「悪女の物語」
藤本ひとみ「悪女の物語」中央公論新社
小説ではなく歴史書というか~人物に焦点を当てた本です。
マリー・アントワネットの娘マリー・テレーズと、16世紀後半を生きたマルゴ王妃の2人を取り上げ、丁寧に人生を追っています。
小説と違って冷静な筆致で、時には自身の述懐もちらり。
2000年に婦人公論に連載していた物。
マリー・アントワネットの娘というと、王妃のふくらんだスカートにしがみついて「お母さまぁ!」と言っているイメージしかない人が多いのでは。
牢獄から家族がだんだん移されたり処刑されたりでいなくなっていった後に一人残されていたそうで、少女の運命としては余りに苛酷です。革命が終わってから帰国、従兄と結婚し、一瞬だけ王妃にもなるという数奇な運命には驚きました。
多分事実としてどっかで聞いた事はあったんだろうけど~印象に残ってませんでした。
反動の起きている時代にギロチンに多くの人を送り込む旗頭となっていたとは。厳格な顔つきで、一度も笑った事がなかったとか。
怖いけど、こういう人を悪女っていうのかなあ?
その点は作者も~悪女とされがちな人、という同情的な捉え方です。
マルゴも性格悪いというよりは時代に翻弄された感じです。
男を虜にするという点では、マリー・テレーズよりも悪女の名にふさわしいような気がしますが。
動乱の時代にカトリーヌ・メディシスの娘として生まれたのが運の尽き?
19歳で敵方だった恋人と引き裂かれ、アンリ・ド・ナヴァール(後のアンリ4世)との政略結婚と、聖バルテルミーの虐殺が同時期に起こるという大変な目に遭います。
映画の「王妃マルゴ」で大体の様子は知っていましたが~王妃になったもののその後はナレーションで、幽閉されて生涯を終わるみたいな印象だったので、それだけではないと知ってちょっとほっとしました。
夫とは疎遠で名ばかりの王妃だったわけですが、幽閉先でも監視者を籠絡する魅力があったのなら、まあそれなりに幸福も味わったのでは。
兄達との関係まで噂され、淫乱といわれてますが、いくら何でも普通これだけ次々に恋人出来ないでしょう。強迫的だったのか?よほど恋愛体質だったんですね。
61歳までの生涯に名前が解っているだけでも24人以上いて、亡くなったのも恋人の腕の中だったとか…色気たっぷりの美女だったってことですね。
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145558/40384517
この記事へのトラックバック一覧です: 「悪女の物語」:



















































コメント
マリー・テレーズのことは、藤本ひとみさんが小説に書いてらっしゃいますね。性格、ゆがんでも仕方のない境遇ですねえ。身内はみんな処刑されているか、敵ですもの。彼女にしてみれば敵討ちみたいな気持ちだったんでしょうか。
マルゴは肖像を見るとかわいいタイプみたいに見えますね。カトリーヌ・メディシスにこんな魅力的な娘ができるなんて不思議~ デュマの「王妃マルゴ」を読みましたが、想像したほど面白くなかったです。映画のイザベル・アジャーニはキレイでしたね。あれなら、うなずける…
投稿 marie004 | 2008年3月 5日 (水) 21時29分
marieさん、
藤本ひとみさんはいつの間にか大量の本が出ていて、前に読んだのがどれかも解らなくなっています。
マリー・テレーズの小説って、どれでしょう?
王政復古したら、復讐する気になっても無理ないでしょうね~。
マルゴは絶世の美女というよりは可愛い顔立ちみたいですね。男好きのするタイプだったんでしょう~。ルクレチア・ボルジアなんかもどっちかというと、そうだし。
両親のいいとこ取り?兄達もそう悪くはなかったみたいですね(昔の肖像だとあまり区別がつかないけど)
恋してる時には相手に打ち込むタイプなんじゃないかな。
あ、私もデュマを読んだんですが、あれ?って感じでした…
「王妃マルゴ」のアジャーニは色っぽくて、説得力ありました!40ぐらいで19に見えるってのも凄かったけど
投稿 sana | 2008年3月 5日 (水) 21時58分