれなりに読ませるけど、なんか納得いかない感じも?

これはね~書き方が…読者にとって心地良い構成になっていないの。ネタばれにならずに指摘するのが難しいけど!
「ジェネラル・ルージュの凱旋」の方が面白かったので、その補完みたいな物と思えば、良いかなあ。
しかし、こんなに事件の多い大学病院へは行きたくないぞ…っと。
その後の「螺鈿迷宮」になると、さらに若向きというのか妙にブラック&ゴシックな話になるので、ちょっと…??

2008年前半に紹介した国内小説

2008年1月
「吉原手引草」松井今朝子
「うそうそ」畠中恵
「制服捜査」佐々木譲
「春期限定いちごタルト事件」米澤穂信
「夏期限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信

2月
「名もなき毒」宮部みゆき
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「似せ者」松井今朝子
「映画篇」金城一紀
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「終末のフール」伊坂幸太郎
「天璋院篤姫」宮尾登美子
「信長の棺」加藤廣

3月
「コキュ伯爵夫人の艶事」藤本ひとみ
「オーデュポンの祈り」伊坂幸太郎
「れんげ野原のまんなかで」森谷明子
「着物をめぐる物語」林真理子

4月
「チーム・バチスタの栄光」海堂尊
「太陽の塔」森見登美彦
「私の男」桜庭一樹
「街の灯」北村薫
「サクリファイス」近藤史恵
「楽園」宮部みゆき

5月
「中庭の出来事」恩田陸
「ちんぷんかん」畠中恵
「この本が、世界に存在することに」角田光代
「Teen Age」角田光代、瀬尾まいこ、川上弘美ほか
「ジェネラル・ルージュの凱旋」海堂尊

6月
「ベーコン」井上荒野
「まんまこと」畠中恵
「重力ピエロ」伊坂幸太郎
「仏果を得ず」三浦しをん
「ボトルネック」米澤穂信
「鴨川ホルモー」万城目学
「クドリャフカの順番」米澤穂信
刑34冊…かな?

日本の作家をあまり知らないので、遅れを取り戻そうという意識があって~直木賞候補や本屋大賞などに名前の出る作家の作品で好みに合いそうなのを見つくろっています。
お気に入りの畠中恵、伊坂幸太郎が3冊ずつというのを抜いて米澤穂信が4冊!
「クドリャフカの順番」か「ジェネラル・ルージュの凱旋」どっちがベストかなあ…
海堂尊もアップしたのは2冊だけど、実は読んだのは4冊でした。
今年前半は他に、「クワトロ・ラガッツィ」や、最相葉月の2冊など小説でない本も印象深かったです。

2008年前半に紹介した海外小説

2008年1月
「双生児」クリストファー・プリースト
「幼き子らよ、我がもとへ」ピーター・トレメイン
「数学的にありえない」アダム・ファウアー
「ギフト」アーシュラ・K.ル=グウィン
「赤き死の訪れ」ポール・ドハティ
「飛ぶのがフライ」ジル・チャーチル
「祝宴」ディック・フランシス

2月
「殺しはノンカロリー」コリン・ホルト・ソウヤー
「竜と竪琴師」アン・マキャフリイ
「水底の骨」アーロン・エルキンズ
「ガラスの宮殿」アミタヴ・ゴーシュ
「でかした、ジーヴス!」P.G.ウッドハウス
「贖罪」イアン・マキューアン
「幸運は誰に?」カール・ハイアセン

3月
「略奪」アーロン・エルキンズ
「ヴォイス」アーシュラ・K.ル=グウィン
「ジェイン・オースティンの読書会」カレン・ジョイ・ファウラー
「奇跡の自転車」ロン・マクラーティ
「ジェイミーの墓標」ダイアナ・ガバルドン

4月
「病める狐」ミネット・ウォルターズ
「骨の島」アーロン・エルキンズ
「ウォッチメイカー」ジェフリー・ディーヴァー
「黄金の羅針盤」フィリップ・プルマン
「時の彼方の再会」ダイアナ・ガバルドン
「Y氏の終わり」スカーレット・トマス
「終決者たち」マイクル・コナリー
「骨の城」アーロン・エルキンズ

5月
「マンスフィールド・パーク」ジェーン・オースティン
「白い犬とブランコ」莫言
「パイレーティカ」タニス・リー
「リヴァイアサン号殺人事件」ボリス・アクーニン
「大鴉の啼く冬」アン・クリーヴス
「説きふせられて」ジェーン・オースティン

6月
「血染めのエッグコージイ事件」ジェームズ・アンダースン
「竜の挑戦」アン・マキャフリイ
「物しか書けなかった物書き」スロバート・トゥーイ
「死体にもカバーを」エレイン・ヴィエッツ
「オドの魔法学校」パトリシア・A・マキリップ
「狡猾なる死神よ」サラ・スチュアート・テイラー
「切り裂かれたミンクコート事件」ジェームズ・アンダースン
「愛は売るもの」ジル・チャーチル
「シタフォードの秘密」アガサ・クリスティ
計42冊。

アン・マキャフリイとアーロン・エルキンズの抜けてるとこ補強期間みたいな感じありますね。ル=グウィンやガバルドンも。
あとは、初めて読んで2冊続いたという作家もけっこう多い。ハイアセンとかアクーニンとかアンダースンとか。
「双生児」や「数学的にありえない」も変わった面白さだったなあ。
ベスト本は~「ガラスの宮殿」と「贖罪」が印象強いかな…
「ガラスの宮殿」はなぜか翻訳者の名前が先に出ますが~アミタヴ・ゴーシュという作家です。
イアン・マキューアンの「贖罪」は「つぐない」という題で映画が公開されました。
ミステリなら「狡猾なる死神よ」が好み。

桜桃のモンブラン

Vfsh5454あれこれ迷った末に、ちょっと珍しい気がしたチェリーのデザートに。
チョコクリームの下はカスタード。
上の柔らかさの割にケーキは固くてガッツリ。
渇いた食感は紅茶に合うんですが、ちょっと切りにくかった。(デザート職人しんごちゃんにつくって貰ってキャアキャア喜びつつ「…固い」と言ってちらっと見るゲストを連想してしまいましたよ。前夜の扮装が綺麗だったもんで印象に残っていて)
上に載ってるのは砂糖錦でしょうね。…あれ、佐藤錦っていうんでしたっけ?
シャーベットもいけました。…桜桃じゃなくてラズベリーのシャーベットだったように思うけど。
7月に入って、高野のパフェはやっぱり桃がメインに変わっていましたけど~
マンゴーのデザートも2種類はあったようです。

「きつねのはなし」

森見登美彦「きつねのはなし」新潮社

ホラー風味の連作集。2004年の作品。
暗闇や夜風、ちょっとした物音が怖くなるような…こういうムードの本が読みたくなる時もありますよね。

古道具屋でのバイトをする大学生に、女性の店主ナツメはお屋敷の老人に届け物をする役を頼みます。偏屈そうな老人と決して物のやり取りはしてはいけないと言いつつ。
さて、どうなるか…当然、言いくるめられていつの間にかやり取りしているわけで…

家庭教師のバイトや、幼馴染みの部活動仲間など、いかにもありそうな生活の描写に混ぜ込んだ、怪しげな小度具の使い方は巧み。
どこかに何かが潜んでいる…というムード。
古い屋敷で起こる展開が後半、急にくっきりCG映画みたいですが…
「夜は短し歩けよ乙女」とはまったく違うシリアスで怖い路線です。
あ、でも、古道具屋などはどっかで繋がるのかな…?

「殺人作家同盟」

ピーター・ラヴゼイ「殺人作家同盟」早川書房

ラヴゼイの2005年の作品。日本での発行は2007年。
ダイヤモンド警視が探偵役ではないが、前作で共演のヘンリエッタ・マリン警部が捜査の指揮を執ります。

チチェスターにあるアマチュア作家サークルに、妻を亡くして3年のボブが、娘に勧められて顔を出してみます。
いぜん講演に来たことのある出版者ブラッカーが家に放火されて死んだばかりで、なんとサークルの会長が事情聴取され、逮捕に。
どうもブラッカーというのがあくどい人間で、おだて上げて本を出すようなことを言いながら~実は詐欺まがいの自費出版だったらしい。
紳士的な会長モーリスは女性会員の人気者で、会長の無実をはらそうと、会員はてんでに捜査を始めます。
そして、また起こる殺人事件。

未解決の事件について書いていた会長のモーリス、伝記を書いていて会計と書記をつとめる地味な中年女性、ちょっとエロっぽい詩を書く元気な女教師、RPG風ファンタジーを書いているオタクな若者(実は一番才能がある)、暮らしの知恵をまとめた教会執事の未亡人、ロマンス小説を12作書き上げた女性、自分は作品を書かずに言葉の間違いを指摘するだけの役所勤めの男性、来てもメモにいたずら描きをするだけの金髪の若い娘…
癖のある会員を調べ上げる捜査員もまたそれぞれ特徴があり、両方の側から描かれる顛末がなかなか読ませます。

ラヴゼイほどの手練れにしては、ちょっと詰めが甘いというのか?ボブのキャラクターが掴みにくいので入りにくいのが難。
女性達にすぐ信頼されるほどの人間なら、もっと魅力的であっても良いのになあ…?
ミステリとして十分、水準は行ってます。

「さよなら妖精」

米澤穂信「さよなら妖精」東京創元社

2004年2月の作品。
シリーズものではなく、妖精といってもファンタジーでもありません~。
高校時代の思い出と1年後の謎解きを描いたもの。

91年の春に、高校3年の守屋らが出会った外国人の少女マーヤ。
17歳のマーヤは、後になれば妖精といいたいような存在だったかも知れません。
旅館の娘いずるの元に滞在した彼女に、弓道の試合を見せたり、旧市街を案内したり。
日本語は話せるがわからないことも多いマーヤの質問に答えたり、日常の謎を楽しんだ2ヶ月でした。
このあたりは地方都市の空気感が伝わってくるようで、みずみずしく書けています。

92年の夏、大学生になった彼らは、手紙の来ない彼女の行方を求めて連絡を取り合います。そこには大きな謎が…
マーヤの母国はユーゴスラヴィアで、その後分裂して独立したどの国が故郷なのか 、明言していなかったのでした。どの国かによって、92年の政情は全く違うのです。
異色作ですが、男子2人女子2人(プラス部外者)という組み合わせは、読者にとって入りやすいかな。
デビュー作の古典部シリーズとほぼ同じですから。守屋の女友達センドーは千反田のようにすらりとしているけど、気が強くて性格は違います。

良心的な内容で、若い人が外国の実情に興味を持つには、きっかけの一つになりうるかも。
ここをいつも読みに来てくれるお友達には~特にオススメというのではないんですが。
紅白饅頭とか、日本の風習を見直すという意味では、ちょっと面白いかな?

なんかねえ…後半が盛り上がりそうで盛り上がらない、ここで終わるのは勿体ないですね。いや盛り上がるというのでなくとも良いんだけど。
調べただけで終わり?彼らにとって何だったわけ?特に主人公にとって、今まで何してたかって、そりゃ受験だろうけども。
ほんの少し成長するために必要な1年だったのか…
急に立派になるのも読者からかけ離れてしまうから~ワンポイントだけにしたのかしら。
哀しい結末なだけに、一瞬の気持ちだけでなく、もう少し変化した状況を見せて欲しかったかなあ。

マンゴーの蒸しパン

Vfsh5419マンゴーの蒸しパンとゼリーです。
こんなのもあるんですねえ!
意外としっかり、マンゴーの味がしましたよ。
マンゴーは豊作なんでしょうか。

「動く指」

アガサ・クリスティ「動く指」早川書房

BSで放映されたドラマを見る前に、読んでみました。
1943年の作品。探偵役はミス・マープル。
最近のは暗赤色の背表紙で、クリスティ文庫として刊行されています。
私が持っているのは赤い背表紙の文庫(イラストは真鍋博)ですが、もう紙の色が茶色っぽくて読みにくいので、おいおい買い直すつもり。

語り手のジェリー・バートンは飛行機乗り。
第二次大戦で負傷し、リハビリ中は田舎でのんびり暮らすように医者に勧められて、妹ジョアナと共にリムストックで家を借りることに。
都会派の兄妹が、時に忘れ去られたかのような田舎町へ。
しかし、匿名の手紙が舞い込み、田舎も平和ではないと知ります。嫌がらせを笑い飛ばして最初は面白がった2人ですが。

シミントン弁護士の継娘ミーガンは、学校を出てから何もせず、20歳近くなってもおしゃれっけもなく反抗的で、母親の再婚相手と年の離れた弟たちのいる家庭で浮いていたのでした。今ならニートってとこでしょうか。当時は別に勤めなくとも~女らしくしていれば目立たなかったでしょうが。
ミーガンと親しくなったジェリーは、半ば放置されているミーガンの扱いに憤慨し、かばうようになります。
匿名の手紙が町中に届き、しだいに空気は険悪に。ひどい内容の手紙を受け取ったミーガンの母が自殺してしまうのです。
牧師夫人の元に滞在していたミス・マープルの鋭い目が光ります。

ジェリーとミーガン、妹ジョアナとグリフィス医師の二組の恋模様が楽しい~ロマンス色の強い作品。
ベスト5に入るほどではありませんが~マープル物らしい特色もあり、読み返した回数ではベスト10に入るかも。

[犯人はゼッタイ書きませんが、ややネタばれ含みますので~これから見る人はご注意!]
ドラマは、原作にない大佐の自殺で始まり、これでマープルが村に来たことになってますが、さほど必要性が感じられなかったな…
このシリーズでは、かってはタブーだったことを強調した改変は多いんですが。
ジェリーの負傷の理由が、バイクで自殺を図ったためと一捻りされていました。戦争から無事に帰っても精神的に参っていたわけで、まあ、これはありかな…
そのためジェリーの屈折がやや強くなり、お洒落で陽気に見えるジョアナも兄の自殺未遂で実は心を痛めている女性になっています。

中盤は原作通りのセリフが多くて、楽しめました。
歴史ある古い街並みや2人の住む家の可愛らしいこと!
流行の先端を行くジョアナの派手なファッションも見応えあります。
家庭教師のホーランドが普通の美人になっていて、原作通りの方が面白いかな。
ミーガンの野暮ったいはずの服装は、最近のカジュアルなラインからすると別におかしくないですね。ちょっと時代が早いと思うけどファニーフェイスでヘップバーンみたい?
原作ではジェリーがロンドンに連れて行くのを、ドラマではジョアナが綺麗にしてあげることになっていて、まあそれでも良いけれど~ジェリーの対応がちょっとな…
男性が一方的に女性を救うような描き方は避けたのかしら?
細かい改変があまり効果的でないように思えて、ちょっと気になりました。
好きな作品だけにね~俳優のキャラは合ってるし、基本的にはオッケーなんだけど。

踊る人達

Vfsh5435参道で小さなお祭りをやっていました。
ダンスフェスティバルにしては?狭くて混み合っていましたが~
買い物の行きと帰りに見ていきました。
Vfsh5436焼きそばやポップコーンの匂いが漂って、踊る人達も見る人達も楽しそう。
お祭りの雰囲気は好きなんですよ~。
主体的に参加するエネルギーはないから、ちょっと覗いて元気を貰う感じかな。

「アキレス将軍暗殺事件」

ボリス・アクーニン「アキレス将軍暗殺事件」岩波書店

昨年、「リヴァイアサン号殺人事件」と2冊同時刊行されたもの。
ファンドーリン・シリーズの4作目だそう。
日本赴任からモスクワへ帰国したばかりの美青年捜査官エラスト・ファンドーリンは、滞在したホテルで旧知の将軍の死に遭遇。
アキレスと讃えられ、尊敬を集めていた将軍の突然の死…
自然死なのか?

モスクワは久しぶりで政治の動きに疎くなっていたファンドーリン。
将軍は財産を整理し、大がかりな陰謀に関わっていたらしいことが解ってきます。
謎の歌姫も登場、世紀末のモスクワで冒険が始まります。
天才的な盗賊を追って、引退した恩師と共に暗黒街へと乗り込み、白い目をした暗殺者と対決に。
暗殺者の側の物語もかなり長く、因縁の対決で、読ませます。暗殺者の風貌などはちょっと「ダ・ヴィンチ・コード」を思わせます~。
当時の政治の動きや将軍のモデルが実在したそうで、あまり知らない部分なので興味深いです。

日本から連れ帰った忠実な従者がマサ。シバタ・マサヒロっていうんですよ。
漢字でどう書くのか知りたくなるけど、それは原作にないわけで。
仲が良くて~一緒に忍者ばりの鍛錬をしたり、何かというと刀を持ち出したり、張り切って働くんですが。
失敗するとしょげかえるのをファンドーリンが鼻を撫でて許してやったり(愛犬か?)愛すべきキャラクターです。
ファンドーリンが気持ちを静めるのには書道で一字書いたりと…作者の日本通ぶりが発揮されてます。
これが一番の読みどころかも?

メレンゲのタルト

Vfsh5414PAULのメレンゲレモンタルト。
この見た目に目が釘付け~。
クッキリした味で美味しかったです。
一人で食べるにはやや大きめだけど、そこがまたコタエられない…
親に一口だけ分けてあげましたbleah

「竜の反逆者」

アン・マキャフリイ「竜の反逆者」ハヤカワ文庫SF

パーンの竜騎士シリーズ正伝7作目。
89年の作品、日本では95年発行。
主人公は竜騎士や城塞の太守といった立場ではなく、竪琴師でもなく、土地を流浪する運命の人達です。

テルガー城塞の太守の姉で、自らの城塞を作ろうと目論むセラ。
竜の声を聞く才能のゆえに点々とする少女アラミナ。
家を飛び出して、南ノ大陸を開拓したトリク。
やがて正規の太守ではないものの、実力を蓄えていったトリクの元で、未知の海岸線を調べに行く若者ピイマアも、登場した段階ではそうでしょう。
城塞を行商して渡り歩く隊商の息子ジェイジが一番主人公ぽいかな。
糸胞の降らない時期の終わり、警報を甘く見て外を移動していた隊商が糸胞に襲われるシーンはリアルです。
この時は少年だったジェイジが苦難の道を成長して、読み終わる頃にはしっかりした青年になるのを見届けた気分に。

悪役の女性セラは強烈~。良い人間ではないのだが、なかなか能力はあるんです。流動的な時代に、大巖洞の洞母は尊敬されても、女性が城塞の太守になる道はない、というあたりはちょっと同情するかな。
最後にロビントンらいつものメンバーが揃い、先祖の植民者の残した物の発見が始まります。

抜けたのを遡ってシリーズをヘンな順番で読んでいましたが~この前作の「竜の太鼓」はずっと前に読んだので、私としてはいちおう繋がったことになります。
「竜の太鼓」はピイマアが主役でした。
な、懐かしい…
その後の作品ではいつの間にか結婚して子持ちになっていたピイマア。名前が可愛すぎて、イメージ浮かばなかったんですけどね~。最初は見事にフラれますが、この後半で本命に出会うんですね。

海外ドラマ「シタフォードの秘密」

クリスティの原作をイギリスのグラナダTVがドラマ化したもの。
先週やっていて、結末が原作と違うなと思っていたんですが…
実は最初の方を見ていなかったので、見てみたら最初から全然違うのね!
ちょっと改変しすぎじゃないかなあ??

トレヴェリアン大佐は、原作では金持ちで有能だったが金に細かいという程度の設定。
ドラマではチャーチルの跡を継ぐ次期首相候補。軍人仲間でかって大佐に命を助けられた政務官エンダービイが側に付いています。
原作ではバーナビ少佐に相当する役どころ。豪雪の中を2時間かけて大佐の様子を見に行くのです。

原作ではシタフォード荘は大佐が建てた物ですが、ドラマだともっと古い物みたいだな…まあそれはどっちでもいいんだけど。
大佐は人に貸したわけではなく、はっきりしない理由で、偽名でふもとの旅館に泊まるんですね。
そこで旧知の泊まり客のウィリット母娘と共に降霊会に大佐本人も参加、後にベッドで刺されているのが発見されます。
大佐本人もこの母娘も、けっこうとんでもないキャラに変更されてました。
容疑者のジムは甥ではなく血の繋がらない養子という設定に。
近所のパーシハウス夫人(原作だとこの表記、ドラマはパースワースだったかな)は名前だけ使って全然別な設定に。
他に創作された疑わしい脇役も必要ないような気がするんですが…

犯人の動機はクリスティの他の小説にあったと思うので~他の改編もそっちにあった物なのかも知れません。
つまり、二つを合わせたという。でないと、ややこし過ぎるだけという感が。1931年に発表された作品だけど、45年前後の作品のどれかかエジプトに関わりのある作品か…??
容疑者ジム、婚約者エミリー、新聞記者チャールズの個性はほぼ原作通りだけど、筋が違うと内面は違ってきますね。

原作はちょっと地味だし、思い入れもそれほどないので、まあいいけど~。
もっと微妙な改編がされているだけの「動く指」の方が、好きだった作品なので実は気になりますcoldsweats01

しっぽが2本

Vfsh5357並んでいます~。

うちで撮った写真を見せると
「猫は2匹いるの?」
と聞かれることがあります。
Vfsh5358とっても仲良しなんですよ~。

Vfsh5356舐めてあげています。
毎日、舐めすぎたので頭がはげちょろけですが…

Vfsh5363うちに来た時から一緒にいる妹がわりのヌイグルミなんです。

「グラスホッパー」

伊坂幸太郎「グラスホッパー」角川書店

2004年の作品。
フロイラインという非合法な活動をしている会社に入り込んだ鈴木。
妻の交通事故死の原因を作ったのが、ここの社長・寺原の息子と知った復讐のためでした。
大学で教授が言った言葉「これだけ個体が接近して生活する動物は珍しい、人間というのはほ乳類というより虫に近い」を鈴木が思い出す所から始まります。

仕事先で入社動機を怪しまれ、やって来た寺原の息子と刺し違えようかと思い詰めていた矢先に、仇敵が目の前で交通事故に遭います。誰かが押したように見えたため、鈴木はその男を追うのです。
「押し屋」という殺し屋がいるらしい…

その事故をたまたまビルの上から見ていたのは「鯨」というコードネームの「自殺屋」。これは、依頼されて自殺に追い込む殺し屋なのです。
一方、「鯨」に仕事を頼みながら、今度は「鯨」を疑うようになった政治家が、「蝉」という若い殺し屋に鯨の殺害を依頼。
鈴木の追っていった男は一見ごく普通の家に住み、ごく普通の家庭を営んでいました。戸惑いながら接近する鈴木に、一家の主はグラスホッパーの話をします。

息子を殺された寺原の組織は、「押し屋」を探しに出て戻らない鈴木を追います。
巡り廻って~殺し屋同士と鈴木を追う組織が次々に対決するという展開に。
奇妙な巡り合わせがスリリングで面白い。
アクションシーンはスローモーションの映画のような描写になっています。
推理小説ではないけど~犯罪小説という意味で、伊坂幸太郎の作品の中でもミステリ色が強い作品ですね。
社会批判も含んだぴりっとダークな内容ですが、アクション物としてタイトな構成で、一気読み出来ます。

十二単の巻き寿し

Vfsh5416十二単巻きというお寿司です~。
ネーミングと色合いに惹かれて。
(家を出る前に、ちょうど瀬戸内寂聴解説の源氏物語をやってたんですよ)
12種類入っているそうで…
卵、きゅうり、椎茸、人参、蟹、かまぼこ、ゴボウ、かんぴょう、何か山菜と魚…あとは何だろ??
美味しかったで~すdelicious

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