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「江戸へようこそ」

杉浦日向子「江戸へようこそ」ちくま文庫

86年に一度まとめられた本で、58年生まれの作者がまだ26歳の頃、漫画以外では初めて出した本のようです。
著者近影の若さにも不意をつかれましたが、中身も若いな~って感じ。
「お江戸でござる」のおっとりした解説とは雰囲気が違います。
江戸に関する本を何か読んでみようと手に取ったのがこれでしたが、初心者向けというより、かなりユニーク。そこが面白いと言えば面白いんです。

前口上でまず、「歴史好き」の人と「時代劇好き」な人というのがいるが自分はどちらでもないと宣言。
江戸趣味もノスタルジーも否定します、とどんどん切り捨てていきます。
「今、何故、江戸なのか」ではなく、「常に少しずつ江戸」と考えたいそうです。それだけ思い入れが深いんですね。
紋切り型のインタビューにうんざりしていた時期なのかな?

江戸とは何か…それは精神。
日本人を放っておくと江戸になる、というのが面白い考え方だと思いました。精神的なニュートラルポイント、ではないかということです。
特に江戸時代後半がお好みで、その頃の絵に大きく描かれている明るい空のようなあっけらかんとした絶望感を江戸の人は感じていたんじゃないか、それは東京の空を見て感じるものにも通じるとおっしゃいます。

といった話から始まり、吉原、浮世絵、戯作本についての詳しい蘊蓄が語られます。粋・野暮・気障の解説もよくわかって、面白いです。
特に黄表紙は実例と解説があり、どんな物か初めてわかりました!
もじりや皮肉をきかせた読み物で、教養がある大人向けの遊びなんですね~。
中島梓、高橋克彦、岡本蛍との対談が挟まって、漫画も入っているので盛りだくさん。
この対談もけっこうとんがっていて、お互いは認め合っているからいいけど…80年代後半にこんな空気があったんだろうか…?

惜しくも故人となっている方なので、「50年後いい婆さんになった杉浦さんが宇宙服を着て…」という後書きに複雑な思い。
…きっと今頃は天国で、戯作者達と夢中になってお喋りしているんじゃないかしら…

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