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「天智帝をめぐる七人」

杉本苑子「天智帝をめぐる七人」文芸春秋

軽皇子(後の孝徳天皇)、有間皇子、額田女王、常陸郎女、鏡女王、中臣鎌足、鵜野皇女(後の持統)という七人の立場から、中大兄皇子を中心とする歴史の流れを描いていきます。
文章の歯切れが良くて、短編で構成されているのがわかりやすく、面白いです。

中心となる中大兄皇子(後の天智)は冷酷で果断、周囲に恐れられる人物。本人の気持ちは語られません。
ここでの額田女王(ぬかだのひめみこ)は華やかな美女で、武骨で誠実な大海人皇子(後の天武)の恋女房。
娘と3人で幸せに暮らしていたのに、天智が自分の幼い娘2人を大海人の妃にと押しつけてきます。
大海人が百済救援の出兵に反対して都の留守居役になっている間に、筑紫でのお告げにより、額田はやむなく宮廷に上がるという展開になっています。
中大兄は額田に目をつけてはいたが、本当に愛していたのは間人皇后だけという~。

鏡女王は、鎌足の正室。
額田の同母姉という通説に従っていますが、中大兄の側室だったのを下げ渡したということにはなってない??
軽皇子は、中大兄の母・皇極女帝の弟。
蘇我入鹿暗殺の後に天皇になりますが、実は元々入鹿と親しかった間柄で入鹿の遺志を継ごうとします。しかし傀儡としての王でしかなく、特にこの本では間人皇后と中大兄の愛人関係が繰り返し語られているので、立場ないです。
間人は中大兄の同母妹で、10代で30も年上の軽皇子と結婚し、子供も出来なかったので、そういう噂があったようですが、この話のように周知のことだったというのはやや無理があるのでは?

一番有名でない常陸郎女(ひたちのいらつめ)というのは蘇我赤兄の娘で、中大兄の妃の一人~赤兄というのは有間皇子を罠に掛けて謀反を讒言した人物。
蘇我の娘は何人も妃になっているので、目立たない存在でも勢力争いの渦中にあったんですね。
常陸郎女の娘は山辺皇女で、後に悲運を辿ります…
近い血縁での政争がものすごい時代ですが~血統に意味があるから婚姻を重ね、また完全に勝つためにはそういう近親間での命のやり取りにもなってしまうのでしょう。
国のトップが選挙で交替という現代は、だいぶ理性的ですね。

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コメント

天智天皇が同母妹と関係があったかなかったか、古来より議論されてるみたいですけど、小説家としたら美味しい設定ですよね! 冷酷無比な人物がそういう道ならぬ恋に悩んでいるというのはいいなあ~ 他方で、天下を取ろうかという人物が即位の妨げになるようなそれほど重大な禁忌を犯すだろうかという説もありまして、真相は藪の中…
額田王は詠まれた歌がとても華やかで力強いので、やっぱり美女だったかのなあと思います。

marieさん、
なるほど~どうにもならない運命に悩める貴公子って捉え方だと美味しいかも?
天智は母が亡くなった時に妹の間人を中継ぎの大王に立てたように思えますね。
端から見て普通じゃないぐらい思い入れがあったのかも?

額田王は美人だったとしか思えませんね~顔のタイプまではわからないけど。
本当に華やかで、自信が感じられますもの(^^)

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