「コキュ伯爵夫人の艶事」
藤本ひとみ「コキュ伯爵夫人の艶事」新潮社
フランスを舞台にした四つの短編で構成されています。
「コキュ伯爵夫人の艶事」は1682年、
「令嬢アイセの秘事」は1722年、
「ダンフェル夫人の断頭台」は1792年、
「農夫ジャックの幸福」は1794年、
と移り変わっていく時代背景に絡ませながら、個人の幸福と意外な運命を描きます。
当時のフランスでは、貴族の子供はすぐに里子に出されて親の愛を知らずに育ち、特に女の子は修道院に入れられて、親の決めた結婚までは世間の風に当てない習慣でした。
結婚後は急に、夫の浮気は当たり前な退廃的な社交界の荒波に投げ出されるわけで、女性も恋愛出来ないわけではないのですが~男性のようにはいかないあたりが微妙。
年代や階級によっても違ってくることで、そのあたりの変遷を巧みに取り入れながら、面白い話に仕立てています。
1994年から95年にかけて発表されたもの。
18世紀を中心にしてフランスを舞台にした小説を書き続けてきた手練れぶりを見せる作品群。
「貴腐」も似た系統の小説集ですが、あちらはちょっと~後味が良くなかった。(宮廷での恋愛遊戯やサド公爵に興味があれば、読んでも良いと思いますが)
こちらの後味が良いのは、最後の「農夫ジャックの幸福」が効いているんですね。
一代で農場を広げた頑固な働き者の老人 …だが、彼の幸福とは?
人生は何だったのか振り返りかける時、革命も末期になって思いがけない出会いがあり…ぐっと来る話になっています。
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コメント
フランスの貴族社会を舞台にした小説を読む場合、そのへんの事情が分からないと??ですよね。
そのへんをくわしく説明してくれるのが「明日は舞踏会」という本です。貴婦人の一日が事細かに書いてあって、すごく面白かったですよ。当時の貴婦人は何回も着替えて夜会や劇場にお出かけして、優雅に見えるけどいろいろたいへんだったみたいです。
もし、興味がおありでしたら、バルザックの「ゴリオ爺さん」をお読みください。タイトルとは大違いの、パリの華やかな社交界の裏側を描いています。
投稿: marie004 | 2008年3月 9日 (日) 20時36分
marieさん、
「明日は舞踏会」っていう本があるんですか。
図書館で検索したらなかったけど、ググったら~鹿島茂さんというと聞き覚えが…「子供より古書が大事と思いたい」を書いた人ですね!(これはまだ読んでないけど)
「パリの王様」をいぜんに面白く読んだと思います。
19世紀の小説って、好きなんですよ。特にフランス。
バルザックでも「ゴリオ爺さん」はおもしろい方ですよね!持ってますよ~。
確かにタイトルじゃ想像つかないかも…社交界で使うお金を欲しがるゴリオの娘達の話ですよね。タイトルでちょっと損しているかな?
「ウジェニー・グランデ」や「谷間の百合」よりも「ゴリオ爺さん」「従姉ベット」でしょう
投稿: sana | 2008年3月 9日 (日) 22時57分
藤本ひとみの『コキュ伯爵夫人の艶事』
バルザックの『ゴリオ爺さん』
ともに凄く懐かしいです。
が、タイトルから中身が瞬時に思い出せないのは
脳の退化によるものでしょうか・・・。
再読しても、新鮮な気持ちで読めそうです。
投稿: 櫻子 | 2008年3月10日 (月) 20時10分
>「ウジェニー・グランデ」や「谷間の百合」よりも「ゴリオ爺さん」「従姉ベット」でしょう
同感!!
「谷間の百合」はとうとう最後まで読み通せませんでした。「従姉ベット」もすごい話でしたねえ。
「ゴリオ爺さん」には、パリ社交界きっての貴婦人が若い主人公に恋愛のイロハを教えてくれるのですが、これがうなずけるの。
「明日は舞踏会」にもバルザックの小説が出てきます。
投稿: marie004 | 2008年3月10日 (月) 22時16分
櫻子さんも、このへん、お好きですか~!
お仲間、お仲間
藤本さんの本は前に何冊か読んでるはずなんですが…
どれだったのか、思い出せません~内容も…。
最近の事は思い出せないってやつ?
バルザックの方がまだしも思い出せそう。
発行年から察して、読んでなさそうなのをチェックしているところです~
投稿: sana | 2008年3月10日 (月) 22時26分
marieさん、
あはは~そうでしょう!
「谷間の百合」と「ウジェニー・グランデ」はたまたま親のが家にあったために最初に読んだのですが~すごく苦労しました。
>「ゴリオ爺さん」には、パリ社交界きっての貴婦人が若い主人公に恋愛のイロハを教えてくれるのですが
おお~なるほど!そういえば…あれがゴリオ爺さんに出てくるんだ~。
そのへんがハウツーものの面白さにもなっているんですね!
投稿: sana | 2008年3月10日 (月) 23時23分