フォト

おすすめ本

« 「功名が辻(三)」 | トップページ | 着てみました~ »

「魔法」

クリストファー・プリースト「魔法」ハヤカワ文庫

報道カメラマンのリチャード・グレイは爆破テロに遭遇して大怪我をし、過去数ヶ月の記憶を失います。
保養所に訪ねてきた女性スーザンは恋人だったというのですが、特徴のない外見で見覚えもない。
記憶を取り戻すための実験で催眠術をかけたところ、いるはずの人間の姿が見えなくなる錯覚が起きるという奇妙な現象が起きます。
事故のせいだけではなく何らかのトラウマで記憶が戻らないのかも知れないと、スーザンに問いただすのですが、少しずつ取り戻した記憶はスーザンの話と大きく矛盾し…

出だしは記憶喪失ネタのミステリのよう。
中盤は大人の恋愛心理物としても読める内容です。
しかし、不可視というのは…ええ?どっちが本当なのだろう…たぶん…へええ…まさか…うわ?わわ!
と予想外に話は転がっていきます。

「魔法」というタイトルでファンタジーかと思いましたが、幻想文学という意味でのファンタジーですね。
いわゆるファンタジーらしいモチーフや甘さはないので、世界をひっくり返すような奇想の作品という点ではSFに近い感触。
原題は「THE GLAMOUR」で「魅力」と訳しても良いんですが、この言葉、昔は恋人を他の人間に見えなくする魔法をかけて貰う、という意味でも使われていたそうなんです。
そういった両義的な言葉のイメージも満載の作品。

プリーストは43年イギリス生まれ、66年デビュー、95年「奇術師」で世界幻想文学大賞を受賞しているそうです。
84年の本書もなかなか他にないと思える傑作ですが、ちょっと~読者を選ぶ所はあるかも?

« 「功名が辻(三)」 | トップページ | 着てみました~ »

コメント

>読者を選ぶ所はあるかも?

選ばれた読者で~す(笑)
お読みいただいたようでうれしいですわ。
変わっているけど、でも、ドンデンがあって、面白かったでしょう?
何よりあの不思議な空気感がお読みいただきたかった理由かも。
現実社会では、まっとうに解釈すると、スーザンは心の病気の人だということになってしまうと思うのですが、彼女の言う魔法の実在が、妙に説得力を持って読者に迫ってくるのは、プリーストの描写の力なんでしょうね。
独特の空気感は、なんか、ちょっとくらくらするというか、取り込まれてぼうっとしちゃうというか、他にはない感触なんですよね。
特にスーザンの述懐部分はこういうのを読み慣れない人には苦しいかも知れません。
リチャードのパラグラフでちょっと息が付ける、ってとこもあるんですがね。

で、私はこれをSFだと思っているわけですよ。SF作家には、こういうの書く人たくさんいるし。
だけど、たいていの人は怪奇小説って言うんだろうな。

しあんさん、
いや~面白かったです。
心理描写が丁寧で、そう!不思議な空気感!ありますね。ひいやりして、なんか自分がどこから覗いているのかわからなくなるみたいな(@@;

リチャードが一番普通というか、巻き込まれたような立場で現実に近い人間でしょうか。
書評で、誰かマジで解説してくれっていうのもあるようですね…まあ信じるかどうか…が!?

サイエンスという感じはあまりしないのでSFに入れない人もいるでしょうね。
そっか、SF作家にこういう作品て多いんですか~。
ある意味では怖いけど、怪奇というよりは奇想… 心理学を科学のうちに入れればそんな雰囲気も~現実味のある描写で説得力がありますわ。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145558/11850211

この記事へのトラックバック一覧です: 「魔法」:

« 「功名が辻(三)」 | トップページ | 着てみました~ »

2018年8月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック