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オデュッセウスの妻の立場

マーガレット・アトウッド「ペネロピアド」角川書店

オデュッセウスの妻ペネロペイアはホメロスの叙事詩の中で、トロイア戦争に行ったきり帰らない夫を待ち続けた貞節な妻として描かれています。
戦争の原因となった美女ヘレネとは従姉妹にあたるのですが、まったく対照的。
20年も主のいない王国と幼い息子を守り続けた女性の側から見た真実とは…?

オデュッセウスの帰国後、宮廷で王位を狙っていた求婚者だけでなくペネロペイアの女中達も処刑されてしまったことに注目、彼女たちはペネロペイアのスパイだったという視点をとり、女性同士の葛藤も含めて描いています。
母系社会から嫁とり婚へと変わっていく時代が背景にあるというのは、そうかも知れませんねえ。
黄泉の国に行ってからの会話などはカニグズバーグの「誇り高き王妃」を思わせますね。
死しても美貌を誇り、男性の魂を引き連れて歩くヘレネには笑ってしまいますよ。

アトウッドはカナダの作家で、70年代にはフェミニズム文学の旗手として注目されたとか。
私が読み始めたのは最近ですが~そんな一筋縄ではいかないです。深い物を醸成して出してくる腰の据わった語り部ですね。

2005年11月世界同時刊行とか…
「新・世界の神話」という副題はどういう事かと思ったら~超一流作家による神話の書き直しを毎年数点ずつ出していこうという壮大な企画だそうです!

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コメント

アトウッドと言えば、「侍女の物語」の人ですよね。
これだけは読んだことあります。こういう作品も書いているとは思わなかったですわ。
「侍女の物語」は限りなくSFな作品なので。
とはいえ、フェミニズムのニオイはかなりしますが。
ヘレネーと言えば、私は山岸さんの「黒のヘレネー」をすぐに思い出してしまいます。
あのヘレネーもかなりのお馬鹿さんでしたなー(^^;)。
でも、あれは姉のカッサンドラの視点で描かれているので、ペネロペは全く出てこないですけどね。

しあんさん、
「侍女の物語」面白かったですか? 一番有名なので~読もうと思いつつ、まだ読んでないんですよ~。
あ、この作品もある意味、侍女の物語です。コロスのように登場するんですが。身分差別ということにも意識が向いているのかな…

「黒のヘレネー」私も思い出してました。ヘレネがけっこう近いんです!
ペネロペとヘレネはあまり接点はなかったはずですが、夫のオデュッセウスが前に求婚していて、ヘレネのために戦いに行き、しかもヘレネの命乞いもしたらしいんですから、ペネロペにしたら面白くないでしょうね~(^^;

アトウッドは「寝盗る女」と「昏き眼の暗殺者」を読みましたが、「寝盗る女」がメチャ面白いんです。悪女に振り回された3人の女性を描いてるんですが、なんか生き生きしてるんですよ~。悪女も憎めないというか、しまいにもっとやれみたいな(^^;

アトウッド、こういう本を出してたんですね~。
お値段も魅力的なので注文してみようかしら~
「寝取る女」は映画の「追憶」みたいな雰囲気だなあと思って読んでいました。女性達の個性がよいのにその男達に魅力が無かったですね~

「侍女の物語」はフェミSFらしい作品でしたが、侍女システムと人物同士のかかわりと感情の描き方がすきだった記憶があります(実はこのあたりの作品はテッド・チャンとか「女の国の門」とかとごっちゃになってしまっています)。映画音楽が坂本龍一でしたね。

正しくフェミな人は設定もロジックも性格づけもあまり無理がないので私は好きです。

ところで思い切り横にそれますが、ジョセフィン・テイって論創海外ミステリでぞくぞく翻訳が出ているんですね~。文庫で出してくれると嬉しいのになあ

「侍女の物語」読みました。
誰かに勧められてだったと思いますが、なんとも言えない風変わりな設定のお話でした。これは、女性にしか書けない話だよね~という感じ。
ペネロペと言えば、ポール・モーリアの曲を思い出します。
「寝取る女」すごいタイトルですね。読んでみようかな~

>茶香さん
「侍女の物語」、私もおもしろく読みましたよ。
上でKさんが書いているとおり、侍女システムが面白い。
架空の社会システムがよく書けている作品て、SFのネタの中でも私の好きなもののひとつなんです。
たとえば、デヴィッド・ブリンはちょっと薄味で、SFとしては物足りないけど、「グローリー・シーズン」の設定は面白かった。
萩尾さんの「マージナル」の色子システムもかなり面白かったですよね。
作品の雰囲気としては、女性の一人称であることや、どことも知れない国での、現在の我々から見ると異常な日常が描かれていて、
ポール・オースターの「最後の物たちの国で」を彷彿とさせるところがあります。
どちらもやはり、Kさんが書かれたように、女性の心情の描かれ方、変わっていく様がとてもうまく書かれていて好きでした。

>Kさん
お久しぶりです~
やはり、テッド・チャン、読まれてましたか。好みでいうと、彼と並んで評されるグレッグ・イーガンの方が好きですけど、
私もこの作家、好きです。是非、長編を読んでみたいですね。

>映画音楽が坂本龍一でしたね。
映画化されるって聞いたような気がしていたけど、そっか、ちゃんとできたんですね。
そして、Kさんはちゃんと観てるのね。
公開の時にアンテナに引っかからなかったってことは、そんなにこの作品に引っかかってなかったってことか>自分。
川原さんの「笑う大天使」がこの夏公開ってのは、既にチェックしてるのに(笑)

書き始めたら途中で電話が鳴って、そのまま続けて書いたので、marieさんに挨拶せずにアップしてしまいました。

>女性にしかかけない
そうそう、そういうものってありますよね。
上に書いた「グローリ・シーズン」、男の人が書いているんで、何ともあちこち歯がゆいんです。
もっとも、この人は元々人の気持ちを書くのがうまいとは、私に思えないんですけども・・

>Kさん、
「追憶」での学生時代と「寝盗る女」の若い頃は時代が同じぐらいかな?
>侍女システムと人物同士のかかわりと感情の描き方がすきだった
なるほど~面白そうですね!
テッド・チャン?
「女の国の門」?どっちも知らないです~たぶん…
現代の小説ってミステリ以外は少ししか知らないんですよ。
フェミニズム文学っていうのもどの辺を指すのか…
お気に入りの作品てありますか?

ジョセフィン・テイは今頃発行されてねえ~ま、嬉しいです。買うんだとちょっと… 図書館で、そんなに予約殺到しないからオッケー(^^;

>marieさん、
「寝盗る女」ってタイトルじゃ予備知識なかったら、ちょっと手が出ないかも~?いやこれが面白いんです。
ポール・モーリア?~それは美しい女性っていうことなんでしょうね~。
女性にしか書けない話というのは、ありますね!

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアとか、男名前で書いていたけど、あの内容は男性じゃないでしょう~(@@;

>しあんさん、
すんごく読んでる~。そう思ってたけど!
グレッグ・イーガン…名前はずいぶん前から見覚えあるんで~昔読んだ可能性もあるんだけど…き、記憶が~
デヴィッド・ブリンは知らないです。たぶん。
ポール・オースターは一冊でめげましたが、どれだったかな(^^;

「マージナル」は好きな作品です。
なるほど、架空の社会システムね…
あの頃までの集大成というか~萩尾さんの論理的構成力と絵の美しさが両立して、上手く生かされた作品でしたね。

SFプロのしあん先生、わたくしもイーガン好きです。技術や概念がしっかりしていて(まま難しいんですが)設定とその中で生きる人物たちの考え方がちゃんとかみ合っているんですよね。テッド・チャンは「あなたの人生の物語」しか読んだことないんですけど、こちらはやわらかさを感じました。

「追憶」って20年以上前にTVで見ただけなのでよく覚えてないんですけど、学生運動のあった60年代後半の設定ですよね。女の子たちがムキになったりいきがったりしながら保守的な価値観からまだ自由ではないところとか、物分りいいふりして、そういう女の子たちと価値観を共有できていないやっぱり仲間内のあれこれが大事な男の子たちのかもす雰囲気は時代の空気かもと思ったのです。その辺の齟齬が「寝取る女」はずっとえげつないですけどね~、ロマンティックに回顧しないところがいい味出してるなと思います。

私もSFはあまり読んでいないのですが、そういえば、アーシュラ・K・ル・グインもこのカテゴリでは?結局いまあるこの世界のルールを普遍的な前提として扱わずに相対化できるところにSFのよさがある気がします。で、いいなと思うとやっぱり女性が書いていたりするんですよ、あるいはウェットではない作家か(かれらはたいてい女をものや理想として扱わないみたい)。

アニータ・ディアマントの嫁の目から見た聖書の話「赤い天幕」も私の中では同じ系列の作品ですが、こちらは歴史系なのでもう読んでいらっしゃるかもしれませんね

>Kさん
テッド・チャンは、「あなたの人生の物語」しか、まだ邦訳がないはずです。だから、これしか読んだことないのは当然なのですわー。この人、専業作家じゃないので(科学・技術系のジャーナリストらしい)、数年の間に書いた短編をまとめたのが「あなたの人生の物語」だそうです。短編ということでグレッグ・イーガンと比べられたのでしょうが、作風はずいぶん違う気がします。

>こちらはやわらかさを感じました
そうですねぇ、扱っている内容は技術的に高度なものもあるんだけど、そういう感じですねぇ。表題作なども、凡人の私なんかが受け入れがたい概念を扱っていても、全体から受ける印象はやわらかいです。この人は文章のテクニックがおそらくイーガンよりあるんでしょう。でもね、やっぱりイーガンの方が好き。あのとんでもない力業が(笑)

>茶香さん
ブリンは、日本ではSF読む人しか知らないような作家ですから、知らなくて普通なの~。
オースターは、初めに読んだものが相性悪いとダメな作家かも知れません。初期の頃と今とでは作風もだいぶ違いますし。
でも、私はすごく好き。実は邦訳全部持っていたりします(私は気に入った作家は全部読んでみるタイプ)。「最後のものたちの国で」は、オースターを読んだことのない人に薦めても、読める作品ではないかと思います。私の押し売りで読んだ某うさぎさんも、面白かったと言っていました。

>アニータ・ディアマントの嫁の目から見た聖書の話「赤い天幕」
タイトルだけ、かすかに記憶がありますが、読んだことがありません。
最近、聖書(というかマグダラのマリア)への解釈にかかわる本(ダ・ヴィンチコードから、もっと高尚なのまで)の出版が多いように思いますけど、マグダラのマリアが、カトリック教会に利用されて変形されていったというのはあり得る話、というよりもほんとなんじゃないかなぁと私も思っています。私が読んだ中で面白かったのはグレアム・ジョイスの「鎮魂歌」(http://www.bk1.co.jp/product/2445757)でした。Kさんなら知ってるかな?

>Kさん、
「追憶」はだいぶ前にテレビで見たきりだけど、ウェットな印象でした。あの頃のはやりだったのかも?
「寝盗る女」だと、一人がヒロインじゃないせいもありますが、ずっと突き放した印象で、でもそれが冷たいのではなくて。
男達はまんまと騙されてしまうようなタイプで、あんまりぱっとしなかったですかね(^^;

ル・グィンはそうですね、筋金入りですよね。
ル・グィンは一人しかいないけど~一人だけで山脈みたいな。
男性でもレジナルド・ヒルなんかだったら~男のくせに良く書くわ!ってぐらいですが。
「赤い天幕」てタイトルは聞き覚えありますね。わ~読んでみます(^^)

>しあんさん、
ですよね?
一冊しか訳されていない作家だったんですか。良い物は良いですよね。

SFは中学高校の頃に既に訳されていたような古典的名作は読みましたけど。兄は出るSF全部買うような人だったんで。
後はたまに何かで話題になった物ぐらいですね。ぽつぽつと…

マグダラのマリアは確かに大きな存在だと思えますよね。
何となくもやもや~とした疑問が昔からあった気がします。
グレアム・ジョイスの「鎮魂歌」?
それも探してみますわ~(^^)

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