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「つきのふね」

森絵都「つきのふね」角川文庫

直木賞を受賞して話題になっている森絵都、これが良かったという記憶があったので、再読してみました。
2000年を前にノストラダムスの大予言で世界が終わるかも知れないなんていう話をしている時期が舞台だったというのをすっかり忘れていて、ビックリ。
そ、そういえば…97~9年頃というのはけっこう話題になっていたものです。
今となっては妙なので、これから読む人が小説の内容に入っていけるだろうかと思いましたが、その点は大丈夫でしょう。
中学生が主人公で思春期まっただ中、あの年頃には他のどんなきっかけでも妙な思い込みをすることはありますからね。

中学生のさくらは進路調査に「不明」と書いて、担任に呼び出しを食らう。
大親友だった梨利と口をきかなくなって40日以上過ぎ、クラスでも浮いてしまったさくらは、今日も智さんのアパートに寄っていく。
大人の男性の部屋にいたのを梨利のおっかけを自称する勝田君に見つかってしまうが、勝田もすぐ智さんに懐いて顔を出すようになる。
スーパーで万引きをして、さくらだけが捕まったあの日、出会ったのが智さん。
24歳の智さんは穏やかで、傍にいると居心地が良いのだが、人類を乗せるノアの箱舟のような宇宙船のデザインを一人で考え出すと止まらず、しだいに壊れていく…

さくらと勝田は必死で智さんを何とかこちら側へ引き留めようとあれこれ頑張るのです。
梨利を裏切ったと苦しむさくら、万引きのグループに残っている梨利も違う風に苦しんでいたのでした。あの年頃では友達と気まずくなるのは世界が終わるほどのことですよね…
万引きそのものが悪いとは最後まで自覚していないらしい少女達や、ここまで色々なことが起きているのにいっこうに気づいていない主人公の家族など、ありそうで苦笑いさせられます。

中学生でもわかりやすい書き方で、大人でも読める内容です。
かなり痛い部分まで入り込みながら、人間の生命力への信頼を漂わせ、弾力のある展開のあちこちにセーフティネットが張られている、暖かみのある物語。
良い本ですよ。

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