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「ゲド戦記外伝」

アーシュラ・K・ル=グィン「ゲド戦記別巻・ゲド戦記外伝」岩波書店

短編集というほど軽くない、中身の濃い中編を集めた物で、外伝といっても必読の内容です。
ゲド戦記の最後を飾るにふさわしい充実感がありました。
5巻の前に読んだ方が良いので、読む順番はちょっと失敗しました。昨年末最後に読んだ本です。

ロークの始まりが描かれる「カワウソ」や5巻にリンクする「トンボ」など重要な作品です。
民話のようでもある物語性と奥深い所から紡ぎ出される神秘的ともいえる魅力、知的な構築の確かさはさすがです。
運命に翻弄される哀れさや、おかしくなってしまうほどの欲や愚かさ、けれども地を這う草の根のような強さもある人間達。そのはかない別れや強い絆の描写に心をぎゅっと捕まれてしまいます。

5巻はちょっと肩すかしを食った感があったのですが、期待過剰だったせいですね。ごく若い頃に読んだゲド戦記は私にとって特別な位置にあったのです。魅了されつつも何か理解しきれていないこともわかる巨大な存在でした。
今でもそう軽々と読み返せないほどの作品ですが、当初は作家と素人という以上に大人と子供の差が大きかったんでしょう。今となっては何十年かは同時代を生きた大人の女性として妙に親近感を覚える面もあるようになりました。

映画は見ていないんですが、この巻から取り入れられた部分もあるのかな?
ル=グィンは映画に失望感があったようで(主にお父さんの方が監督すると思って許可したせいで)、残念ですが、まあ完全に満足するような物を作るのは不可能でしょう。
昨年、日本映画の興行収入が初めて?(久しぶり?)洋画を上回ったそうですが、ゲド戦記がヒットした功績もあるとか。
やはり原作の素晴らしさは大きいと思います。
ストーリー的にはやや換骨奪胎なのかと推測しますが、アニメで2時間程度に納めるにはそういった構造的な変化もある程度致し方ないかと。監督が原作に感動した気持ちはおそらく良い効果となって現れているのでは?

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