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「アラビアの夜の種族」

古川日出男「アラビアの夜の種族」角川書店

作者不詳のアラビアの小説を翻訳した物だという体裁を半ば信じて読み始めました。
アラビア風味は濃厚で、擬古文とまではいかないかな~ちょっと前の翻訳調。マムルーク王朝のエジプトにナポレオンが攻めて来るという時代。
奴隷王朝という不思議な制度も面白く、この場合の奴隷とは私兵のようなもので、優秀な子に高い教育を施して後継者を育てるのですね。
優れた外見は中身を伴うと信じるイスラムの軍隊は美しく装っていたとか。
しかし実力は逆。必死に迎え撃つ側は万能執事アイユーブの計画で「災厄の書」をフランス軍に送り込もうと…

読まずにはいられない物語を女語り部(夜の種族)が語り始めます。
美しい女語り部のつむぐ3人の魔術師の物語~
スルタンの末子アーダムは世にも醜く生まれ、邪悪な稀代の魔術師に。蛇神の宿るジンニーアに魅入られ、魔都を封印して眠りにつきます。
千年の後、森の民に育てられた捨て子のファラーは自らの生い立ちを誤解し、人間で一番優れた者になる道を探し求めます。黒人種の血をひきながら白皙という孤独なファラー、なかなか魅力的です。
一方、王弟の王位簒奪により落ち延びて泥棒一家に育てられた王子は、天性なのか健やかに成長し、運命の導きによって従妹の姫に恋をする…
それぞれの心のありよう、あがき求める気持ちが哀しい。
奇想天外な設定で命運が二転三転する波乱の展開ですが、3人の魔術合戦はRPG風で意外と思い描きやすい!?

本に取り憑かれた人々の読む物語という入れ子構造。
濃厚な物語で何とも複雑!最後はミステリ的な要素も。
結末にいたって後書き装丁を見直し、創作だと確信しました。
元ネタがあっても、おかしくはないですが…
しかし教養がありますね~いや、想像力があるというか、遊び心があるというべきか…どういう人なんだ!?

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コメント

sanaさん、これって、たしかSF大賞受賞作ですよ。
「このSFが読みたい」でインタビューが載っていたとき読んだ気がするー。
買おうかどうしようか迷って結局買ってないんです。
かなり褒められていたんですけどね。
そっかー、文庫になったら買ってみようかな。
実在の物語の翻訳、という体裁は結構良くありますよね。
有名どころでは「薔薇の名前」とか、あと、最近もなんか読んだなぁ、あんまり面白くなかったので覚えてないんですけど。

あ、そういえば2006年度のSF大賞、「バルバラ異界」が取ったのだった。
先日読み返しましたけど、連載中に読んだときより、最初から最後までまとめて読んだときの方が面白かったです。

しあんさん、
あ、SF大賞ですか。なるほど~(^^)
入れ子構造はけっこう現代の流行りかな…?
ちゃんと書き込まれていて、なかなかムードあるし、中盤はエンタテインメントだし。好評なの、わかります~。

これもう文庫で出てるみたいですよ~ブクログの方にはそっちの書影が出てます~それしかなかったんで(^^;
私は前に図書館にリクエストしたのが来たのを読んだんですが~文庫の装丁も綺麗なので、次に読む時に買っても良いかなと。日本の作家でこれはけっこう珍しいかも…!?(@@;

「バルバラ異界」!は確かにSFですね~!
連載は読んでないのでコミックスを1冊ずつ楽しみに待って買いました。最近じゃこういう買い方も少ないぐらい。
長年のファンとしては~乗っている感じで描いてるのが嬉しかったです(^^)

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