フォト

おすすめ本

« 庭の彼岸花 | トップページ | 栗きんとんと胡桃まんじゅう »

「ダイブ!!」

森絵都「ダイブ!!」角川文庫

飛び込みがテーマの、森絵都のスポ根小説。
ほとんどスポーツ漫画のようで、登場人物も活気に満ちてさわやか、すっきりした文体でとにかくわかりやすく、一気に引き込まれました。引き込むテクニックは小説ならではの書き方にあるんでしょう。
飛び込みはマイナースポーツで日本の競技人口は600人しかいないそうです。オリンピックなどでも確かに放映時間が短いんですよね。でも一瞬の見事な回転や引き締まった体型は目に焼き付いているので、楽しく読めました。
この作品で少し人気が増したんじゃないでしょうか?

中学生の知季が台に乗るたびに後悔する、という出だし…
ごく普通の家庭で育った少年が飛び込みに魅せられ、3月生まれで同じ学年にいる双子のような弟のごく普通の青春を羨みつつ、大した欲もなかったのが、アメリカ帰りの若い女性コーチに才能を見い出されます。
ダイビングクラブMDCは存続の危機にあり、新コーチの夏陽子は実は創設者の孫娘。親会社を説得するために、所属選手の中から誰かをオリンピックに出場させるという条件を出します。
一番有望な選手は高校生の要一。
もともと知季の憧れだった要一は、親も飛び込みの選手だったエリート。
知季以上に他の全てを犠牲にして飛び込み一筋に生きてきました。ちょっと、岡ひろみとお蝶夫人みたいで楽しい~。

もう一人、夏陽子が地方から連れてきたのが沖津飛沫。
祖父に仕込まれて伝統的な行事として崖から海に飛び込んでいた彼は、体格の良い野性派で、年上の彼女がいる大人っぽい奴。
実はプールが初めてという彼がどんな飛び込みをするのか…これも面白いです。
この3人のライバルの成長と葛藤、それぞれの個性を生かした技の追求、しだいにはぐくまれる友情が描かれます。

オリンピックを目指すとなったらいよいよ他のことをする暇がないので友達も出来ず恋も上手くいかない、ライバルしか身近にいないわけですね。飛び込みにかける気持ちを理解し合える貴重な存在が、どうしても敵でもある難しさ。
大人の世界の思惑も絡んで、選手は予想外の試練に立たされます。
いったんトップになった要一がスランプに陥り…さてどうなるか?
 
後半は、重要な試合の経過を演技のたびに変わる順位を示しながら描き、まわりを囲む大人達や脇役の思いも明らかにしていくという憎い構成で盛り上げていきます。
スポーツ漫画やスポーツ鑑賞が好きな人にはゼッタイお薦め。
大人でも十分、味わい深いものがありますよ~。

« 庭の彼岸花 | トップページ | 栗きんとんと胡桃まんじゅう »

コメント

大好きな作品です。
ほんと、面白いですよね~。
直木賞もいいけれど、これからも、大人も子どもも楽しめるこういう作品を書いて欲しいなあと思っています。

じゅびさん、
これ、良いですよね~ホントに面白い!
小説ならではの技法で感情移入させていくやり方と、スポーツ漫画の楽しさを上手くいかしてあって。
森絵都にしてはスピード感があって…

じゅびさんのところの感想も改めて拝読してきました。
そうそう、飛沫の名前がすごくって。
津軽に訪ねていく所がねえ、男の子って良いなあ!て思いましたよ~。
こういうのも、もっと書いて欲しいですね(^^)

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ダイブ!!」:

« 庭の彼岸花 | トップページ | 栗きんとんと胡桃まんじゅう »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック