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「ベーコン」

井上荒野「ベーコン」集英社

9人の人生の一こまを描く短編集で、それぞれのシーンで印象的な食べ物がタイトルになっています。
とてもわかりやすい文章で、その場にいるようにすんなり情景が見えて来るのに感心しました。

6歳で家を出た母が亡くなり、思い出もない母が一緒に住んでいたという年下の男性の農園へと、度々訪ねていく娘の話。
これが巻末の「ベーコン」~幸せな結婚を控えている娘は母を恨んでいるわけでもない、この男性に惹かれているというのでもないけれど、どうも気になってしまう、そんな空気が自然に感じられます。

「煮こごり」は、30年来の愛人で70になる男性・鵜飼が時々作ってくれたお気に入りの料理。
彼がサファリパークで虎に噛まれて事故死したと報道で知って、女性は驚きます。
結婚しているはずが独身だったと知り、初めて住所を訪ねてみると、他にも愛人がいたことを知る話。そこはかとないユーモアが漂い、面白かったです。
他に、仕事に行けなくなった夫と、キャットシッターをしている妻の話など。
けっこう変わった設定が多いのですが、想像出来ないほどではない…人生のいささか困った状況も決して否定しない、穏やかな筆致。
そして出てくる食べ物が~異常に美味しそう!
若い女の子が不倫している場合には、もうそいつとは別れろよ!と言ってやりたくなりますが~その店のキーマカレーは美味しいかも知れないわね、などと想像してしまいます。

荒野(こうや)というペンネームの男性かと思っていましたが、あれの、という女性なんですね。
井上光晴の娘さんだそうです。
直木賞だったか何かの候補になっていたので、読んでみました。読んで損はない作品集です。

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