フォト

おすすめ本

« 「ダークホルムの闇の君」 | トップページ | 「功名が辻(三)」 »

「対岸の彼女」

角田光代「対岸の彼女」文藝春秋

04年の発行の本で、これで直木賞を取ったんですね。
なるほど、良い出来です。
初・角田光代だと思うので、この作家の特徴はこれだけではわからないんですが…(ちょっと篠田節子の「女達のジハード」での受賞を思い出しました)
時期的に勝ち犬・負け犬といったコピーがついていますが、内容はそんな単純な対決ではなく、少しほっとしました。

主人公は幼い娘のいる主婦の小夜子と、独身で小さい会社の社長をしている葵。共に35歳で同じ学校出身の二人の出会いは、小夜子が葵の会社のパートに応募したことから。
理解のない夫と姑に囲まれた孤独な小夜子は公園デビューに失敗し、娘のあかりが友達の輪に入れない様子を見て、閉塞状況を打破しようとします。
仕事内容は派遣のお掃除で、研修がかなりきつくて戸惑いながらも、新たな経験に立ち向かっていく小夜子。そのあたりが具体的にありありと描かれています。
一見、全く対照的な葵とはすれ違いも起こりますが、しだいに友情をはぐくんでいくのです。
「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことの方が、うんと大事な気が、今になってするんだよね」
という葵の言葉は印象的です。

葵の高校時代の出来事が現在と交互に語られていきます。
横浜で子供の頃から何故か苛められていた葵は、その過去を知らない群馬の高校に進学、自由な雰囲気をまとった人なつこいナナコと親友になります。実はナナコの家庭は荒廃しきっていて、そのことで仲間はずれにされるようになります。
二人の純粋な気持ちは家出という形をとり…
対岸で手を振るナナコのイメージが切ないです。
彼女の印象が強いので、2人の話というより3人の物語のように感じました。

女性ならどこかで共感出来る要素があると思いますが、男性にはわかりにくいかも…
作品中で男性の影がものすごく薄いので、何となく弾かれている気がするのでは?
理解のない夫というのがまた、ごく普通の男!みたいな感じで放って置かれてますが、見込みがゼロってわけじゃないんです。葵のお父さんなんか良い人なんですよ~。

小夜子が仕事でお掃除をしていて感じたように、しつこい汚れをずっとこすっていて、ある瞬間ふっと落ちていく、そんな風に何かが変わることもあるんですよね。

« 「ダークホルムの闇の君」 | トップページ | 「功名が辻(三)」 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「対岸の彼女」:

« 「ダークホルムの闇の君」 | トップページ | 「功名が辻(三)」 »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック