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「真珠の耳飾りの少女」

トレイシー・シュヴァリエ「真珠の耳飾りの少女」白水社

表紙になっている、オランダの画家フェルメールの有名な作品を巡って、そのモデルとなった少女がフェルメールの信頼した召使いであったという設定で描かれた物語。
いぜんに映画を見た感想をアップしたことがありますが、小説としての感想を書いておきます。

17世紀半ばのオランダ、デルフトで、少女フリートは父が失業したため、街の反対側の新教徒の家に奉公に出ることになります。
既に名のある画家とはいえ、寡作でやや気むずかしいフェルメールの家の内情は決して楽ではなく、数少ない召使いの仕事も重労働。
親元を離れて心細い思いをしながら、フリートはけなげに働き、すくすくと成長していきます。アトリエの片づけを丁寧にしたことから次第に信頼を得て、遠い存在だった旦那様に絵の具の混ぜ方を教わり、数年後には助手を務めるまでになるのでした。
芸術を介してのほのかな共感は心地よいものですが‥
やや派手なフェルメールの妻と締まり屋のその母、大勢の子供達と女中達が縦に長い運河沿いの家に同居しているので、フリートを見つめる女達の視線は息詰まるよう。

フェルメールについては本人の人柄や印象についての証言が全く残っていないのですが、住んでいた家の間取りや子沢山だったこと、没後に妻が借金を抱えて破産したことなどがわかっています。その辺から上手く推測してありますね。
実際に妻や召使いをモデルにしたらしい絵を多く残していますが、この絵はちょっと異色で、飾り気のない割に色っぽい。こちらを見る視線の素直さに画家との関係を想像したくなるものがあります。
しっとりした描写で綴られる実直な暮らしの人間くさい有様と、芸術へかけるひたむきな激しさがしみじみと胸に広がります。
小品なのに忘れられない、この絵そのものような小説でした。

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コメント

はじめまして。

映画で気に入って、本でも読みました。
派手さはないのにドキドキする小説ですね。
なんてきれいな小説なんだろうと思いました。
TBさせてくださいね。

おもしろそうな本がいっぱいあるので、また来ます。

sayanoさま、
初めまして。ようこそ、いらっしゃいました~。

映画も小説も良かったですよね!
フェルメールを好きなせいもあるのですが、それだけでなく、何か特別です。

TBどうぞ、どうぞ。ありがとうございます~。
こちらからも今読みに伺ってます。
読もうと思っていた本があったり!楽しみに読ませていただきますね(^^)

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