フォト

おすすめ本

« ひとくち柏餅 | トップページ | 東京駅の天丼 »

「私の男」

桜庭一樹「私の男」文藝春秋

第138回直木賞受賞作。
本屋の店頭に平積みになっているので、知っている方も多いことでしょう。
女性だって知ったのはいつだったかな…ライトノベルを一冊読んだことがあるきりだったので、化けたな~という。何年もたっていることを考えると…知性、繊細さ、未成熟な強さなど~やはり通じる所もありますけどね。

ねっとりした文体で危険な匂いをさせつつ、わかりやすいイメージも連ねて、引き込みます。
腐野花という(とんでもない名前!?の)ヒロインが、24で苦労知らずの青年と絵に描いたような結婚をしようとしている所から話は始まります。
ただし、新婦側の親族は養父一人だけ。
震災で家族をすべて亡くした9歳の時から、遠縁の若い男性・淳悟に引き取られて、2人だけで生きてきた花。
北の海で起きた暗い過去を捨て去ろうとしますが…
孤独な2人の運命的な結びつきが描かれます。

このタイトルでこのカバー絵、父娘の話というので、ちょっと引き気味でやっと読みました。
なるほど、期待させるような色っぽさや暗さも出しているけど~意外な展開で少しずつ空気をかき混ぜ、嫌悪感まで行かないようにしてあるような印象。
現実の中でもがき、破綻していく状況でも、一途な気持ちというのは切なさがありますね。
人が人を求める原点を感じさせます。
こういう人物像を魅力があるように書いちゃうのもいかがなものか、という気がしないでもありませんが…破滅的な人間の危険な魅力?
脇役に実在感があって、ちょっとした登場シーンも読ませます。
色々な要素を含みながら、こってりと力強い文学的な空間を構築、上手いこと書けています。
ラストがこの地点というのも、なかなか。

« ひとくち柏餅 | トップページ | 東京駅の天丼 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「私の男」:

« ひとくち柏餅 | トップページ | 東京駅の天丼 »

2019年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック