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「茜に燃ゆ」

黒岩重吾「茜に燃ゆ」中央公論社

飛鳥板葺宮で暮らす皇極女帝に仕えるお気に入りの女官にして王族の歌人、額田王。
中大兄皇子も大海人皇子も母親に頭が上がらないので、女官に軽々しく手を出さないように釘を刺されているというのがちょっと面白い。
やがて兄は額田の親族の鏡女王を妃にし、誠実な弟皇子の方が額田にストレートに求愛してきます。
額田は大海人の用意した館で暮らすようになり、若い2人の恋がおおらかに盛り上がります。
当時身分の高い男性が妻を複数持つのは普通のことで、それどころか、妊娠したら次の女性の所へ通わなければならなかったという設定~妊娠もある種の汚れで、物忌みというニュアンスもあったみたいな…ほんまかいな?

娘の十市皇女が6歳になった頃、額田はまだ22の若さ!
2人は上手くいっていたのに、傲岸で冷酷な兄の危険なまなざしが…?!
この話では間人皇后との不義もあり、蘇我入鹿は母の愛人だったのを目の前で殺したということで、中大兄はかなり悪役です。
濃厚な要素は全部入れてるみたいな…
大田皇女・鸕野讃良皇女という我が娘を2人までも弟の大海人に嫁がせるのも、一人のものにしておくのは惜しい美女・額田と交換するためという~そ、そうなんですか?
(異母兄妹は結婚出来る時代で、叔父と姪なんかよくあることだったらしいですが、それにしても血が濃い~!?)

とうとう大海人とは別れて、宮廷で歌を作り宴席を取り仕切る華やかな生活を送るようになります。その点では水を得た魚なんでしょう。
そんな額田を公然と褒めたたえる大海人の明るさに、人々の好奇の視線は毒気を失うことになると…なるほどね~。
中大兄とも熟した大人の関係ですが、訪れは次第に間遠になっていきます。
どっちもどっちなぐらい多くの側室のいる皇子達に対して、女性としてはそりゃだんだん醒めてくるんじゃないかなぁ…と読みながら推測(苦笑)

額田と大海人の間の娘・十市皇女と天智(中大兄)の息子・大友皇子との結婚話は早くから出ていたという設定で、そのことに融和というか希望を見いだすのです。
やがて若い2人が結婚し、落ち着いた日々が訪れますが、それもつかの間、天智が大海人を政治の中枢から閉め出し、危機が迫ると知り、額田は…

井上靖作品と違って、最初の夫を心から愛し、別れてから改めてその器の大きさを感じている額田です。
その方が壬申の乱の後は生きやすかっただろうなあ…とは思いますね。
官能的な描写がずっと多いのは、作風の違いだけでなく、発表された年代もあるんでしょう。
老いた皇極(斉明)女帝に寄り添うように看病もしていて、宮廷での独特な立場というのも何となく納得出来る展開でした。

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