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「真実の帰還」

ロビン・ホブ「真実(ヴェリティ)の帰還」創元推理文庫

ファーシーアの一族・3部作の最終作(上下巻)です。
2作目「帝王(リーガル)の陰謀」後半の急展開の意味が今一つ納得いかないまま、どう結末をつけるのか!?手に汗を握る感じでした。
それが…… おお~なるほどね!

六公国を統べてきた王には3人の王子があり、長男はシヴァルリ、次男がヴェリティ、三男がリーガル。
跡を継ぐべく育てられた長男のシヴァルリ(騎士という意味)は高潔で統率力がありましたが、結婚に関してだけは期待を裏切って政略的に意義のない恋愛結婚で風変わりなペイシェンスを妃としました。
結婚前に庶子がいたことが発覚した時、跡継ぎ争いにならないよう、王位継承権を放棄して田舎に隠棲、子供は厩舎長のブリッチにゆだねます。

主人公はこの子供フィッツ(庶子という意味)。
母方の祖父に城に連れて行かれ、一人残される所から物語は始まりました。
おそらくは母に捨てられたという思いから、それ以前の記憶を失っているフィッツ。
実父には一度も会うことすらなく、中途半端な立場で孤独を抱えたまま育った少年が何度となく危機に晒されて、思い詰めて無謀な行動に走る若者になっていきます。
が、しだいに周りの人の深い思いに気づいていくあたりは、非常に良く描かれている作品です。

王の次男ヴェリティ(真実)はシヴァルリの補佐となるべく育てられた誠実な人で、一族に伝わる遠視能力を駆使して、海賊と闘っていました。不気味な海賊「赤い船団」は沿岸の村を襲い、捕虜にした村人の心を破壊して返すという異様な手口を使い、公国を荒廃に追い込むのです。
赤い船団と決着をつけるためにヴェリティが伝説の「旧きもの」を探索しに赴いたまま消息を絶ったのをいいことに、三男のリーガルが王位を簒奪、都を内陸へ移すことに。
フィッツはリーガルの拷問で命を落としかけ、ブリッチらの奇策で辛くも生き返ったものの、もはや公然と生きる道は閉ざされていました。
リーガルへの復讐のために正体を隠しながら単身、内陸へ向かうフィッツ。
この旅の途中の有様や出会う人々などの描写も面白いです。

孤独な旅の間も、「気」で結ばれたかけがえのない相棒の狼ダークアイズはもちろん、大活躍。
山の王国で変貌を遂げた王の道化との再会もあり、友情が深まります。
上巻の表紙の美形はこの道化でしょう。
禁忌とされながらも今に伝わる「気」で繋がる人々や謎の「旧きもの」の存在もしだいに明らかに…!
(このあたりは大きいのですが、ネタばれしたくないので伏せておきます)
リーガルの魔手を逃れて夫を探すヴェリティの妃ケトリッケンや、捨てられた城を守るペイシェンス、たくましく生き延びるモリー、吟遊詩人として名をなそうとするスターリングなど、女性達が皆りりしく生き生きとしていて、魅力的です。

毎回暗い出だしなんですが、そこでめげないで読んで下さい(@@;
フィッツがよほど老いてからの回想かと思えるのですが~違うんです!
独特な重厚感とスリル溢れるリアリティはなかなかのもの。
3作全体の相乗効果というか、この世界の濃さにどっぷり漬かっていた頭がまだぼーっとしております。
あちらでは15年後の続編が出ているとのこと!早く読みたいものです~。

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