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2008年6月

「シタフォードの秘密」

アガサ・クリスティ「シタフォードの秘密」ハヤカワ・ミステリ文庫

イギリスで製作のドラマが先週BSで放映されました。
まだ全部は見ていないんですが~「スリーピング・マーダー」「親指のうずき」「動く指」「シタフォードの秘密」の4作。
あれっ、シタフォードってマープル物じゃなかったような?
と探してみたら、やっぱり違いました。
マープル物でもポワロ物でもなく、警部は多分これしか出ていない人であまり特徴がありません。
容疑者と婚約しているエミリーという美女が活躍するのは同じですね。
原作は1931年の作品。

舞台は、雪に閉ざされたシタフォード村の立派な山荘。
厳冬期にここを借りた母と娘は南アフリカ帰りで雪が珍しいからという触れ込みですが、どこか不自然。
隣人を集めた座興にテーブルターニングで降霊術を行っていたところ、山荘の持ち主トリヴィリアン大佐の死が予告されます。
大佐の親友バーナビ少佐はこれが気になって、遠いふもとの借家にいた大佐の元へ。何と、同じ頃に殺されていたことが判明します。
大佐の甥に当たるジェイムズが逮捕されたので、婚約者のエミリーが村に乗り込むことに。

トリヴィリアン大佐役をティモシー・ダルトン。
原作に60だけど50に見えるとあったのですが、ちょうどそういう年齢なんじゃないかな。
勝ち気で生命力溢れるエミリーは、ドラマでもイメージぴったりの女優さんがやっていました。
けっこうハンサムだけど頼りにならないジェイムズもいかにもそれらしく、恋敵の新聞記者はいかにも頭が回りそう。

ミス・マープルがその場にいるのはけっこう自然でした。原作は「牧師館の殺人」の次の作品だそうで、元気なマープルの活躍期ってことで~まあいっか?
ジェラルディン・マクイーワンの華奢なおばあさんらしい外見は、マープルのイメージに合ってるしね。
声優さんが亡くなった岸田今日子から草笛光子に代わり、ちょっと声が太くなりましたかね。時々あっと気づきますが、ほとんどは気になりませんでした。

雪に閉ざされた村という~半ば密室殺人事件に、いわくありげな容疑者はてんこ盛り。
導入は怪しげですが、ストレートな推理物で、割とあっさりしています。
ほとんどの登場人物や舞台はそのままで視覚化されるのは嬉しいものです。ただし、ドラマは後半の展開をかなり派手に変えていました。
う~ん、確かにちょっと、原作は地味な方かな…
しかし、この犯人像は他の作品で読んだ気がするんだけど、何だったろう。マープル物の有名な作品ではないだろうし…??

「愛は売るもの」

ジル・チャーチル「愛は売るもの」東京創元社

グレイス&フェイヴァー・シリーズ第4弾。2003年の作品、2007年11月発行。
舞台は大恐慌後のアメリカ。
リリーと兄のロバートのブルースター兄妹は財産を失いましたが、グレイス&フェイヴァー・コテージという名前のついた田舎町の古い邸宅に住んで自活するという条件で、大伯父の遺産を受け取れることに。
慣れない勤めに苦労していた2人はニューヨークから引き上げ、邸宅の部屋を貸し出しながら暮らすことにします。
お気楽な育ちの2人がしだいに田舎町の地道な生活に馴染みつつ~やたらと事件に巻き込まれつつ?!成長していくのかな。

今回は、ルーズヴェルト有利が伝えられる大統領選挙の直前の時期。
小学校の女教師が病気のため、兄と妹は代理を頼まれます。
屋敷では、素性のはっきりしない男性4人の泊まり客が部屋に引きこもって話し合っているという怪しい状況。案の定、その一人が殺され、何と評判の悪いラジオ伝道師と判明。
怪しい人物もたくさん~ハンサムなウォーカー警察署長の聞き込みに、利発なリリーが協力します。元は事件など起こらなかった村なので、人手が足りないんですね。
前の事件の登場人物のその後や、新聞記者ジャックのゆっくり進む恋模様、友達になれそうな新顔も登場、楽しくなりそうな気配もアリです。

古き良き時代の面影を残しつつ、大恐慌後に貧富の差の大きくなったために揺れ動いている激動の時代でもあるわけです。
時々文章が素っ気ないというか、書き込みにむらがあるような…
今よりもオーソドックスな言葉遣いをしていた時代を反映した文体なのか?わかりやすく書こうとしているのと、時代を映したいという意欲が混じり合っているせいかな…?

「星新一1001話をつくった人」

最相葉月「星新一 1001話をつくった人」新潮社

星新一の評伝。
2007年、数々の賞を受賞している~なるほど、力作です。

星製薬の御曹司として生まれ、森鴎外とも縁のある文化的な家系で育ったんですね。
本名は親一で、星製薬のモットーの一つ、親切から来ているそうです。
エリート路線まっしぐらで附属小学校から一高、帝大~17歳で終戦を迎え、それって同級生は誰も戦死しなかったギリギリの世代なんだそうです。
ところが父の星一の急死で、破産に瀕した会社の後始末をする羽目に。
実業家には向いていなかったけど、アイデアマンだった所は父に似たのかも?

長身で甘いマスク、坊ちゃん育ちで品も良いけど、自分の内心はあまり語らない、サービス精神旺盛で、酒が入ると放言することもあったりと複雑な性格がいきいきと描かれます。
洒落たショートショートのセンスは恵まれた家庭で培われた物だったんですね。
SFの代名詞のように思われて、早く成功した方だったけれども、SFを軽く見る風潮の中で損をした面もあったり、さまざまなシーンが展開します。
戦後の日本の様子や、SFの勃興期のことがいろいろ見えてきて、面白い。

SFで星雲賞が設けられた頃には既に賞を与えるのは失礼なぐらいの大御所になっていて、かといって直木賞というタイプでもない。
ショートショートにかける気持ちが強く、読者には恵まれ、ファンクラブも出来ていたのですが…
夜遅く仕事をしてアイデアを練り、興奮してしまうので睡眠薬を飲まずには眠れなかったというから大変ですね。それで身体をこわしたのもあったようで、晩年の苦闘ぶりにはちょっと胸が痛みました。
小松左京や筒井康隆が非常に尊敬して、いつも礼を尽くしていたそうです。
タモリとの意外な交友、タモリの別荘での月見のもてなしに感動した様子などは心温まります。
恋愛結婚で家庭を築いて娘さん2人と孫にも恵まれたし、作品は今でも売れ続け読み継がれていて~十分、成功した人生だったと言えると思いますけれど…
苦労のない人生ではなかったんですね。

「クドリャフカの順番」

米澤穂信「クドリャフカの順番」角川文庫

古典部シリーズ第3弾。平成17年6月発行。
作者は1978年生まれ、古典部シリーズの第一弾でデビュー。

カンヤ祭こと神山高校の文化祭、やたらと文化部が多い高校なんですね。
古典部のメンバーは、手違いで作りすぎた文集200冊を出来るだけ売ろうと、それぞれに頭を悩ませているのでした。
メンバー4人の個性が光り、楽しく読めます。

省エネをモットーとする奉太郎は、3階の地学教室という不利な売り場で待機。 頭の良い彼がいわば探偵役なんですね、一人でするのではないけれど。
もっと明るい性格の里志は、けっこう美少年らしい?
データベースを自認する里志は、幼馴染みの奉太郎の才を誰よりも認めつつ、彼にない物も意識しているんですね。
宣伝のために色々な催しに古典部として参加~料理対決も面白いです。
折しも、あちこちの会場で些細な物が盗まれ、謎のメッセージが。
待機している奉太郎のもとへ、次々に用のない物が置かれていく~わらしべ長者のごとき展開も楽しめます。

女の子2人は摩耶花とえる。
小柄で童顔だが気の強い摩耶花は、漫画研究会で先輩と言い争いになり、昨年感動した同人誌を先輩に見せようと探すが、その書き手の正体がわからない。
ダークホース的存在は、すらりとしたお嬢様だが気になることは追求する好奇心の塊・千反田える。
彼が奉太郎を動かざるを得なくするんだとか。さて?

このシリーズを初めて読んだのですが、とても面白かったです。
児童書・YAというカテゴリーにも入れたのは、もちろん児童書ってわけじゃないんだけど、若い人にぜひ読んで欲しいと思ったから。
サークル活動の楽しさ、微妙な対立をどうするか、創作にかける気持ち…
ちょっとした所が、いいんですねえ~。
タイムスリップして若々しい気分になりたい人にも!

あじさい祭り

Vfsh5407紫陽花がまだ綺麗のようなので、見てきました~。
家にない色の花が珍しくて。
こういう色の、可愛い~!
Vfsh5409雨上がりの新緑もすがすがしいです。
お寺さんなので、落ち着く空間。

Vfsh5412大きな額紫陽花~芯の色が面白いです。
家にあるのと全然違うな…

Vfsh5413あじさい並木?
このへんは紫陽花の数だけはすごく多いのは確か。
鎌倉の有名なお寺に行った人が近所の方が見事だったと言ってたぐらいです。
鎌倉だと近くに他にも色々~いい雰囲気の所があって良いと思いますけどね。

うな重のシングル

Vfsh5401ちょっとスタミナをつける必要を感じて…
久々に鰻重を頼んでみました。
子供の頃、美味しい店があって、何かの時には頼んだものでした。
引っ越してからはピンと来る店が近所にないんです。
最近はスーパーか生協でお手ごろ価格のを買うのですが、味もそれなりなので、だんだん飽きてしまって…
外で食べるとご飯にタレのしみた加減がなかなか良いですね~wink
しかし、変換しようとしたら「しみる」って~浸みる沁みる染みる凍みる滲みる、とたくさんあるんですね!
どれにしようか迷ってしまいましたよ。

「切り裂かれたミンクコート事件」

ジェームズ・アンダースン「切り裂かれたミンクコート事件」扶桑社

2006年11月発行。1981年の作品。
時代は1930年の設定で、ミステリ黄金時代の雰囲気の再現を狙った本格ミステリ。
バーフォード伯爵の邸、オールダリー荘が舞台です。

人の良い伯爵がトーキー映画に通うようになり、映画ファンになったと報道されます。そういう時代なんですね。
ハリウッドのスタッフが映画撮影に屋敷を使いたいと申し込んできて、スタアや脚本家共々滞在することに。
何やら怪しげな脚本家とにわか仕立てのようなその秘書、お約束の謎の美女。
おっとりした伯爵夫人が由緒ある屋敷の中を案内します。

伯爵の娘ジェラルディーンは折しも2人の男性の間で迷っており、プロポーズを受ける前に同時に招待することに。
気が合うけど恋に落ちているのかどうかわからない男性と、会うとケンカばかりの難しい性格だけど恋しているのかも知れないと迷う売れない芸術家の2人。
招待した後で深く後悔するのですが~事態はもうとまらない!?

前回は嵐の夜、今回は雪の中に閉ざされた屋敷での事件です。
似たような展開になるのは、わざとおかしみを狙ったためらしいですね。
結末も笑える大団円で、一作目よりまとまりがいい感じ。
ミステリファンなら、楽しく読めると思います。

マンゴーのデザート

Vfsh5406行ってきました、新宿高野。
といっても~西口の駅ビルの支店です。
宮崎マンゴーのアントルメ、だったかな?
火曜日がフルーツの日という事での限定メニュー。
宮崎マンゴー、美味しゅうございました…
Vfsh5405赤い皮はリンゴかと思ったら、もちろんマンゴー。香りが強かったです。
マンゴーシャーベットがサッパリしてていけました。
ガラス器の下の方にあるマンゴーゼリーはねっとりと濃くて独特な食感。
ラズベリーソースが合うんですね~~。
某さとかさんのブログを見て最近ワッフルが食べたかったので~小さなワッフルがついていたのが嬉しいセット。大抵大きすぎるので頼めなかったんですよ。
甘さを抑えたワッフルでした。
この店は小田急のうちなのかと思っていたら、違いました。カードが使えないと知ってビックリ。
ところがパスモなら使えるの~なるほどね。

「狡猾なる死神よ」

サラ・スチュアート・テイラー「狡猾なる死神よ」創元推理文庫

芸術史家スウィーニー・セント・ジョージ登場。
変わったタイトルは、古い墓碑銘から。
墓石の芸術という変わったテーマを研究しているスウィーニーは28歳でハーバードの助教授というから優秀なんですね。本人はそれほどに思ってないようで、古着が好きと教授らしい服装もしてないようですが。
長身で赤い巻き毛、緑の目をしたなかなかの美女。

友人トビーに見せられた19世紀末の流行とは異なる風変わりなモニュメントに興味を抱きます。
18歳で死んだ村の娘メアリの墓は、ラファエル前派風の等身大の彫刻だったのです。
美しい娘が船に横たわり、死神がいとしげに覗き込んでいるという…

トビーの叔父が暮らすビザンティウムは、19世紀末に幾つか作られた芸術家村の一つでした。
2人が訪れると、問い合わせをしたばかりのメアリの親族の女性が、墓地で銃に撃たれて死んでいたという騒ぎが起きていたのです。
一方、村では価値のなさそうな物が次々に盗まれる事件が発生していました。
美しい田園に作られた瀟洒な館やアトリエ、芸術品で埋まる家に住む子孫達。しかし、そこに渦巻いていたのは…

死に取り憑かれたかのようなスウィーニーの運命。
というのは、画家だった父が、まだ少女の頃に自殺してしまったんですね。
しかも、恋人がテロに巻き込まれて爆死して1年、というヒロイン。
仕事に打ち込めるようになり、少しずつ息を吹き返していく過程での事件ということのようです。
ラファエル前派などアートな話題が面白くて、好みでした!

作者は1971年生まれ、ヒロインのように才媛らしいです。2003年にこの作品でデビュー。シリーズで4作発表しているそうです。
楽しみですが~リアリティのある繊細なヒロインが毎回、死体を発見するんだったりしたらちょっと気の毒かも?

黒蜜パフェ

コージーコーナーのシーズンもの新製品です。
Vfsh5403抹茶ケーキの優しい味にミルクプリン、あずき、白玉、黒蜜、生クリームと初めてだけど懐かしいような組み合わせ。
家でヨーグルトの上にのっけて食べたので、なおさらサッパリしてました。
上から撮ったので三角に見えますが~もっと縦長の形で、手前なので大きく見える白玉はもっと小さくて可愛らしいの。

昨日今日と雨、最高気温26℃ですけど~もっと低い時間帯が長いようで、寒いぐらい。
でも湿度が高いので、洗濯物が乾かない…
明日は30℃の予想なので、これまた。
仕事にならないと予想出来るので、うっとうしくても今日のうちに多少のことはやっておかねば~~coldsweats01

「鴨川ホルモー」

万城目学「鴨川ホルモー」産業編集センター

2005年第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。
まきめ、って読むんですね。違うだろうと思いつつ~まんじょうめと読んでました。
「鹿男あおによし」をテレビで見て気に入ってましたが、読むのは初めてです。

浪人して大学に入ったばかりの安倍は、葵祭のバイト中に、京大青竜会というサークルに勧誘されます。
正体が良くわからないまま何となくレクリエーションに参加するうちに、祇園祭の時、4つの大学のサークルが同じ色の衣装を着ての異様な行列を目撃、思いも寄らない展開に。
古くから伝わる式神らしきものを駆使した戦いに参加することになってしまったのでした。
一目惚れした女の子の顔見たさに続けますが、リーダー的存在だが傲慢な芦屋と付き合っていることを知り、がっくり。
誤解から芦屋に殴られ、仲間割れした戦いは規則に則って複雑になります。
かろうじて仲間を確保し、強敵に挑むのですが…?

京都の大学生といえば、一目惚れ、妄想、なんでしょうか?
何となくにやにや笑わせられる軽快な筆致。
作者は1976年生まれ。
京大法学部卒のマキメと京大農学部卒のモリミはどういう関係ですかね…
森見は1979年生まれなので、若いけど多作?なのかな~。
万城目は今後どう展開していくのか、ちょっと楽しみ。

紅茶に合うお菓子

Vfsh5385とあるグルメなお友達に送るのに何にしようかさんざん迷って…
試しに食べたうちの一つ。
ペルティエは生ケーキはかなり美味しいんです。
こういう焼き菓子はわりと甘さ抑えめで、安心感があるけど~一口食べてモノスゴク美味しい!っていうんじゃないかも?
控えめな所が紅茶に合うという点で、これにしました。

「百年の誤読」

岡野宏文・豊崎由美「百年の誤読 海外文学編」アスペクト

20世紀の世界の文学作品を、10年につき10冊として、100冊選んで語り尽くす企画。2008年3月発行。
やや辛口で面白おかしく。
名作と言われてきた物が、今読み返す価値があるのか?といった観点で論じられます。
読んでない物でこれはというのがあれば読もうと手に取りました。
岡野宏文は55年生まれ、豊崎由美は61年生まれ。
個人的偏見の炸裂する欄外の注が笑えたりします。

取り上げられている作品で評価が高いのは
「三人姉妹」「変身」「ユリシーズ」「アクロイド殺し」「燈台へ」「ガラスの動物園」「伝奇集」「うたかたの日々」「遠い声遠い部屋」「ゴドーを待ちながら」「時間割」「ブリキの太鼓」…
このあたりだと読んでないのは「時間割」だけ。
古い方が得意なので、20世紀前半は10冊のうち8~9冊読んでました。でも内容全然覚えてないのも…3割ぐらいあるけど~。

「三人姉妹」などは、高校の時に最初に読んだ時には、さっぱりわからなかったですね。
20代後半になってからチェーホフははまりました。こんなに枯れてどうするってぐらい共感しちゃいましたね。

「どん底」とか「神々は渇く」とか~読む必要がない、確かに…
私は読んだけどさ。
「怒りの葡萄」も取り上げられていましたが評価は高くなく、今の人が読むほどでもないだろうとの意はわかりますね。スタインベックは好きだし、高校の頃に読んで感動したけれど、重すぎ真面目すぎてとても読み返せない。
若い人はぜひ「エデンの東」を映画で見て「二十日鼠と人間」が薄くて読みやすいので、読んでいただければと思いますわ。泣けるし。「エデンの東」は原作も好きです~。

クリスティは大好きだけど~「アクロイド」なんて嫌いなのでビックリ!
でも確かにエポックメイキングな作品ではあるのかな。それに嫌なヤツが上手く書けている作品て文学的なことが多い…

新しい方では、どちらも五つ星評価をしている作品は例えば…(いつか読もうと思ってメモしておきます)
「アメリカの鱒釣り」「百年の孤独」「スローターハウス5」「モモ」「シャイニング」「ガープの世界」「冬の夜一人の旅人が」「薔薇の名前」「ヴァリス」「僕が電話をかけている場所」「ニューロマンサー」「存在の耐えられない軽さ」「悪童日記」「羊たちの沈黙」「日の名残り」「アメリカン・サイコ」「海の上のピアニスト」「アムステルダム」
このブログに取り上げた作品は見事にありませんねえ。
いぜん読んだのは「百年の孤独」「スローターハウス5」「モモ」「シャイニング」「悪童日記」「羊たちの沈黙」「日の名残り」「海の上のピアニスト」
確かにどれも良い作品ですね!

そもそも作品名ではブログに取り上げたのは百冊中「ライオンと魔女」だけかな。これはあまり高く評価されてませんでした。私は評価するけれども、アスランが死ぬ所が嫌いというのは同感です!
そういえば「ゲド戦記」も評価低すぎのような気が…でも今読み返すと、どうなのかな…??

取り上げた作品が違うけれど~作家なら、マキューアンとかカズオ・イシグロとか。
21世紀に入ってからだったら、一年一作だと何になるんでしょうね?

日本篇の方が前に出ているんですが、読んでないのが多そう…
百冊も良い作品なんて思いつかないわ~??

「オドの魔法学校」

パトリシア・A・マキリップ「オドの魔法学校」創元推理文庫

マキリップといえばファンタジーの名作「イルスの竪琴」で一世を風靡したと言っても良いのではないでしょうか。
翻訳が途絶えがちになっていましたが、これは2005年の作品。

片田舎で植物を育てて暮らしていた青年・ブレンダンのもとに、ある日オドと名乗る女巨人が現れ、都にある魔法学校の庭師になってくれと依頼します。
弟も恋人も都に去り、植物を育てる腕には自信があってもそれが魔法だとすら知らなかったブレンダン。乞われるままに都へ出て行きます。

実は、オドは魔法学校の創設者で、昔のヌミスの王と契約を交わした謎の人物。
都では、魔法は厳重に管理されていたのでした。
事情を何も知らないブレンダンの才能に、しだいに気づいた魔法学校の人々は戸惑います。
折しも都のはずれの黄昏地区では、公演中の奇術師ティラミンの技が禁じられている魔法ではないかと疑われ、地区警吏監アーネスがティラミンの娘ミストラルを訪れていました。
美しいミストラルにアーネスは惹かれていきます。
一方、今のヌミス王ガーリンの娘スーリズは、少々おてんば。押しつけられた婚約に反発、禁断の街・黄昏地区へとさまよい出る…

幻惑されるような美しい魔法が展開する、華麗なファンタジー。
原初の魔法的な力の再現と、都会の人々の右往左往する有様の二つの流れがあります。後者は最近のファンタジーのテンポですね。
短い割に登場人物が多くて、最初はわかりにくい。魅力的な設定なのにもっとゆっくり描写すれば~と、ちょっともったいない気がします。
表紙イラストは、「影のオンブリア」に続きKinuko Craft(確か金沢生まれ?米国在住の方です)ミストラルの魔法的な美しさのイメージを十分伝えています。

2006年、世界幻想文学大賞・ノベル賞受賞。
この年のベストノベルは「海辺のカフカ」でした。
マキリップは世界幻想文学大賞、創設年の初受賞者でもあります。

マンゴーづくし

Vfsh5389マンゴーのロールケーキのプレートです。
何となくマンゴーを食べたい季節じゃありません?
年中あることはあるけど…
ロールケーキはきめが細かく、よくあるフワフワのよりもしっかりした食感。
アイスや生クリームと絡めて食べるマンゴーソースが美味しかったですhappy01

「ボトルネック」

米澤穂信「ボトルネック」新潮社

2006年8月発表の作品。
表紙を見てオーストラリアかアメリカ西部でも出てくるのかと思っていたら、これ東尋坊!?

2年前に転落事故で死んだ恋人の諏訪ノゾミ。
高校生になった嵯峨野リョウは、現場の東尋坊をやっと訪れ、一人で弔っていました。
そこへ、バイク事故で長く入院していた兄の死の知らせが…

目眩を起こして崖から落ちたリョウが気づいた時には、なぜか金沢市内に。自宅に戻ると、見知らぬ女の子がいて、お互いに怪しいヤツと疑いますが…
その家の娘だと言い張るのは、どうやら~生まれなかったはずの姉サキ。
少しずつ違う家の中。両親も不仲ではないらしい。そこは自分が生まれていない世界だったのです!?
ノゾミがこの世界では生きていることを知って、リョウは衝撃を受けます。
明るくお節介で少し軽い~懐いている先輩のサキに影響を受けてそっくりになっているノゾミ。
では、自分の存在は何だったのか…
互いに話し合っていくと、運命を分けたのは、幾つかの分岐点があったことが見えてきます。

サキの明るさや強さは、男の子を励ますのにぜひいて欲しい姉タイプなのかな?
青少年向けと限定された物ではないのですが~やや若向き。
けっこうダークな面もありますが、読みやすく、好感の持てるまとまり方です。

「仏果を得ず」

三浦しをん「仏果を得ず」双葉社

2007年11月発行。
文楽好きな三浦しをんの文楽小説。
演目が章のタイトルになっているので、興味を持ち始めた人になら、ちょうど面白いのでは。何も知らない若い三浦ファンを引っ張り込むには、ちょっと難しいかなぁ?

健こと健太夫(たけるたゆう)は文楽の研修所を出て、義太夫を語るプロの技芸員として修行中。
師匠の銀太夫に、三味線の兎一郎と組むように言われる。気難しい兎一に振り回されながらも成長していきます。
実は兎一にはかって組んだ相方を失った過去があったのです。

小学校の文楽教室にボランティアで行く話もあったり、エピソードは豊富。
文楽の修行一筋で彼女いない歴8年の健にも恋人が出来ますが…唐突に始まった関係に戸惑い気味。
恋愛を書くのがあまり得意でないように見受けられるので、こんな書き方もあったのね~と思ったり。

「女殺油地獄」の与兵衛の妙な色気の秘密など、面白かったです。
その辺にいるちょっと屈託があって悪いけど~モテモテの若者の雰囲気があるんですね。
そこを人形遣いの脚の部分で出すっていうのがね。
現代人にはわかりにくい部分の解釈など、ほほうと感心します。
健がいつかやりたいと憧れていた仮名手本忠臣蔵を後半でやらせて貰えることになり、恋人と揉めたりしつつ取り組む勘平腹切の段は、すごく盛り上がります!

旅行も多い健はラブホテルの一室に住んでいるんですが、管理人の誠二とは友達。
恋愛に悩む健に誠二の言う「幸せにしたろとか、助けてあげんとか、そんなんは傲慢や。地球上に存在してくれとったら御の字、ぐらいに思うておくことや」ってのは、決まった相手のいない人間のセリフって気もしますが~悩みすぎる人にはけっこう良い忠告かも?

父の日のお菓子

Vfsh5397父の日だからといって特別なことはしてくれなくて良い、服などは何も要らないと前もって言われたので~
必然的に?お祝いは和菓子だけ。
鶴屋吉信の「京観世」と「つばらつばら」、もう一つは何だったかな…
Vfsh5399右が「つばらつばら」~ヒット作なんですよね。
大伴旅人の歌にちなんだ名前だそうで、しみじみとといった意味だとか。
皮が餅のようなケーキのような和洋折衷の味。阿砂利餅に似てます。
左の京観世はおつかい物にするイメージ。
ふだん食べないものでお祝いっぽくhappy01

「死体にもカバーを」

エレイン・ヴィエッツ「死体にもカバーを」創元推理文庫

ヘレンの崖っぷち転職記シリーズ第2弾。
今度の仕事先は書店です。
かっては高給取りのキャリアウーマンだったヘレンですが、別れた夫から身を隠したい事情があって、記録に残らない安給料の仕事ばかりを探しているのでした。

へんてこな本屋の客たちと、もっと困りもののオーナーに悩まされます。
オーナーは大金持ちの家柄だが本人は商才がなく、やたらに女好き。
そのオーナーが殺され、同じアパートに住む友達ペギーのベッドに死体が!
今ではオウムを唯一の恋人にしているペギーは、実はオーナーに騙された過去があったと知って驚くヘレン。書店に怒鳴り込んだことがあったとは。
大家のマージョリーは、70過ぎて紫のホットパンツといった格好の脚の綺麗な元気な女性。一緒に事件を探り始めます。

コージー(気楽に読めるミステリ)というには辛口で、愚痴や悪口が多い感じではありますが、どっか抜けている愚かさも含めて~面白おかしく書けています。
一作目では高級ブティックが舞台で、その内幕の描写が新人としては鮮烈でした。ヘレンの抱えている事情がだんだん小出しにわかってくるあたりも上手かったけど~わかってしまうと今一つ共感できないところもあり、読後感は微妙。
まだ人間不信でぴりぴりしていたって感じなんでしょうか。その後、友達も恋人も出来、問題があってもたくましく向かっていく元気が出たよう。
南フロリダで面白い人間に囲まれた今の暮らしの方が、かっての見栄を張っていた生活よりも自分らしいと思っているあたり、前よりも好感持てます。

季節の和菓子

Vfsh5382ミニサイズのあゆ焼きが入っているのが可愛いセットです。
清流という名前だったかしら…
緑のは苔むした岩をイメージした物だとか。
Vfsh5383こう並べた方が美味しそうかな?
一人で全部食べたわけじゃありませんよ~。

「物しか書けなかった物書き」

スコット・トゥーイ「物しか書けなかった物書き」河出書房新社

短編だけを書き続けた職人的作家の短編集。
エラリイ・クイーン誌の編集者に代々愛されたそうです。
登場人物が雑誌を見てエラリイ・クイーンとは探偵じゃないのか?雑誌なのか?作家なのか?と言いながらエラリイ・クイーン本人に電話するシーンのある作品など、遊び心いっぱい。
2008年版のこのミスのベストテンに入っていたので、読んでみました。
確か2007年版のこのミスにあったので読んだジャック・リッチーにちょっと似てますが~もっと摩訶不思議感が強いです。

表題作は、小説を書こうと呻吟しているうちに~何故か家の中に馬を呼び出してしまった男の話。
書いた物を実体化出来るという大変なことなわけですが、お金を出すことは出来ないんですね。概念的な物は出来ないということらしく、なかなか思ったとおりには出来ないという。
売れない作家だったうちは良い女房だった糟糠の妻が、しだいに強欲になるという皮肉な展開。

他に、警察に電話して「家の中に馬がいる」と言って長々と怪しげな話で困らせる男の話もあり、これが好きなパターンらしい~馬が好きなのか?
家の中に馬がいる、って、あちらでは通じやすいジョークなのかも。
最近テレビで見るお笑いのセンスに近い物があるので、若い人が読んでも楽しめそう。

「絶対音感」

最相葉月「絶対音感」小学館文庫

最相葉月の出世作。
ノンフィクション大賞受賞ということで、印象に残っていました。
こっちはギリギリ音痴でない程度なので、もちろん絶対音感などあるわけがなく、音楽家のこともあまり知らないので、後回しにしていましたが~星新一について書いた評伝が評判が良いので、そっちを読む前にと。

一つの音だけを聞いた時に正確に音程がわかる、のが絶対音感。
小鳥のさえずりもサイレンも雑音も、全てドレミに聞こえているらしい。
絶対音感は音楽家には必要不可欠な物なのか?
様々な角度から迫っていきます。

交響曲を書く作曲家や、指揮者なんか必要なんだろうな?と思いますよね。
音楽家でも絶対音感のない人はいるそうです。
早い時期から教育すれば、後天的に身につけることも出来るそうで、日本は幼児音楽教育が進んでいるために、身につけた子供が珍しく多いらしい。
不協和音やちょっとした音程のずれが気になって仕方がないとか、良いことばかりではないというあたりも面白い内容でした。

音楽家のエピソードが印象的で読ませます。
中でも熱を入れて描かれているのは、五嶋みどり一家。
母親の徹底的な訓練によって、五嶋みどりは絶対音感も得たそうです。厳し過ぎるほどの教育があったからこそ才能は開花したわけですが、一体化しすぎて、親離れ子離れにも苦悩することに。
反省も込めて、弟に対しては教育法を変えているそうですが、こっちは生まれながらにして絶対音感はあるとか。
必ずしも絶対音感のことに絞った話ではないのですが…読み応えのある内容でした。

「重力ピエロ」

伊坂幸太郎「重力ピエロ」新潮文庫

本屋大賞も受賞して、最近のりにのっている感のある伊坂幸太郎。
それぞれに工夫があり、重すぎないけれど血が通っていて、ハズレがないのがなかなかですね。
これは2004年の作品。

仙台の街で放火事件が相次ぎ、落書きを消す仕事をしている弟が事件解決の糸口を見つけたと、兄に連絡して来ます。
入院している父の元へ兄弟は見舞いに行き、一緒にゲーム感覚で謎を解こうとするが…

兄の泉水は、父親が違う弟・春に懐かれ、お守りがわりにと、大事な時には行動を共にしてきたのでした。
遺伝子を扱う会社に勤務する兄は、ひそかに弟を生ませた男のことを探っていました。
美しかった母に似たハンサムで、家族の誰にもない絵の才能を持ち、人を惹きつける並み外れた所のある弟。
母を強姦した犯人の子供という重い運命を背負った弟を囲んで、大事に築いてきた家族だったのですが…

失われるとわかっているからこそ、きらめくような家族の思い出が切ない。
お父さんが見所のあるいい人!なんですがねえ…
細かい章立てにしゃれたタイトルがつき、不思議な雰囲気もあって、いつもより重い内容の割に取っつきやすくなっています。
スタイリッシュなところが面白い。

「天璋院篤姫と大奥の女たちの謎」

加来耕三「天璋院篤姫と大奥の女たちの謎(徹底検証)」講談社文庫

大河ドラマにちなんで書かれた本の中でも、徹底検証というだけあって事例が詳しいです。
篤姫を大奥に送り込んだ島津斉彬の英明ぶりや、それよりも前の時代のいきさつがよくわかります。

薩摩の大名の中でも、特に影響の強かった重豪(しげひで)と、その娘で将軍の御台所となった茂姫(篤という名もあった)は重要な存在だったのですね。
最初から将軍の御台所として縁談があったわけではなく、家格の釣り合う一橋家との婚約だったのが、思いがけなく将軍が亡くなって、一橋家から跡を継ぐことになったんだそうです。
この御台所が健康で長寿だったため、実は篤姫の場合、家定の方が薩摩出身の御台所を求めたいきさつがあったとか。
家定にも大勢の兄弟がいたけれど、早世してしまい、公家出身の御台所も二度までも失ってしまった後のことですからね。

将軍は一日に意外に何度も大奥に出入りすることや、御台所は毎日5回も着替える、猫のえさ代も法外な価格だったことなど、とても面白いです。
篤姫本人についてはもちろん、和宮との軋轢や和解についても一通り書かれていますが~それはまあ女性が書いた他の本の方が詳しいぐらいかも。

大奥については外では何も語ってはいけないという法度があり、これはかなり忠実に守られていたため、証言はほとんど明治になってからの物だそうです。
なるほど…
それで、どの本にも同じようなことが書かれているんですね。
でも、代々のことが詳しく公式に報道されたわけではないから、何百年も続いていたという伝統も、実は適当に融通きいていたのかも知れないですよね!?

庭のアジサイと梅

Vfsh5373庭のアジサイです。
紫陽花と書くと、綺麗ですよね~。
でも音とは思いっきり無関係。陽ってのも…
どっちかというと、陽より雨とか…たとえば雨路彩の方が意味は合いますよね。
元はどういう意味なんでしょうねえ。…集まって咲く、かな?集咲花…いまいち。
ちょっと調べたら~アジサイは、日本原産のガクアジサイを改良した物だそうです…
ユキノシタ科ハイドランシア属。ユキノシタ?とは、びっくり。
七変化とも言うそうです。なるほど!
Vfsh5376こちらは庭の豊後梅。
もう少しで収穫時です~。

「竜の挑戦」

アン・マキャフリイ「竜の挑戦」ハヤカワ文庫SF

パーンの竜騎士シリーズ8作目。
1991年の作品、翻訳発行は10年遅れて2001年だったようです。

惑星パーンは遠い昔に地球人が入植し、中世的な農耕社会として発展してきました。
ただ一人の竜騎士だけを乗せる巨大な竜が空を飛ぶ、美しい世界。
テレパシーの通じる竜と竜騎士の運命的な絆は、感動的です。
全てを焼き尽くす糸胞が降る時期には竜と竜騎士に頼るしかない、しかし糸胞が降らない時期には竜騎士への十分の一税への不満が高まるという問題がありました。

さて今回は、先祖に当たる植民者の残したコンピュータ・アイヴァスが、南ノ大陸で2千500巡年ぶりに発見されます。人々は驚異に打たれながら科学を学び始めるという展開。
しかし、保守派の抵抗は根強く…?

SFとファンタジーの境界を越えたシリーズの面目躍如。
竜騎士が宇宙服を着て、宇宙ステーションへ!
コンピュータ・アイヴァスの指導を得て、糸胞の軌道を変える大事業に取り組むのです。
ただ一頭の白い竜ルースとその騎士ジャクソムは、規格外で半端な立場。保守的な人間には認められていませんでしたが、ルースにしかない能力が発揮されて大活躍することに。
頭の固い老人が多い中、竪琴師ノ長として長年尊敬されてきたロビントンは、目を輝かせて挑戦を楽しみます。 もちろん、メノリは新しい歌を書きます~。レサが息子を愛しつつ、出来がいまいちなのは承知しているといった指摘も!?
長いシリーズならではのオールスターキャストで、パーンの大事な時期を描きます。

読み応えがありますが、登場人物が多いのと、前半の科学的な説明は…いきなり、この本から読むのは無理ですね。
読む順が逆になりましたが~ほぼ同じ時期の「竜とイルカたち」の方がずっと読みやすいです。
せめて「白い竜」を読んでからなら、楽しめると思います。

「まんまこと」

畠中恵「まんまこと」文藝春秋

2007年4月発行の新シリーズ。「しゃばけ」シリーズのような妖(あやかし)は出て来ないので、もっと広い世代の読者向け?

江戸は神田の名主・高橋家の一人息子・麻之助は、優秀と思われていたのに16の年から急に真面目さを振り捨てて、お気楽な若者に変身してしまいます。さて、そのわけは?
名主というのは、町の相談役のようなもので、大抵のことは大ごとにせずに名主の家の玄関先で解決するものだったそうです。

やはり名主の息子でモテモテの清十郎や、同心見習いの堅物・吉五郎という幼馴染みの若者たちとつるんで、ふらふら遊んでいた麻之助も22歳になりました。
名主の名代として、持ち込まれる事件を受け持たされることになります。
のほほんと頼りなげにしながらも~意外に手際よく大岡裁きで?まとめていくのでした。

年上の幼馴染みのお由有や縁談の相手のお寿ずなど、生きの良い女性も登場。
主人公が病弱でなくて恋模様もありなのが~「しゃばけ」と違う所?
にぎやかさや意外な展開は弱くなりますが、江戸時代の若者が等身大に感じられるかも。
安心して読めるのは同じですね。
起こりがちな問題を角を立てずにこなしていこうとする~庶民の暮らしの知恵のようなものが見受けられます。

「血染めのエッグ・コージイ事件」

ジェームズ・アンダーソン「血染めのエッグ・コージイ事件」扶桑社ミステリー

1975年発表の作品で、ミステリ黄金期の雰囲気を目指した本格派。
一度は日本でも「血のついたエッグ・コージイ」という題で出版されたが、全く注目されなかったとか…

1930年代、イギリスの田舎の広壮なバーフォード伯爵邸オールダリー荘に、多彩な顔ぶれが集まってきます。
伯爵の娘ジェラルディーンの親友だったジェーンは、貴族の家系だが落ちぶれて今は慣れない職を転々とする身。
わがままな客に切れてまた失業した所で、招かれて久々に伯爵邸を訪ねます。
伯爵の弟リチャードは、ある大公国との秘密外交に取り組み、折しも伯爵と共通の趣味がある銃器コレクターのアメリカ人富豪も来訪、客が13人になった所へ謎の美女・男爵夫人も登場~門前で事故にあって滞在することに。 そして、嵐の夜に、事件が…!?

アガサ・クリスティの作品のような舞台で、さまざまな思惑が交錯し、本格推理が展開。 パロディがかった面白みもあります。
「切り裂かれたミンクコート事件」と同じ作者で、今回は2作続いて発行となりました。
しかし、「血のついたエッグ・コージイ」じゃあ、いかにも地味ですよね。
エッグ・コージイとは、ゆで卵が冷めないように掛ける丸いカバーのこと。ピンと来る人は少ないでしょう。血がついていたからって、包丁で指をかすったのかな、って感じだし。
イギリスの大邸宅の朝食を思わせるアイテムで、大がかりな事件のヒントにこの小さな物の謎が…!というのが、本格ファンにはたまらないところなのかも?

サツキとツツジ

Vfsh5372サツキとツツジはどう違うかって~話が出たんですが。
サツキ(皐月)はツツジ(躑躅)の園芸種で、やや花期が遅いということは、前にお花の先生に聞いて知っておりました。
Vfsh5370今頃咲いているのは、サツキなわけです。
ツツジは主に4月~5月半ばぐらいまでかな?(地域によりますが、うちのあたりでは)
うちのサツキ、これから咲こうとしているのもありますよ~。

ちょっと調べたら~分類上はツツジ科ツツジ属サツキツツジらしいです。
ツツジは日本全土に色んな種類が昔から自生していて、それを改良したサツキは花期が遅く長めで、葉が小さめでやや毛羽立っている、のが典型的なタイプ。でも今はサツキも200種類もあるそうですから~一見しただけではわからないでしょうね!?
Vfsh5379こちらはすっかり花の終わったツツジです。
新しい葉が伸びてきています。

ちなみにアザレアは、ツツジをヨーロッパで改良した物のようです。

眠い日

Vfsh5339「眠いんだよ」

Vfsh5340小雨の降る日は、
眠いんだよねえ。
足のアップを撮ってみたりして…

Vfsh5341目が覚めると、ちょっと自分を舐めたり、一緒に寝ていたヌイグルミを舐めたり、時には私の鼻の頭を舐めたり。
寝ぼけてるのか?セーターも身内なのか?
敷いてあるセーターを舐めてあげています。

「ベーコン」

井上荒野「ベーコン」集英社

9人の人生の一こまを描く短編集で、それぞれのシーンで印象的な食べ物がタイトルになっています。
とてもわかりやすい文章で、その場にいるようにすんなり情景が見えて来るのに感心しました。

6歳で家を出た母が亡くなり、思い出もない母が一緒に住んでいたという年下の男性の農園へと、度々訪ねていく娘の話。
これが巻末の「ベーコン」~幸せな結婚を控えている娘は母を恨んでいるわけでもない、この男性に惹かれているというのでもないけれど、どうも気になってしまう、そんな空気が自然に感じられます。

「煮こごり」は、30年来の愛人で70になる男性・鵜飼が時々作ってくれたお気に入りの料理。
彼がサファリパークで虎に噛まれて事故死したと報道で知って、女性は驚きます。
結婚しているはずが独身だったと知り、初めて住所を訪ねてみると、他にも愛人がいたことを知る話。そこはかとないユーモアが漂い、面白かったです。
他に、仕事に行けなくなった夫と、キャットシッターをしている妻の話など。
けっこう変わった設定が多いのですが、想像出来ないほどではない…人生のいささか困った状況も決して否定しない、穏やかな筆致。
そして出てくる食べ物が~異常に美味しそう!
若い女の子が不倫している場合には、もうそいつとは別れろよ!と言ってやりたくなりますが~その店のキーマカレーは美味しいかも知れないわね、などと想像してしまいます。

荒野(こうや)というペンネームの男性かと思っていましたが、あれの、という女性なんですね。
井上光晴の娘さんだそうです。
直木賞だったか何かの候補になっていたので、読んでみました。読んで損はない作品集です。

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