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「海辺のカフカ」

村上春樹「海辺のカフカ」新潮社

15歳の少年、田村カフカは「世界一タフな15歳にならなければならない」とカラス(内なる声?)と語り合いながら家出を決行します。
父とはろくに口もきかずに暮らしていて、昔家を出た母の行方がわからず名前や顔さえもわからないという謎めいた生い立ち。
何故かたどり着いた先は四国の小さな私設図書館で、家出と見破った不思議な人物との出会いで、そこで暮らすことになるのでした。

「少年が家出して図書館に棲みつく」という説明をどこかで読み、ついて行けなかったのですが、読んでみるとその点においては別に問題ないのでした。住み込める建物なので。
しかし、ストーリーは…
それどころではありません。
誰でも経験するような日常的な描写を交えつつ、だんだんとんでもない展開になっていく、かなりシュールな話です。

カフカの部分は、どことなしに少年期のみずみずしさが漂っていて、考えが甘いんじゃないかとも思いつつ、まあ素直に悩んでいて可愛らしい。
作者が自分の中の若さを解放したのかなという気がしました。
一方、子供の頃に、事件に遭遇して知力がなくなり影が半分になってしまったというナカタさんの部分の話の方が怖くて、つまりは異次元の扉が開いてしまうのですね。
読み終わって、何なんなんだ??としばし絶句。
こう収めるしかないかもと思いつつ…

初老のナカタさんのひょうひょうとした雰囲気が出色で、ナカタさんの何かしなければならないという使命感に付き合う羽目になる青年・星野もなかなか感じが良い。

モチーフ的にはどこかで聞いたような、馴染んだ物が多く出てきて、たとえばアメリカのドラマ「Xファイル」でUFOにさらわれて戻される体験。
映画「ヒドゥン」で口から移動する生命体。
そういったものを上手く取り入れてあるというのか、自分の中で年月をかけて消化して出来上がった作品なのでしょう。
どことなく格調の高さがありますね。
そこのところにカフカ賞を受賞するのも伊達じゃない(タイトルのせいだけじゃない?)という印象がありました。
2006年、世界幻想文学大賞、長篇賞受賞作。
上巻を読んだのは昨年、下巻は1月でした。

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