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「手紙と秘密」

キャロリン・G・ハート「手紙と秘密」ハヤカワ・ミステリ文庫

女性ジャーナリストとして成功して既に高齢になったグレッチェンの所に、故郷から一通の手紙が舞い込みます。少女時代の事件を思い出させる手紙が…

時は第二次世界大戦中の1944年夏、オクラホマの田舎町。
男性が出征して人手不足になったため、13歳のグレッチェンは少女新聞記者として働き始めました。
祖母のレストランは街道沿いで一番の美味しいものを食べさせる店でしたが、ドイツ訛りのある祖母はもう客の相手はしなくなっていた…
女性達はぱりっとした木綿のワンピースに身を包み、掃除の行き届いた家もそうでない家もある、ありありと目に浮かぶようなリアリティがありながらその光景はノスタルジックでどこか切ないものがあります。

幼馴染みのバーブの母フェイが殺され、軍から休暇で戻っていたバーブの父が指名手配されるという事態に。フェイが不倫していたためという噂が広まります。
絵の才能があったフェイの実像を描こうとグレッチェンは勇気をふるって記事にしますが、ふしだら女の肩を持ったと白い目で見られることになってしまいます。
バーブとその父を懸命に気遣うグレッチェンでしたが…純真な少女の闘いと意外な事件の顛末、ほろ苦いその後を描いて余韻のある物語です。

ハートはコージー系の作品を書いてきた作家ですが、この作品はコージー系にとどまらず、ミステリファンでなくとも小説が好きなら読める質とレベルです。
アメリカ南部というのは意外と文学の土壌になっていますね。ちらっとヌママムシの名も出てきて、少年時代を描いたランズデールの「ボトムズ」を思い出しました。少年時代を描いた小説は多いので、少女時代を書いた物もここらで出て良い所だったかな?
グレッチェンは作者とほぼ同年代(少し上)のようです。
「ハルカ・エイティ」も「カレーソーセージをめぐるレーナの物語」も「悪女パズル」も第二次大戦が出てきて、全然違うタイプの話ですが、世界の各地でこんな事が起こっていたかも知れない…とふと思いを馳せました。

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コメント

ミステリとしてはあまり好きなタイプではないのですが、ヘンリー・Oのシリーズ同様、客観的なまなざし(勿論故意のミスリードはありますが)や他者に手を差し伸べられる現役であり続ける熟年の主人公に、信頼できそうなキャロリン・G・ハートの人柄を感じる作品でした。

>Kさん、
手を差し伸べられる人柄、確かにそうですねえ。
色々な所に目が行き届いていて、世間を知っている落ち着きが感じられますね。
ノスタルジックなムードの小説としてよくまとまっていて、ハートの作品としても良い方だと思うのですが~ミステリとしてはそれほど緊密でなく、五つ星推薦は出来ない感じなんです。

アニーのシリーズはちょっと面倒になって!?途中になってしまってるんですが…
ハートって思ってたよりも高齢で、なるほどヘンリー・Oがピッタリなのかな、って感じですね(^^)

そうそう、出てくるアイテムや人々の関心も含めて1900年代半ばの時代の気分がノスタルジックにでも確かにそうだったんだろうなと思わせる感じでよく表れていますよね。
それに連動するかのような10代の少女の気持ちや、まなざしや、そこから捉えられる大人の様子が、更に、どんな子供にもすばらしい未来があるのは可能性に過ぎなくて、実際は本人の資質や社会階層でおおよそ落着きそうなところに落ち着くという現実的なその後のあり方や、謎解きが、あれこれ上手く小説として成り立っていて、この作品は本当にハートの上手さに、というか、単なるミステリ以上のものとしてよく書けているところに、感心しますよね~。

ミステリとしては、やっぱりアニーのシリーズが楽しめるし好きなので、新作が出なくなったのを残念に思ってはおりますが。

Kさん、
少女の感覚で捉えた、行く先々の情景や、よくわからないなりに見つめている大人達のことなど、とても上手く描かれていますよね。
それを成熟した目でそれとなく整理しているのも矛盾していなくて。その後のことも何とも言えなくなるぐらい納得いきますしね…

アニーのシリーズもお読みなんですね~。じゃあ、そのうち読んでみます。
ファルコも5巻で止まってるし。デキウスも読んだんですが… 悪くない印象なのに、具体的に覚えてないです。き、記憶力がぁ~(@@;

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