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「観光」

ラッタウット・ラープチャルーンサップ「観光」早川書房

新進気鋭のタイ人作家のデビュー短編集。
1979年シカゴ生まれ。
バンコクで育ち、タイとアメリカで教育を受け、英語で書いた小説です。
ミシガン大学大学院のライティングコースを卒業したということで‥そういう教育を受けたら書けるというものでもないだろうけれど、そういう教育を受けただけのことはあるという印象です。

亜熱帯らしく~熱っぽく濃い世界。
観光客としての日本人を総括して「ジャパンマネーはばかに出来ない」「背中をたたき合い、薬を交換する」というのには苦笑するほかありません。

たちの悪い相手との闘鶏に負け続ける父を見守る娘、米兵の父に去られた後に海外旅行者の娘達とばかり付き合う少年、失明しかけている母と美しい土地へ旅行する青年…
どうしようもない哀しみと背中合わせの家族愛が切なく、あたたかい。
老成した内容も含みますが、人生の真実に迫ろうとする鮮烈さに青年の勢いを感じました。

しかし、この名前が覚えられなくて‥
「観光」で検索したら、観光旅行関係の大量の本が出てきて、エライ目にあいました(^^;

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コメント

この翻訳シリーズは、故国あるいは親の母国を出ていわゆる欧米先進国で生活を手に入れた人が両方を知りつつ自らのルーツとなる国や人々や環境について書いていて、思い入れがありつつ相対的な視線がいいですよね~。改めて、特に若い人の直感が冴える文学というのは人や社会やその襞をコンパクトに捉え伝えるアートだなあと思います。

タイに限らずアジアやアフリカや南米というとどうしても観光客の目でみてしまうか、あるいは例えば留学生や企業研修者などの学びに来る人たちのイメージでみてしまうんですけど、例えば経済的上位者のつもりでやってくる観光客相手に前線で接触している産業やその従事者のちょっと切なさを感じさせる気持ち、尊厳とかチャンスとか、その背後にあるグローバルな経済や文化の影響について垣間見せるのは、やはり著者のバックグランドからくる観察や洞察が大きいんでしょうね。

Kさん、
今の時代、外国との関係って様々ですよね!
引き裂かれる思いをすることもあるだろうけど、二重の視点で豊かになっている場合もあるかな。
タイは観光地のイメージは強いですね。
アジアについては多様な事情をろくに区別出来ていないので、どうなんだろうなあ…
真実のほんの一端でも美味しそうな形で囓ってみたいかな、と(^^)

>若い人の直感が冴える文学というのは人や社会やその襞をコンパクトに捉え伝えるアートだなあと思います
ああ~なるほど!
老人の感覚も上手に書くなあと思うけれども、ひらめくものがあれば、一部を捉えて形に出来ますよね。
少年の憧れや屈折した感情は身近な経験も入っているんでしょうね、相当に色々な経験があるのでしょう~(^^)

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