フォト

おすすめ本

« 生湯葉のお蕎麦と栗ご飯 | トップページ | 「闇を見つめて」 »

「私が語りはじめた彼は」

三浦しをん「私が語りはじめた彼は」新潮社

デビュー4年目にして化けた作品だそうです。
確かに読んだ範囲では一番文学していて、ちょっとビックリ。
この作品もあっての今度の直木賞だったのかな。
BK1の書評欄に6本投稿があるので、いつもより多いな、そんなに語りたくなる本なのかしら?と思ったら~最初のは何と著者から、次は担当編集者が金原氏に褒められて喜んだコメントでした。
著者コメントは2004年5月のもので、左サイドの画像をクリックしていただくと読めますよ~。

不倫を重ねて離婚した大学教授をめぐって、彼を取り巻く女達やその子供達を描いた連作短編集。
語り手はどれも男性で、エピソードは一捻りしてあり、直接的に村川との愛憎が語られるのではないところがみそかな。
大学に届いた告発の手紙の差出人を捜して村川の妻を訪ねる助手や、金持ちでお嬢さん育ちの妻に村川と不倫されていた男、村川の義理の娘の素行調査を依頼される若者など。
「結晶」「残骸」「予言」「水葬」「冷血」「家路」というタイトルにも現れているとおり、硬質で精緻な文章で家族の崩壊や互いに理解がなりたちがたい現実をかなり突き放して描いています。

大学教授の父に娘と息子がいて娘の名はひらがな3文字の変わった名前(村川ほたる)というのは名前だけ自分がモデルなんでしょうが、まさかそこまで女癖の悪い実父でもないでしょうね?

教授についてはほとんど実態はわからないまま、いわば空洞化していて真相は藪の中、どこに魅力があるのかも理解不能ですが、ただ離婚の波紋は大きいものだと感じさせられます。
彼の妻と娘は浮気癖を知っていて10年も苦しんだので離婚が決まってむしろ解放されたけれど、息子の呼人は突然の離婚に驚き怒る、この子が一番ストレートで可愛いですね。
苦い現実に直面してもがく人間達…でも決して絶望的というのではない生命感がどことなくあるのが三浦しをんですね。
力がこもっている作品なので、ただ苦いだけではない読み応えがありますよ。

« 生湯葉のお蕎麦と栗ご飯 | トップページ | 「闇を見つめて」 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「私が語りはじめた彼は」:

» 私が語りはじめた彼は<三浦しをん>−(本:2006年118冊目)− [デコ親父はいつも減量中]
新潮社 (2004/5/25) ASIN: 4104541036 評価:80点 初めて読む三浦しをんの作品。 そういえば今年直木賞を受賞したんだよね。 どうりでよく彼女の名前が目に付くはずだ。 「しをん」が「おしん」に見えて、なんちゅう名前だと呆れていたのだが、呆れられるべきは私....... [続きを読む]

« 生湯葉のお蕎麦と栗ご飯 | トップページ | 「闇を見つめて」 »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック